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私は全ての怪優の生みの親、デフォーです〜ウィレム・デフォー〜
ACTORS PROFILE Vol. 23
ウィレム・デフォー
「哀れなるものたち」
1955年アメリカ生まれ。私は全ての怪優の生みの親、デフォーです。
Dr.ゴッドウィン・バクスターは、天才的な科学者だが狂っている。自殺した女性ベラをこの世に蘇らせることに成功したからだ。彼女の親代わりとなった彼は、彼女の運命を握っているかに思えたのだが…。
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▲1980年代から「プラトーン」や「L.A.大捜査線/狼たちの街」「ストリート・オブ・ファイヤー」等の作品で、その一度見たら忘れられない、アクの強い面立ちで大活躍し、現在も個性的な演技を連発して、尊敬を集めるデフォー。「フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法」のような厳しくも、優しく主人公たちを見守るモーテルの管理人ボビーのように善人役も渋く決められるが、何より悪者を演じた時のデフォーの鬼気迫るパフォーマンスに勝るものはない。「スパイダーマン」シリーズなんて、彼のグリーンゴブリンがいなかったら、全く違うものになっていただろう。
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2019年の「ライトハウス」でも、絶対に二人きりは避けたい灯台守りの老人を演じ、現実と幻想の間に存在するかのような身の毛がよだつ魔物級パフォーマンスを披露した。
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▲その奇怪なデフォースタイルは「哀れなるものたち」でも健在だろうか。今回は6時間かけてメーキャップを施し、いつものアクの強いデフォーとは別人の奇天烈な姿に変身した。自殺した女性の胎児の脳をその女性の頭に移植し、蘇らせることに成功した狂った科学者としてダークな魅力を発散しているという。もちろん作品のテーマにも触れるような奇妙な可笑しさもあることだろう。
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▲気づけばウェス・アンダーソンやロバート・エガースといった個性的な監督に愛されて、150本近い映画に出演しているデフォー。いまもなお挑戦的な役柄に挑み続けて、作品に彼らしい重みを与えている。
ウィレム・デフォーとアカデミー賞
・第59回アカデミー賞(1986)助演男優賞候補:プラトーン
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ブレイクからほどなくしてデフォーは「プラトーン」でオスカーに初めて候補入りを果たした。オスカー作品賞に輝いた本作で、彼はベトナム戦争に従軍する軍曹エリアスを演じた。トム・べレンジャー演じる鬼軍曹(こちらもオスカーノミニー)の対極にいる良心を持った男を好演した。絶命シーンはあまりにも有名。受賞は「ハンナとその姉妹」のマイケル・ケイン。妻の妹に思いを寄せる不埒な中年を人間味たっぷりに演じた。「ジョーズ'87 復讐篇」撮影中のために授賞式を欠席したことを、後年ネタにされている。
・第73回アカデミー賞(2000)助演男優賞候補:シャドウ・オブ・ヴァンパイア
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そのアクの強い役柄で大作からインディーズまで幅広く出演してきたデフォー。2度目のノミネートとなった「シャドウ・オブ・ヴァンパイア」ではサイレント期の名作「吸血鬼ノスフェラトゥ」の主演俳優マックス・シュレックは本当に吸血鬼だったという、プロットだけでも面白そうな作品で吸血鬼を演じた。コミカルでちょっと不気味な演技は流石の一言。受賞したのは「トラフィック」のベニチオ・デル・トロ。アメリカ・メキシコの麻薬戦争を群像劇で描く本作で、デル・トロはメキシコの麻薬捜査官を演じた。危険な雰囲気だが、正義に真直ぐの捜査官で迫真の演技をみせた。これは納得の受賞。でも主演でも差し支えなくない?
・第90回アカデミー賞(2017)助演男優賞候補:フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法
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デフォー久々の17年ぶりのノミネートとなった作品は「フロリダ・プロジェクト」。フロリダのディズニーワールド近くにある貧困層が住むモーテルの管理人を演じた。厳しい性格の持ち主だが、いざという時は主人公たちに優しい頼りになる役を演じた。だからか、もうどうすることもできない展開になった時の彼の後ろ姿に胸が痛む。批評家賞では圧勝していたが、オスカーは「スリー・ビルボード」のサム・ロックウェルに渡った。田舎町で警官として働いているが、暴力的で人種差別的のどうしようもない奴を演じた。ロックウェルは、そんな男の微妙な心の変化を体現して、長い俳優生活で初めての候補、そして受賞となった。めでたい。
・第91回アカデミー賞(2018)主演男優賞候補:永遠の門 ゴッホの見た未来
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二年連続でオスカー候補、しかも今回は初の主演候補となったデフォー。「永遠の門」ではヴィンセント・ヴァン・ゴッホを演じた。自身も画家である監督ジュリアン・シュナーベルによる独特な作風の中で、苦悩を抱えるゴッホの晩年を演じた。受賞は「ボヘミアン・ラプソディ」のラミ・マレック。フレディ・マーキュリーのステージパフォーマンスを再現し、観る者を熱狂の渦に巻き込んだ。
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