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カリスマ的力強いプリズムで、絆で結ばれた者たちを優しく包み込む〜タラジ・P・ヘンソン〜

ACTORS PROFILE Vol. 12

タラジ・P・ヘンソン
「カラーパープル」


1970年アメリカ生まれ。カリスマ的力強いプリズムで、絆で結ばれた者たちを優しく包み込む。

 シャグ・エイヴリーは活火山のような人だ。当時の女性像をぶち破るようなパフォーマーで、アフリカ系の誇りに根差した輝きを感じる。そして主人公たちを見守る眼差しが印象的だ。

わたしのお通りよ。

 ▲ヘンソンのパーソナリティには、このキャラクターに近いものがある。しかし、いつもはそのボリュームを絞っている。彼女がブレイクした「ハッスル&フロウ」では妊娠中の内向的な娼婦シュグ役を演じていて、ラッパー志望のポン引きの主人公がトラックを作るときに、彼女にフックを歌わせる。実は美しい歌声を持つ彼女が、楽曲制作を通じて新たな自信を持ち始める美しい演技。ハードな連中の中でも柔らかな存在感を見せていた。

「ドリーム」より。白人&男性優位の宇宙開発において才能を発揮する。

オスカー候補になった「ベンジャミン・バトン」もそうだ。80歳から遡って成長する奇妙な主人公を受け入れて、愛情を込めて育てる母を演じた。ここでも穏やかな役柄だったが、彼を力強くサポートする包容力に安心の錨を下ろした。「ドリーム」では60年代の宇宙開発競争時に、優秀な数学者としてNASAの計画に参加し、活躍した主人公キャサリンを演じた。差別に立ち向かいながら、仲間たちを守る姿勢に感動させられる。

主人公セリーをサポート

 ▲ヘンソンが自身のエッセンスである優しさ、包容力、誇りをフルボリュームで演じたのは、テレビドラマ「Empire 成功の代償」のクッキー役だ。長い刑期を終えて一代で成り上がったレコード会社を経営する家族の元へとクッキーは戻ってくる。激しい性格ながら家族を守る思いは誰よりもある魅力的なキャラクターだった。

「カラーパープル」でも、そのエッセンスはフルボリュームのようだ。主人公や周りの女性たちを繋ぎ、インスパイアする存在として磁石のように惹きつけるパフォーマンス。もちろん圧巻の歌声を響かせることだろう。

 ▲先駆者である者は常に犠牲を伴う。だが彼女は優しさと包容力でギュッと全てを抱く。そして離すことはない。だから皆にとってのロックとなるのだ。


タラジ・P・ヘンソンとアカデミー賞

・第81回アカデミー賞(2008)助演女優賞候補:ベンジャミン・バトン/数奇な人生

 ブレイクから数年後「ベンジャミン・バトン」で初のオスカー候補に挙がったヘンソン。前哨戦で強力な存在だった「愛を読むひと」のケイト・ウィンスレットが、主演にスイッチしたことで混戦模様だった同部門だったが、ぴったりとウィンスレットの後ろにつき、批評家賞でも存在感をみせていた「それでも恋するバルセロナ」のペネロペ・クルスが助演女優賞を受賞した。スペインの土地でカップルを翻弄する役でそのセクシーな魅力を爆発させた。


おまけ

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