左隣りの仕事帰りの人。それだけで面白かった。
大学の帰り道。
座席に座った。
スーツを来た仕事終わりっぽい左隣の人が肩を震わせていた。
右手で目頭を押さえて小刻みに揺れている。
自分の本を開きつつ私は考える。
この人はもしかして泣いているのではないだろうか。
勤め先で何かあったのではないだろうか。
あんまりじろじろ見るのも悪いし、特に干渉してほしい様子でもなかった。気がする。少なくとも私なら電車で見知らぬ人に傷心中に話しかけてもらいたくはないなーと思っているから、その人も干渉してほしくないのでは?と勝手に推測していた部分は否めないが。
勝手にそんな推察をしながら3駅ほど過ぎた。
15ページほど読み進めただろうか。
未だに隣の人の肩は揺れている。
相当だったんだな。私なんかがわかることはないけど、まあたぶん明日はいいことありますよ。
そんなことを心の中で呟きながら何の気なしに隣の人の膝の上にある左手を見た。
スマホがあった。
動画を見ているようだ。
んん?
松本人志さんが写っている。
それかーーーーーい
いや面白いんだろうけどさ。
私の友達もそれめっちゃ面白いって爆笑してたけどさ。
私の心配杞憂すぎるでしょう。
そう思うと隣の人が肩を震わせているのも、私が勝手にエールを送っているのも、気づいたのも、一連の流れが面白くなってしまって
私の方が肩を震わせるのをこらえてましたよ。
笑ってるならよかったです。
私も勝手に面白がってました。
見知らぬ人が笑いをこらえている状況面白すぎです。
幸せそうだなーーーってニヤニヤしてしまいます。
っていう話。
ちなみに街中で通り過ぎる人がニコニコしてたり、音楽にノリながら歩いてる人(体のどこかしらを一定のリズムで叩いてるとか)を見ると私も嬉しくなってしまいます。