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【#03神奈川県3/9】アクセスの良さが魅力 神奈川県のスタートアップ報告レポート

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xG(クロスジー)メディアは自治体とスタートアップの共創に関する有益な情報をお届けするメディアです。
コンテンツ第一弾として、全国の自治体施策の報告会をnoteにまとめていきます。
『自治体施策を活用してみたいけれどよくわからない』と思っているスタートアップの方々の参考になれば幸いです。

読んで欲しい方

・自治体施策を活用したいけど概要がわからない
・実証実験のメリットを知りたい
・どのような成果があるのか知りたい

「KSAP」とは

かながわ・スタートアップ・アクセラレーションプログラムとは世の中の困りごと・解決しづらい社会の課題を、ビジネスを通じて解決するスタートアップを公募し、メンタリングやネットワークによる支援などを通じてビジネスモデルの磨き上げと事業拡大の支援を行うというもの。

プログラムの支援内容

・ソーシャルベンチャー支援:最大100万円(税込)
・WeWork内『SHINみなとみらい』の無料利用
・神奈川県との連携・相談
・社会価値を重視したメンタリング
・投資家や大企業とのネットワークの支援
・スタートアップ成長プログラム

採択企業5社の実施報告レポート

Iqilu株式会社

●会社概要

骨格・パーソナルカラー診断と機械学習を用いて洋服の似合う度を数値化し、最適なアイテムを提案する「FuKuMikke」を運営。アパレルストア内に実装され、商品を似合う度でカテゴリー分けし、検索から購入までのプロセスを最適化する。ダッシュボードで効果を確認することができ、お客様のデータや似合うアイテムの提案も可能。

●実施概要と成果

ウェブサイト内でサービスを効果的に実装するためには、アパレルブランドとの緊密な協力が不可欠である。そのため、関係企業へのヒアリングを実施。企業からは、「成約率や返品率の改善が見込める」という期待に満ちたコメントや、「実際に成果が出るのであれば、喜んで導入したい」という意欲的な意見が寄せられた。
これらの声を受け、サービスの価値を最大限に引き出すため、ダッシュボード機能の充実を行った。また、ダッシュボード機能の充実により、企業は自社の業績や顧客データを簡単に把握できるようになり、迅速な意思決定やアクションが可能となった。これにより、よりタイムリーにサービスの改善や新たな取り組みが実行できるようになり、アパレル業界全体の競争力向上にも寄与できると考えている。

●今後のアクション

Shopifyプラットフォーム上で機能するアプリの開発は無事終了し、現在、審査プロセスが進行中である。審査終了後、アプリが実際にショップの成約率や顧客満足度にどのような影響を与えるかを調査する予定。その情報を元に、追加機能の実装検証を行い、アプリをさらに洗練されたものへと進化させる。最終的には、アプリの改善によってショップの成約率向上や顧客満足度の向上に寄与できることを目指し、引き続き開発と改善に努める。これにより、アパレル業界における新たな価値を創造し、消費者により良いショッピング体験を提供できることを目指していく。

xGメディア事務局コメント

アパレル業界は競争が激しく、成約率や返品率の改善が企業にとって重要な課題となっています。このサービスは、骨格・パーソナルカラー診断と機械学習を用いて、顧客に最適なアイテムを提案することで、これらの課題を解決する可能性があると感じました。また、Shopifyプラットフォーム上で機能するアプリを開発することで、より多くの企業に導入される機会が増えると考えられます。
顧客データを扱うサービスであるため、実証実験の結果やブランドとの連携、データのセキュリティ対策が今後重要な注力ポイントとなるのではないでしょうか。

株式会社トーチス

●会社概要

腎臓病患者向けの栄養計算アプリである「栄養ビジョン」を運営。このアプリは、写真から自動で食材と重さを認識し、栄養価を算出する機能を備えている。また、日本食品標準成分表から食材を検索し、1日の合計栄養価を求めることができる。

●実施概要と成果

プログラム開始当初は、栄養計算ノートをアプリで代替できるサービスを提供することを目指していた。しかし、運用を進めるうちに、腎臓病患者には栄養計算ノートだけではなく、多くの課題が存在することが明らかになった。
このことから、腎臓病患者が効果的に食事療法を学び、実践できるように、食事療法を学べる機能、栄養計算機能、血液検査記録機能の総合的な利用が必要であると考え、追加実装を行った。

●今後のアクション

どこに住んでいても、腎臓病患者が食事療法を楽しく実践できる未来を目指し、さまざまな情報とサポートを提供していく予定である。
最終的には、医療費の削減とともに、人工透析の回数を減らし、旅行や働きやすい未来を作っていきたい。これにより、腎臓病患者にとってより良い社会環境が生まれ、多くの人々に希望と活力を与えることを目指す。

xGメディア事務局コメント

腎臓病患者向けの栄養計算アプリ市場は、高齢化が進む現代社会において、腎臓病患者数が増加することが予想されるため、今後も成長がしていくのではないでしょうか。また、医療費削減という国家的課題への貢献や、患者の生活の質向上が期待されることから、社会的インパクトを持つ事業として注目されるのではないかと感じました。

株式会社Redge

●会社概要

医療機器管理教育システムを展開するクラウド管理サービス「CeTraX」を運営。医療機器の簡便な管理やデータ活用、持続可能な教育の提供を実現を目的としており、医療機関のDXを支援し、市場調査や海外展開支援を行っている。

