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遍路37日目 第六十五番三角寺、六十六番雲辺寺

2022年10月23日(日) 天気 曇りのち晴れ

朝4時過ぎに目が覚めた。
四阿の下テントの方を起こさない様に静かにテントを撤収し、出発の支度をする。4:51出発。

まだ暗い中街中の道を歩いていく

旧街道を暫く行くのが遍路道だが、朝食を食べる為国道11号線に出てファミマによりイートインで朝飯を頂く。

その後旧街道に戻り歩いて行く。
道沿いにお祭りのポスターや幟が立てられている。
よく見ると、今日迄この辺りの町のお祭りの様だ。
はっぴを着た若い衆や子供達が集合場所に向かい旧街道を歩いている。

7:30道端で休憩していたら、地元のおじさんが自転車でやってきた。
「何処から来たん?」と聞かれたので、「福岡市内です。」と答えると、
「今日はこの辺り太鼓祭りなんや。ええ時に来たね〜。この道をずっと行くと町内毎に山車が出とるから見て行き。
時間があるんなら昼前に山車が神社迄練り歩くからなぁ〜」と言われた。

そんな事を話していると太鼓の音が聞こえてくる様になった。
おじさんがそそくさと行き始めたので、7:47に休憩場所を出発した。

2、3分歩くと山車が見えて来た。
先程のおじさんも嬉しそうに山車の横で見ている。
「この飾りをよう見てくれ」と山車の説明をしてくれた。
煌びやかな飾りが前後に付いていて、真ん中に太鼓が設置してあり、先程からリズム良く叩かれている。

お祭りのお神輿に遭遇する

暫く見ていたが時間もないので、その場をさりまた歩き始めた。
10分程度歩いていると次の町の山車が軽快に太鼓の音を響かせていた。
ここも、地元の若い衆や見物の人達でいっぱいだった。
偶然だが、楽しそうな祭りの風景を体感できほっこり嬉しくなった。

旧街道を歩きながら、休憩所を探すがなかなか出会わない。
愛媛県に入り、高知県に比べ遍路道の表示、標識は多くなり歩きやすくなったが、徳島県の様にこまめな休憩場所の設置はない。
ある意味これが普通なのだが、徳島県の遍路への接待を体験すると、それが当たり前の様になり、段々贅沢になっている様だ。

三角寺に向かい道が上り坂になってくる。
ジワジワ登っていると、9:23道端の建屋の壁に歩き遍路道の案内と、後3分でひびき休憩所が有る事。
その休憩所から三角寺まで30分と書かれている。
とりあえず後3分で休憩だ。と自分を励まし歩いていく。

道端の倉庫にあった案内看板

9:26ひびき休憩所に到着する。
本当に3分で着いた。
ここは、四国中央市が一望に見をろせる休憩所だ。
結構高い所まで来ているのがわかる。
だが、三角寺はまだ先だ。

ひびき休憩所からの展望

9:38休憩を終えまた歩き始める。ここから暫くは山道を登っていく。
傾斜はそんなにキツく無いが、もう朝から4時間以上歩いているので、体が疲れているのがわかる。

暫く歩いていると車道と合流し、10:10三角寺に到着する。

64番札所 三角寺の駐車場から山門に向かう石段

石段を上がり参拝を済ませ納経所に行き御朱印を頂く。
納経所の女性に、「この後歩きで雲辺寺に行くのですが、今日間に合いますかね?」と聞いてみたら、「ここから7時間です。ギリギリ間に合わないんじゃ無いでしょうか。」と回答された。
え?7時間か。雲辺寺の納経所の時間に間に合わないと通夜堂の使用願いができない。最悪頂上でテント泊か。

