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和飲通信4月号vol.289


 こんにちは。満開の桜が美しいですね。
今降らなくていいのに、と、雨をうらめしく感じます。

 さて、また牡蠣のお話で恐縮ですが、3 月中旬から岩牡蠣が入荷するようになりました。今の時期は長崎県五島列島産のブランド牡蠣【椿】(つばき)と、島根県海士町(あまちょう)産ブランド牡蠣【春香】(はるか)の2種類です。真牡蠣はこれまで何度も開けて食べてきましたが、岩牡蠣は開けるのも食べるのも初めてでした。

 写真をご覧いただきますと分かりますように、真牡蠣と岩牡蠣ではサイズがこんなにも違います。食べてみますと味わいも全く違っていて、真牡蠣よりも岩牡蠣の方が数倍力強い味わいで濃厚、塩味も強く美味しいです。ただ、難しいのはワインとの相性で、真牡蠣にはさっぱりしたソアヴェ(イタリア)や、アントル・ド・メール(ボルドー)、軽めのシャンパンやスパークリングが合いますが、岩牡蠣の場合はその味の強さにワインが負けてしまいます。

 そこで試したのがまずは「シノン」ロワールの名手フィリップ・アリエさんが造る、シュナンブランを新樽で熟成させた銘酒です。思った通り抜群の相性で、さらに岩牡蠣が美味しくなったように感じました。さらにもう1 本、今度はコートデュローヌから世界イチの評価をほしいままに受け続けている、ドメーヌ・ヴィエイユ・ジュリアンヌのコートデュローヌ・ブラン。 こちらもコクのあるどっしりタイプですが、清々しい清涼感もあって見事な相性です。こうなってくると試さずにはいられないのが、やはり我らがジークリストです。


 本当ならトップキュヴェのシャルドネ・レゼルヴを合わせたかったのですが現在品切れで入荷待ち。そこで、ディ・ブルーノを試しました。あの Brunoが初めて自分の名前をラベルに記した魂の1本です。これはもう開けたてから別次元の良い香りと味わいです。ピノグリ、リースリング、シャルドネをブレンドして樽熟成。フレッシュなレモンやグレープフルーツ、樽からくる上質なモンラッシェのような熟成香。飲み口は適度にオイリーでスルッと滑らかですが、口の中で果実の美味しさとブドウの力強さが溢れ出てきます。えもいわれぬ美味しさです。もちろん岩牡蠣との相性も完璧でした。

 書いているだけでまた飲んで食べたくなります(笑)皆様も試してみたくありませんか?

 そこで、こんな牡蠣とワインの美味しさを皆さまにも体験していただきたいので、最初で最後(?)の【春の牡蠣祭り】を開催させていただきます。

牡蠣小屋トウハン会員様以外もご参加いただけます。
この機会にぜひ牡蠣小屋トウハンをお試しください。

【春の牡蠣祭り】※予約制
日時:4 月 27 日(土)、28 日(日)、29 日(月)
   いずれもお昼12時〜19時(L.O18時半)
定員:1日10名様(完全予約制)
※参加ご希望の皆様はご希望日3日前までに、ご希望時間と人数をお知らせください。
※当日のメニュー
【真牡蠣三産地3個】¥1,350〜
【ワイン蒸し三産地3個】¥1,450〜
【岩牡蠣1個】¥1,280〜
【グラスワイン】¥700〜

今月は牡蠣とワインの宣伝でした。それではまた来月。

社長 石橋朋和

お問い合わせ、ご予約は・・・
トウハン☎️0942−32−2239 ✉️wein@touhan.com

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 若草の萌え立つ季節となりましたが、お変わりございませんでしょうか。「暑さ寒さも彼岸まで」と言われますが、まさにその通りになってきましたね。これからだんだん暖かくなってくると思いますが、季節の変わり目ですのでどうぞくれぐれもお体に気を付けてお過ごしください。

 さて、大変恐縮ですが、今回も私の昔話をさせて頂きます。私は昭和47年3月に明大を卒業しました。明大柔道部出身者はそのほとんどが卒業後、実業団や警察などに入り柔道を継続するのが当たり前でしたが、私は柔道とは全く無縁の新宿二幸という食料品専門店に就職しました。

新宿二幸(新宿歴史博物館データベースより)

 その頃東京に住んでおられた方ならご存じではないかと思いますが、新宿で待ち合わせする際の待ち合わせ場所として大変有名な所でした。なぜそんな所に就職したかと申しますと、当時私どもは、とうはんフードセンターという食料品店を営んでおり、昭和47年5月に開業する米城ビル(久留米岩田屋)の地下に出店することが決まっていました。

 そういう訳で、私に食料品店のノウハウを学ばせようと、父親から新宿二幸の入社試験を受けるようにとの指示があり、コネもあって無事入社することになった次第です。新宿二幸は三越の子会社で、店舗は新宿の他にスーパー形式のお店が3店舗、さらには三越各店の肉売り場や食堂などを営んでいました。

