見出し画像

60代後半重い失語症の夫の日常〜妻のつぶやき2〜

その一

散歩で休憩していると、
夫が手のひらを出して「もうふ」と言う。

もちろんこういう時は毛布じゃない。
この場合はたぶんティッシュだ!

カバンの中から使っていないポケットティッシュを出して渡す。

当たった❤️

想像力が試される。
でも今回はまだ簡単だった。
いつもわからなくて、夫の機嫌が悪くなる。

そのニ

夕食を食べ終わり、薬を飲んだ夫。
すると今までやったことがないのだが、
湯呑みを倒してしまったのだ。
まだたっぷり入っていたお茶。
食卓の下にも流れていった。

私は慌てて台拭きを取りに行き、
拭き始める。
夫は少しスマホにかかってしまい、
大慌てでティッシュで拭いている。
カバーがかかっているので、
大丈夫そうだなと思って見ていた。

すると「これなんだ」と何度も言う。
かなり焦った言い方で。
ちらっと見たら、
スマホの画面が変わっている。
つまり拭いているうちに、
何かのアプリを押してしまったのだろう。

「大丈夫だよ」と言うと
「これ、なんだ」
とどんどん大きな声になっていく。
興奮状態になっている!

これはまずい。

お茶を拭くのをやめて
夫のスマホを見る。
なんとApple storeのアプリを
タップしてしまったのか。

夫のスマホを借りて、
指で下から上にシュッとする。

一瞬で元の画面に戻った。

「あー」と言う夫。
こちらも一瞬で元の夫に戻った。

何もなかったように、
スマホを持って
ソファのところに行ってしまった。

残された私は
まだたっぷり溢れているお茶を
拭き始めた。

ちょっとしたことで、興奮するんだな。
勉強になった…。


その三

テレビの画面が
録画する番組表になっている。
予約している番組が2つある。
それを見ながら、何かを言っている。
「わからないんだ」と言う言葉はわかった。
リモコンも私に差し出している。

ということは録画予約をしたが、
どちらかをやめたいということか?
「こっちをやめるの?」
と指差すとそうみたいな感じがするが、
もう一つの番組を指さしても同じような
感じで答えるではないか!

ようは私に頼んだのだから、
あとはやってもらうだけみたいな
夫の態度なのである。

だからどっちよ‼️

仕方ないので、
番組の名前を見てみると、
ははーん。
わかったぞ。
どうみても1つは夫が見ないタイプの
番組だった。

それを選んで、予約を消す画面にする。
一応、夫に確認すると、
それだそれみたいな顔をしている。

だめならまた予約すればいいか。
と思いながら、消去した。

夫に予約の印がないのを確認してもらうと
合っていたようで、
満足そうにして何も言わなかった。

この一か八か作戦は
よくやってしまうのである。
合っていれば万々歳。
間違っていようなら
夫の機嫌が最悪になるのだ。

今回はうまくいって、よしよし。
懲りない私。

夫はリモコンの使い方を覚えたなと
思っていたが、
また忘れてしまうこともよくあり、
適当に押していることもよくある。
なかなか難しい。


つぶやき2はここでおしまいです。
ありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?