64番札所 三角寺大師堂

とにかく行くしか無いので、とりあえず麓まで頑張って行ってみよう。
と思い直し、納経所の女性にお礼を言い、10:40三角寺を出発する。

三角寺から雲辺寺に向かう途中、別格霊場第十四番の常福寺があるが、今回はそこには寄らず雲辺寺を目指す事にする。

三角寺からの道は舗装された道でなだらかな下り坂だ。
途中女性2人組の歩き遍路の方を追い越し坂を下る。

県道5号線と合流した所にバス停があり休憩できるので、11:35バス停で軽く携帯食を食べ休憩する。

分岐点のバス停で休憩

11:49先程追い越した女性たちが降りてきた。
彼女たちが持っていおる地図と遍路道の表示が違うようで、県道5号線に出るべきか迷っていたので、声を掛けこっちですよ。と呼びかけてあげた。

「もう少し上まで上がって休憩所が有るって書いてあるんだけど、道はこっちなんですか?」と聞かれた。
私の持っている地図にも休憩所の位置がもっと上になっていたが、遍路道自体はこっちで間違っていないことを告げ、ここのバス停で休憩できますよ。
向かいに自販機もあるので水分補給も大丈夫です。
と教えてあげると、自販機に喜んでここで休憩しようと話し合っていた。

女性たちを置いて先に進んでいくと、1分も歩かないうちに休憩所があった。
おそらくお互いが持っていた地図が間違っていたようだ。
でも、そこには自販機はなかったので、結果OKだと思う。

休憩所の前に雲辺寺まで29Kmの看板があった。
平坦の道で7時間以上かかる計算だ。
三角寺から1時間以上歩いているがまだそんなにあるのか。と気分が少し落ち込んでしまう。
取り合えす前に進まなければ近づかないので、舗装された旧街道を歩いていく。

12:01「四国遍路 夜の宿貸します」と書かれた看板と連絡先が貼ってある建物を通り過ぎる。
おそらく善根宿なのだろうが、ここは無視して通り過ぎていく。

道路沿いの家の壁に善根宿?の表示が

12:06通称鳩小屋と呼ばれている善根宿の前を通過する。
鳩小屋の跡らしきものは残っているが、鳩の姿は見当たらない。地元の建設会社さんが歩き遍路のために接待してくれている善根宿らしい。
ありがたいが、ここにも用はないので通過する。

12:29椿堂(番外霊場常福寺)の前を通過。
いつの間にか国道192号線を歩いていた。

椿堂の案内看板

3:08遍路小屋法皇第35号に到着。
流石に疲れたのでここで休憩する。

小屋の中に以前も見かけた45日で回る標準行程図が貼ってあった。
雲辺寺は38日目の行程になっている。
今日は37日目だから一日追い越したのか。
この後の行程に余裕ができている。
どこかで休養日を作って休養しなければ。なんて甘い考えも浮かんできた。

13:26遍路小屋を出発する。国道192号線を登っていく。
頂上手前からトンネルを避けた遍路道(山道)があるが、時間を優先するため、遍路道には入らずトンネルを通る事にする。

13:53境目トンネルの入口に着く。長さ855M。
ちょっと長い。ヘッドライトを取り出し、狭い歩道を歩く。

14:06トンネルを出るとそこは愛媛県から徳島県であった。
雲辺寺は香川県の最初のお寺の位置付けになっているが、徳島県側から上がっていくのが歩き遍路のルートなのだ。

徳島県に入る

トンネルを過ぎたら下り坂になる。
せっかくここまで登ってきたのにまた下るのか。と思いながら降っていると、14:25遍路道(旧街道)は左に行くよう標識が出ていた。

このまま左側に入り、旧街道を通り山道に入って行くのだ。
ジワジワと降っていると、14:42山道の入り口に到着する。

ここから雲辺寺に向けた山道だ

ちょうど地元の方が作業から帰ってきた所で、みかんジュースをご接待いただいた。
お礼を言い、ここからの道を尋ねると、「ワシらの足でも2時間くらいだから、急げば17時に間に合うんじゃないか?」との事。
やった!急に元気が出てきた。
後2時間頑張るぞ!と気合を入れ直し山道に入る。