 入社して1ヶ月間くらい研修がありましたが、新宿二幸での店頭販売、三越本店の肉売り場や特別食堂での研修が今でも強烈に印象に残っています。特に三越本店ではお客様への接し方や言葉遣いなどをとても厳しく指導されました。やがて研修期間も終わり、配属が言い渡されましたが、私は千葉県船橋市北習志野にある二幸習志野ストアーというスーパーマーケットに決まりました。学生時代は4年間船橋市本中山という所に住んでいましたので、今度こそ東京に住めると思っていましたが、またしても千葉県に住むことになりました。

 二幸習志野ストアーは規模が小さく、食料品と少しばかり雑貨品を取り扱っていましたが、私は青果売り場への配属となりました。青果売り場の責任者は年配の方で、二幸習志野ストアーのオープンに合わせて入社されたのだそうです。もとはご自分で青果業を営んでおられたようで、二幸に請われて入社されたと伺いました。配属された翌日から、2トントラックを運転して船橋市の青果市場に仕入れに行くことになりました。

 船橋市の青果市場は久留米の市場より規模が大きく、責任者の方との待ち合わせ場所を探すのに苦労したのを覚えています。責任者の方と会い、セリに同行することになりましたが、もちろん私はついていくだけです。責任者の方はベテランで、いたる所で知り合いの方に挨拶しながらセリを進めていきます。セリが完了したら仲買のお店でそれ以外の商品を仕入れ、それらをすべてトラックに積み込み、一路習志野ストアーに戻ることになります。このような仕事を習志野ストアーに在籍中の2年間ずっとやっていました。

 市場から戻ってからは商品の品出しに追われます。ほうれん草や小松菜、キャベツに大根ニンジンなどの野菜類から、季節に応じた果物まで幅広く、初めは名前を覚えるのに苦労しました。お昼を過ぎてからは毎日のように店頭の仮設売り場での販売に従事しました。店頭で声を出して売るなど、それまでしたことはありませんでしたので、初めは恥ずかしかったのですが、だんだんと慣れていきました。ある時お客様から「あなたは九州出身でしょう」と言われ、「どうして分かりましたか」と尋ねたところ、「いらっしゃいましぇ〜」で分かりましたと言われました。自分では「いらっしゃいませ〜」と言っていたつもりでしたが、それからは意識して「せ」の発音に気 を付けるようになりました。続きはまた来月お話しさせて頂きます。

石橋広一

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『ワインのお話107』

ボルドーの内田修さんが丹精込めて育てたカベルネソーヴィニヨン

 ワインはぶどうの品種によって味わいが変わるのはご存じと思いますが、今回は代表的な6つの品種についてお話しさせて頂きます。

ワインスクールをご卒業または在籍中の皆様はもうご存じのことばかりだと思いますが、復習の意味でお読み頂ければ幸いです。

まず、赤ワインの代表的な品種は、カベルネソーヴィニヨン、ピノノワール、メルローです。カベルネソーヴィニヨンはフランス・ボルドー地方を代表する品種で赤紫色の濃い色合い、そして濃厚な味わいで長期熟成にも耐えうるワインとなります。

ピノノワールはブルゴーニュにおける最重要品種で色合いはルビー色、そして香りは華やかで軽やかな味わいと三拍子そろった素晴らしいワインとなります。偉大なロマネコンティももちろんピノノワールで造られています。

そしてメルローはカベルネソーヴィニヨンと双璧をなすボルドーの重要品種です。赤紫の濃い色合いや香りはカベルネソーヴィニヨンと似ていますが、果実味があるのにタンニンが少なめで、まろやかな味わいのワインになります。

近年ボルドーではシャトー・ペトリュースやシャトー・ル・パンといったメルロー主体で造られたワインに人気が集まっています。白ワインの代表的な品種はシャルドネ、ソーヴィニヨンブラン、リースリングです。

シャルドネはその土地の風土に見事に染まり、ブルゴーニュ・シャブリ地区では生ガキなどに合うすっきりした辛口のワインに、そしてシャンパーニュ地方では高級シャンパンに、そしてブルゴーニュ・コートドボーヌ地区ではコクのある濃厚なワインに仕上がります。

ソーヴィニヨンブランはボルドー地方などで多く造られていますが、青草やハーブのような香りがあり、爽やかですっきりした味わいのワインになります。

リースリングはドイツの代表的な品種で貴腐ワインやアイスワインなど甘口ワインには欠くことのできない品種ですが、近年は爽やかな香りとフルーティな味わいの辛口仕立てのワインが多く造られています。

ワインをお召し上がりの際は品種をお確かめ頂くことをお勧め致します。

石橋広一


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