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やっちゃば一代記 思い出(13)

大木健二の洋菜ものがたり 
 ロマン感じる香りと甘さ
食用ほうずき
 【ほうずき】は世界に百種類余りを数えます。数少ない食用種の原産地は北米で、ここから南米のペルー、チリに伝わったものがニュージーランドに持ち込まれ、商業生産されるようになりました。
 初輸入した昭和五十九年当時は食べられることを説明するのに大童。テレビに出たり講演会で紹介したりして、これ宣伝に努めたものの、珍しさと同時に、奇異な印象を持たれがちで、最近でも1トン前後の供給量にとどまっているらしいです。
 一番困ったのが国内に入れてはいけない害虫が見つかり、一年間輸入できなかったことです。その年(昭和六十一年)はさすがに慌てて、国内で生産できないものかと、イタリアから種を輸入して鹿児島、静岡、茨城などで栽培してみたのですが、風が強すぎたり、水分が多すぎたりしてなかなか実がなりません。岩手でトンネル栽培したときは、まず霜害を受け、次のビニールハウスでは、樹木だけが生長、三メートル余りにも伸びて、ハウスの天井を這う始末でした。
 ヨーロッパでも、三十年ぐらい前、ようやく料理カタログに載ったような程度の浸透度でした。でもフランスでは、その甘さと芳醇を喩えて『アムール・アン・ガ―シュ』つまりは【愛の籠】というロマンチックな名前をもらっています。
 ※食用ほうずき…2種
 1.北米はマサチューセッツ~アラバマに分布。ナス科ホウズキ属で一年
   草。草丈は30㎝程度。
 2.北米ペンシルバニア~カリフォルニアに分布。草丈70~100㎝。
 いずれも栽培方法はトマトに準じ、春まきしてから鉢上げし、晩霜の恐れ
 がなくなった頃に定植する。日照時間が短くならないと開花・結実しない
 前者は砂糖漬け、後者は生食が一般的である。
 

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