ここの標高が約170mここから911mの雲辺寺まで約740mの登山だ、とにかく急坂が続く。
さっき三角寺からダラダラ降りてきた標高差が恨めしい。
「1時間ちょっと登ると車道と合流するからそこからはなだらかになるよ。」と先ほどの地元の方に教わった。
よし、1時間足掻いてやる。
と気合だけは十分に入っているのだが、なんせ上り坂がきつく足が上がらない。

歩きやすく整備されているが、勾配が急で息が上がる

遍路道沿いに地元阿波池田ライオンズクラブの方々か設置された「66番札所雲辺寺へガンバレ You can do it 」と書かれた看板が道案内に出ている。
その看板を見るたびに、「I can do it」と声を出しながら気合を入れて登る。

15:45ついに車道に合流する。
雲辺寺まで2.5Kmの表示が。後40分だ。

車道に入ると今までよりは上り勾配が緩やかになってきた。
このペースで歩けば17時に間に合う事もわかり元気になる。
後は、雲辺寺の通夜堂を貸してもらえるのかだ。

コロナ禍で通夜堂を閉鎖している所が多いため、納経所で聞くしかない。
そんなことを思いながら歩いていると、前に人影が見える。
背中のザックが私と同じくらいの大きさなので、おそらく野宿スタイルの歩き遍路の方だ。

登っていくうちに段々近づいて来た。女性のようだ。
先日来噂になっているドイツ人女性の歩き遍路の方かな?残り1.3kmの看板が出ている所でついに追いついた。

挨拶をしてみると、噂通りのドイツ人の女性遍路の方だ。
かなり上り坂で疲れたようで、足が痛いと言っていた。

日本語が上手なので、日本語で会話しながら少し並走し歩いていたが、若干辛そうだったので、先にいく事にした。

もう残りも500mくらいだ。
坂も緩やかになって来ており雲辺寺の建物も見えてきた。
仁王門の手前に車で来た人の参道補修協力費の受付窓口があった。
そこから上がったところが納経所だが、時間も余裕があるので、仁王門から入る事にした。

16:26に雲辺寺仁王門前に到着。
写真を撮ったり阿吽像を観察していると先ほどのドイツ人女性がやってきた。
阿吽像の「阿」と「吽」の顔の違いを説明してあげると、知らなかったらしく喜んでいた。

66番札所 雲辺寺山門

仁王門を通り大師堂の前を通過し先に納経所に寄った。
御朱印を先に頂き通夜堂の事を聞いて見たら、閉鎖はしておらず使っても良いとの事だ。

もう少ししたらドイツ人の女性が来るので、彼女が通夜堂を使うのなら私はテントを張ろうと思うが、敷地内で張っても良いか聞いてみた。
「トイレの辺りですか?」と聞かれたので、「いいえ、仁王門の右側の建物の入り口の屋根の下が希望ですが良いですか?」と場所を説明する。
「大丈夫ですよ」との回答だった。

そんな会話をしていると、彼女がやってきたので、通夜堂使えますよ。
と教え、納経所の女性に「じゃあ、彼女に通夜堂を案内してあげてください」とお願いした。

山頂にある雲辺寺の広い敷地の案内図

彼女は明日は歩いて山を降り次の第六十七番大興寺に向かうそうだ。
私は始発のロープウェイで降り七十一番弥谷寺の手前にある温泉を目指す事を伝える。

66番札所 雲辺寺本堂

納経所の女性が通夜堂の準備を終えるのを待ち、彼女を通夜堂に案内していった。
私は納経所の前に荷物を置きゆっくり参拝し荷物を持ってテントの設置場所へ移動した。


山頂のロープウェイ乗り場

テントを張り終えた頃日が落ちてきたので、トイレに行き水浴びをし服を着替えテントに戻った。
今日はかなりの強行軍だったので、テントの中に横になったら直ぐに寝てしまった。

本日のお宿

本日の歩行距離  40.0Km(57,394歩)
お参りした札所  第六十四番三角寺、六十五番雲辺寺

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