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やっちゃば一代記 思い出(19)

大木健二の洋菜ものがたり
 元祖、激辛野菜
マスタードグリーン
口が曲がるくらい辛く、文字通りマスタードそのものといった野菜です。
サラダ、漬け物、サンドイッチに使われ、独特の風味を楽しむにはやはり サラダにしてフレッシュで食べること。ただ、熱をかけると辛みが飛んでしまうので、夏は氷を敷いた容器で出荷されています。
派手に売れてはいませんが、需要は安定していると思います。
かつて、マスタードグリーンの仲間のザーサイを見たくて中国の四川省に出かけたことがあります。長年、焦がれていたザーサイの畑が見られるものと期待に胸を弾ませ勇躍、現地に出かけようとしている時でした。
地元の案内人が来ないのです。言葉の行き違いがあったのでしょうか、後で分かったことには、日本で青果業を営んでいると自己紹介したはずなのに、なぜか産業スパイと勘違いされたらしいのです。ガソリンが手に入らないとか、運転手がいないとか理由をつけられて、結局、畑は見られずじまい。ガイドも危険を避けたのか、姿を現しません。
当時の中国は文化大革命後の粛正時代。いわゆる「四人組」対する厳しい批判が強まっていた頃です。ザーサイは四人組時代まで門外不出の重要野菜として四川省の独占的産物だったようです。四人組粛清後は中国全土に普及し輸出(塩蔵品)もぐんと増えましたね。
 中国民航機の中でザーサイが出てきたので、口にしてみると、これが日本で食べているのとは大違い。薄塩でおいしいのです。鮮度の良い状態で処理しているからでしょうか?。生鮮のザーサイ畑を見られなかったことが悔やまれたものですが、マスタードグリーン同様に、フレッシュザーサイもの手掛けてみたいと、この時思ったものでした。
 ※マスタードグリーン
 日本には十世紀初頭に渡来したとありますが、原産地は不詳。中央アジア
 に多く群生しています。中国では葉、茎とも食用で、インドでは食用油の
 原料として栽培されています。多肉性の高菜類で、仲間にからし菜、こぶ
 高菜、結球高菜、ザーサイなどがあります。

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