サッカーワールドカップ、ドイツ戦考察その5

サッカーワールドカップ、日本対ドイツ戦の考察その5。日本勝利の要因を分解します。以下、敬称略。また、私の想像・推測・妄想であることにご留意ください。

日本とドイツの実力差を考えると、森保監督はあらゆる手段を講じる必要があった。ざっくり分解すると以下の4つ。

① ドイツに本来の実力を発揮させない ⇒ 油断させる
② 同上 ⇒ 弱点を突く、あるいは弱点を利用する
③ 日本代表選手の実力を120%発揮させる
④ 日本代表選手を120%使いきる

まず①から。前回大会、はじめてグループリーグで姿を消したドイツ。当然、同じ失敗は繰り返すまいと考えているはず。そんなドイツをいかに油断させるか。そんな意図があったかどうかはわかりませんが、試合前、いやこの試合の後半まで森保監督と言えば、戦術に無知という印象を与えていました。国内のサッカー識者ですら、そんな認識でした。日本代表の研究を進めたドイツ代表も、スカウティングの結果、森保監督は戦術にうといと結論付けていたのではないか。それでも何か隠し持っているかもしれない。試合開始直後は慎重に試合に入っていましたが、何もないな、と感じた10分過ぎから、ドイツ代表は攻勢に出ました。1点しか取れなかったものの、前半は約8割のポゼッション。ハーフタイムでドイツのフリック監督は「やはり森保監督に策はない。後はゴールを決めるのみ」程度の指示で選手を後半のピッチに送り出したのではないでしょうか。だから、日本代表の脅威となっていたミュラーとギュンドアンを後半20分過ぎと早々に交代させたのでしょう。ミュラーとギュンドアンという心臓部にあたる選手がピッチから退いたことが、後半の日本の戦術変更においつかなかった大きな要因となりました。そして油断は焦りにつながり、後半20分過ぎから、ドイツ代表はおたおたしていました。

次に②。ドイツの弱点。それは決定力不足のストライカーとディフェンスライン。後、実はメンタル面。ドイツのフリック監督はバイエルンミュンヘンでチャンピオンズリーグなど3冠を達成した実績があります。そして今大会のドイツ代表にはそのバイエルンミュンヘンの選手が大半を占めています。しかしそこには当時バイエルンにいたレバンドフスキーはおりません。つまり決定力のあるストライカーがいないということ。もしレバンドフスキーがドイツ代表にいたら、前半3-0くらいの点差になっていたでしょう。1点にとどまったのは偶然だけではなく、単にドイツ代表に決定力がなかったと考えることもできます。

そして前半(後半もですが)ドイツを1点に抑えられたのは日本GK権田の活躍も大きい。スーパーセーブを連発し、いわゆるゾーンに入っていました。しかし、偶然ゾーンに入ったのか?私は違うと思います。そもそも日本代表のGKは強豪国を相手にゾーンに入ることが多い歴史があり(川口能活や楢崎、川島等)、ドイツという強豪相手に権田がゾーンに入る確率は高かったと思います。さらに森保監督が権田がゾーンに入るような声掛けを行ったのだと想像します。決定力のないドイツ代表を、ゾーンに入った権田が止める。十分、勝算のある賭けだと私は思います。

またこれまで伊東と堂安、南野と鎌田、三苫などオルタナティブと考えられていた選手を同時に起用。持っている駒を最大限に生かす選手交代。かつこの選手交代は、起用された日本代表選手のモチベーションを高めると同時に、相手ドイツを絶望なまでの混乱に陥れました。選手交代があるたびに、いや局面が変わるたびにシステムが変わりましたから、さすがのドイツ代表も理解が追いついていなかったやに思います。

そして浅野の決勝弾。浅野と言えば、森保監督がサンフレッチェ広島で監督やっていた時の主力選手。当然、彼のことは知り尽くしているでしょう。これまでも大舞台で大きな働きをしてきた浅野選手に、この試合でも同じように大きな働きを期待しての抜擢。その抜擢に応えた浅野もすごいけど、これだけ批判が渦巻く中選んだ森保監督は本当に胆力のある方だなと思います。

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