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奇妙な状況に巻き込まれるもシリアスな顔で笑いを爆発させる新境地~ジェフリー・ライト~

ACTORS PROFILE Vol. 17

ジェフリー・ライト
「アメリカン・フィクション」


長後の都知事が選ぶ代表作
「フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊」

1965年アメリカ生まれ。奇妙な状況に巻き込まれるもシリアスな顔で笑いを爆発させる新境地。

 売れない作家モンクはぶち切れていた。自分の作品は「黒人らしさ」なるものが足りないと文句を付けられ、逆にステレオタイプな黒人の貧困やギャングを題材にした作品がヒットを飛ばし、もてはやされている状況に対して怒っていた。そんな彼は皮肉で、ステレオタイプな黒人の作品を書いてやろうと考える。

もう我慢ならない。

 ▲ライトは、基本的にはシリアスな作品の印象が強い俳優だ。「バスキア」で、若くして亡くなった伝説的アーティスト、ジャン=ミシェル・バスキアを演じて高い評価を得たライトだが、注目をより集めたのは舞台やテレビでの活躍だろう。特に舞台版、テレビドラマ版共に出演した「エンジェルス・イン・アメリカ」で、トニー賞やエミー賞、ゴールデン・グローブ賞を獲得する高評価を得た。以後、映画でも助演で印象的な役を演じることが多くなる。「クライシス・オブ・アメリカ」や「シリアナ」「スーパー・チューズデー」といったシリアス実録ドラマや「007」シリーズと「ハンガー・ゲーム」シリーズ、「THE BATMAN」のようなハリウッドの大作にも顔を出している。気難しい顔が印象的な彼ながら、実はコメディでもいい味わいをみせる。

「フレンチ・ディスパッチ」より。

 ▲ウェス・アンダーソン作品の「フレンチ・ディスパッチ」と「アステロイド・シティ」において、前者では料理の記事を書くジャーナリスト、後者では田舎町にある軍施設の将軍を演じた。両作品とも豪華キャストが無限に出てくるので、目立つことは難しいはずなのだが、両作品とも彼の気難しい面構えが、アンダーソン作品の軽快な作風に溶け込み、世界観を奥深くしていた。「アステロイド・シティ」での一糸乱れぬ演説場面は最高以外の何物でもない。今回の「アメリカン・フィクション」は主演で、そのコメディの才能を爆発させる。

hahaha…

 ▲ステレオタイプな黒人のテーマばかりの作品がヒットする、昨今の状況に不満を持ちながらも、その成功が妬ましいモンクはジョークでその流行りに乗っかり、作品はまさかの大ヒット。彼は忌み嫌っていた状況に自らを置いてしまう。「バカな振る舞いをするほど、リッチになっていく」と彼はボヤく。

 ▲名声という狂気じみた状況に置かれた正気の男の実像。ライトは厳つい顔を維持しながら、内面に生じる歪みを忍ばせる。迫力いっぱいに、可笑しさも躍動させる離れ業を決める。


ジェフリー・ライトの関連動画

・ジェフリー・ライトをフィーチャーした映像

・Variety誌恒例のACTORS ON ACTORSにてタラジ・P・ヘンソンとの対談

・映画芸術科学アカデミーにて「AMERICAN FICTION」チームのインタビュー

・「アステロイド・シティ」より、一糸乱れぬ演説シーン(3:20~)


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