人生初めて営業に行った話

僕は個人事業主としてとある職人業を営んでいる。事業拡大を目論み関連する企業(店舗)に営業をかけるという計画をこの数週間進めてきた。

名刺の作成、WEBサイトの整備、営業用のプレゼン資料作成、営業先のピックアップ、と準備は万全に進んだ。

ターゲットとなる店舗が密集しているある場所に目星をつけ資料を提げ出向く。服装は「職人」というイメージとそもそも自分を売り込まなくてはいけないという状況を加味し、スーツのような堅苦しいスタイルは避け、カジュアル寄りで、「何かやってくれそうな雰囲気」を意識した。

手始めに、と入った個人経営風の店舗。
店主のオヤジがあまりにも感じが悪い。営業したいということは避け客として「ここって〇〇(店先に書いてあること)もやってるんですか?」と聞くと「やってるよ、だけど〇〇(大手)で断られたからってそれをうちに丸投げされても困る」というようなことを言葉を変え3回は言われた。
そんなことは一言も言っていない。
なぜかすでに最悪の空気になっているが、ここまできたからにはと、本来したかった営業の話も持ちかけると案の定こちらの話を聞く様子もなく、「お断りする理由」としてはあまりにも暴力的な言葉で突っぱねられた。

資料を渡す雰囲気にすらならず退店し、あてもなく歩きながら考える。まだまだ行くべき店舗はあるが、悪いイメージしか湧かない。

あのオヤジが人格的にたまたま問題がある人物だったということは間違いない。ただ、見ず知らずの「自称職人」がいきなり訪ねてきて、さっさとお帰り願いたいと思ってしまうのは当然の摂理ではないだろうか。間違いなく会社にとってもプラスになる技術を提案できるし、それを根拠付ける資料も用意している。しかし、それを経営に携わる人間にまで届けるビジョンがみえない。電話をしてもDMを送っても「営業お断りくん」に弾かれてそこまでだろう。
根性と巧みな話術、それが必要なのだとしたら僕にはどちらも備わっていない。

一旦精神的にも戦略的にも立て直さないとと思いその日はとりあえず帰宅することに。帰路、「営業という形から外れて全く別の形で関係性を築く」とか、「そもそもどこかに寄生して業務を請け負うのではなく、自分で店を立ち上げてしまおうか」とか、だいぶ飛躍した考えに至ってしまったのは、あまりにも今日の失敗体験が痛く営業したくないモードに入ってる証拠だなと客観的なもう一人の自分が分析していた。

ちなみに、その感じの悪いオヤジの店はしっかりGoogleレビューで星1をつけた。

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