●実施概要と成果

途上国においては、透析用機械があるものの、故障し使えない設備が多いのが現状。その原因として、保守点検の未実施や操作不適切が考えられる。プログラム期間中に実施されたアンケートによると、臨床工学技士の約9割が人為的ミスを経験していることが明らかとなった。また、マニュアルの整備が不十分な地域では、この問題がさらに深刻化することが予想される。そのため、今後アジアおよびアフリカの国々に医療機器管理システムと教育システムを提供していくことで、この問題に対処していく必要があるとわかった。

●今後のアクション

今後は、日本をはじめ、アジア地域やアフリカ全土への進出を目指している。これらの地域では、急速な経済発展や高齢化に伴い、医療ニーズが増加しており、効率的で質の高い医療サービスが求められている。しかし、一部の地域では医療インフラが十分に整備されていないことが課題となっている。本サービスが提供する高度な医療機器管理と教育システムは、これらの課題解決に大いに役立つと考え今後規模の拡大を目指していく。

xGメディア事務局コメント

アジアやアフリカ地域では、医療ニーズが増加する一方で、医療インフラが未整備である地域が多く存在します。このような状況下で、医療機器管理教育システムのクラウド管理が、効率的かつ質の高い医療サービスを実現できるのは素晴らしいと感じました。ただ、一部の途上国では、インターネットや通信環境が未整備であることが課題となっており、クラウド管理システムの導入や運用に支障をきたす可能性も考慮しなければならないと感じました。

株式会社kitafuku

●会社概要

ビール製造過程で廃棄されるモルト粕を利用したクラフト紙製品の開発を行う。クラフトビールペーパーはモルト粕を6%配合することにより、ほんのりビール色の温かみのある紙が特徴である。製品ラインナップには、クラフトビールペーパーとクラフトビールカードがあり、メニュー表、ポストカード、名刺、ギフトボックスなどの用途に適している。

●実施概要と成果

ビール製造過程で発生するモルト粕は、多くの醸造所が処分に悩んでおり、一部の醸造所では堆肥やクッキーに加工するなどして対応しているものの、焼却処理が主流で、大変な負担がかかっている現状がある。それらの課題はクラフトビールペーパーで解決できると確認できた。
開発当初はブロアリー向けに製造していたが、環境への配慮や紙の使用に関して、印刷会社や商業施設からも利用したいとの要望が寄せられ新しい需要を知ることにつながった。

●今後のアクション

クラフトビールペーパーの取り組みを神奈川県を基盤として、全国のさまざまな地域に積極的に広めていく計画。各地域ごとに独自の製造工程を確立し、地元の特色を生かしたクラフトビールペーパーを展開していくこと目指す。その一環として、各地のビール醸造所と連携し、地域の魅力や特産品を反映したオリジナルのペーパー製品を開発することも視野に入れている。
さらに、将来的には、環境問題への関心が高いヨーロッパを中心とした海外市場への展開を目指していく予定。

xGメディア事務局コメント

廃棄原料を利用したアップサイクル再生紙という独自性があり、環境に配慮した製品として今後注目されるでしょう。環境問題への関心が高まる中、リサイクルやアップサイクル製品への需要が増加し、市場規模も拡大していくと予想されます。
一方で、クラフトビールペーパーは特殊な原料を利用しているため、原料調達の安定性や、製品の品質・コスト面での競争力が懸念材料となります。また、独自の製品であるため、市場の教育コストや普及活動が必要となる可能性も考えなければならないと感じました。

hab株式会社

●会社概要

子供専用の送迎シャトル運行システムで、共働き世帯の送迎の悩みを解決する次世代送迎サービスhabを運営。スマートフォンを利用して予約、決済、ルート確認などを行い、お子様の習い事に合わせた最適なダイヤとルートを自動生成。地域の習い事教室や公共交通事業者と連携し、信頼できる運行事業者による安心・安全な送迎の提供を目指す。

●実施概要と成果

横浜市内で実施した実証実験では、子ども達が「車内で楽しみながら習い事へ向かえる」という意外な効果も見られた。また、試験的に親御さんが助手席に乗り、他の親御さんと共に子供たちを見守る制度も導入。
アンケート結果からは、費用がかかっても送迎課題の解決を求める声が多く、高い需要を確認できた。

​​●今後のアクション

停留所拠点が不足しているという課題がある。この問題を解決する手段として、駅や学校などの公共施設を停留所として活用することを検討している。このような取り組みにより、地域社会全体が子供たちを見守る環境を築き上げることができると考えている。私たちは、これらの課題解決策を通じて、日本を世界一子育てしやすい国にしていくことを目指しており、その実現に向けて積極的な取り組みを続けていきたい。​​

xGメディア事務局コメント

共働き世帯が増加し、子どもの送迎に対するニーズが高まっている現代において、habのような子ども専用シャトルバスの運行管理システムは大変有望であると考えられます。法規制や安全面における認可の取得が必要であるため、事業展開に時間がかかる点は注意が必要だと感じます。

まとめ

神奈川県は、スタートアップ拠点としていくつかの魅力的な理由があり、中でも東京に隣接する立地によりビジネスや人材交流が容易な点は関東圏ならではの利点だと思います。これにより、事業拡大やパートナーシップ構築のチャンスが圧倒的に増えるためです。

また、「かながわ・スタートアップ・アクセラレーションプログラム(KSAP)」は先輩起業家からのメンタリングがプログラムの魅力の一つであると思います。専任メンターが参加企業と密に連携し、事業拡大や資金調達のサポートを行っていたために、各企業のニーズに合わせた柔軟な支援が可能となり、スタートアップの持続的な成長を促進しているのだと感じました。


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