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『国境騎士団・バリアント 〜「お前は存在してはいけない生物だ」・・・俺と対峙した者は何故か不思議と口にする 〜』 第6話

第1話

『─────震えて待ってな!!』

ブッッ…ザッ…ザッ…ザ──────

「・・・どうするんですか!?アザートさん、捕まってしまいましたよ!?」

「まぁまぁ、落ち着くニャ。アザート君がそう簡単に死ぬ事なんてまず無い。では、私達は何をするか?この状況を利用しようじゃないか」

「利用する?この分かれた状況を・・・ですか?」

ニャルラの言葉の意味が良く分かっていないヨグ。

「奴は言った。『自分は副長』『お前達の相手』だと・・・つまり、もう1人敵は存在するって事になる。そして、ソイツはアザート君と闘うみたい」

「あ!二手に分かれるのは効率的・・・そう言いたい訳ですね」

「その通〜り。では、先に進もうじゃないか。待ってるだけってのは性に合わないニャ」

そう言うと、ニャルラとヨグは屋敷の中へと探索しに行った。

──────
────
──

「ハロハロハロー、聞こえてるアーク?手筈通りアザートの奴を地下に送ったぜ。後は美女、美少女と3Pと決め込むだけだぜ、俺は」

『あぁ、良くやった。ソイツらはお前の好きにしろ。だが、決して油断はするな、気を抜くな。そこがお前の悪いところだからな』

「へいへいへい、わーてますよ。じゃっ、また数十分後落ち合おうや」

『そうか・・・奴がいた。ではな』

ブッ…ツーーーツーーーツーーー

「気を抜くなも何も楽勝だろう、女だぜ。俺のテクですぐにイかせてやるよ。いくぞ、テメーら」

ルイはそう声を上げると十数人の黒服達と共に部屋から出た。

「俺の手練手管で奴等の身体中の穴という穴から体液を垂れ流させてやる。快楽の海へと堕として一生性奴隷として生かしてやろうじゃねーか」

そう口にするルイの顔はまさに愉悦!と言った表情だ。

鼻歌までも歌っている。

「なぁ、テメーもそう思うだろ────」

ドパン!!!

いきなり破裂した。

振り向いた瞬間に血飛沫が舞う。

ルイの隣にいた男がまるでパンパンに膨れた風船に針で突いたかのように粉々になった。

「な・・・なんだと!?」

ルイは驚き、正面を見る。

すると、そこには先程監視カメラに映っていた女が槍を持って立っているではないか!

「誰が快楽の海へと堕とすんだって?あぁ、君達が堕ちてくれるんだ。君達の死によってね」

暗くてニャルラの表情は良く見えないが、口が笑っているのは確かに捉えることが出来た。

「ヤッ・・・ヤれぇぇぇ!!!」

屋敷中に響き渡るかのような掛け声が鳴り響き、それが皮切りとなり十数人が銃火器を構える。

そして、そのまま射撃────かに見えたが、次のある言葉によりそれが無とかした。

「遅いね」

ドパァァァァァァァン!!!

射撃が始まる前に前列6人の臓器が勢いよく吹き出しながら肉体が破壊される。

「仕事場に辞表は出したかニャ?否、お前みたいなクズはニートか。親類に遺言は済ませたかニャ?否、お前みたいなクズに親類はいないか。震えて死ね」

「・・・アッハッハッハッハッハ!それで良い。コレが良いんだ。漫画でもそうさ。何でもかんでも主人公に従順な奴は面白くない。興奮しない。強情な奴を屈服させる・・・すんごく興奮するんだよねぇ〜!」

ルイはそう言い、『パチンッ』と指を鳴らした。

すると、奥の方から十数人の黒服達が現れる。

「アンタが幾ら強くても多勢に無勢だ。さっさと俺に屈服しな!」

そう叫ぶと黒服達がニャルラに向けて前進してくる。

「多勢に無勢・・・ねぇ。違うね、多勢が無勢なのだよ。ヨグ君!」

「─────りょー解」

その一言と共にニャルラの後ろから影が出現する。

黒い影が縫うように黒服達の間を舞う。

ハチドリのように舞う。

そして、その影はついに全ての黒服を抜け、団体の背後に立った。

何が通り過ぎた?

何かしたのか?

ルイがそう思い、後ろを振り向いた。

振り向いた・・・振り向いた眼前には・・・

地獄!

地獄が広がってた。

「なん────」

何もかもが切り刻まれていた。

頭、首、腕、足、身体、心臓、脳、肝臓、胃、腸、性器、銃火器・・・etc

何もかもが肉塊へと化していた。

その果てに何者かがいる。

地獄の先に何かがいる。

─────死神だ。

大鎌を片手に持つ死神がそこに立っていた。

「きさ────」

眼前・・・

数メールトル先にいた、一瞬の内に死神が眼前に存在した。

ジャキ!!!

鎌がルイの首に当たる。

「ニャルラさん、コイツどうします?」

「まだ殺さないよ。まだ殺しちゃダメだよ。彼から色々話してもらわないと」

ニャルラはそう言ってルイに近づく。

「テメー、ヨグか?中々やるじゃねーか・・・報告書によれば臆病者と記載されてたんだがな」

「うちのヨグ君はやればできる子だからね。さて、無駄話はそこまで何故アザート君を狙う?」

ニコニコからの一変真剣な顔で質問する、ニャルラ。

「クックックック!さぁね?俺は知らないからな。俺は何にも知らない。知りたきゃ、アークに聞きな。まぁ、手遅れだと思うがな」

「アーク?手遅れ?」

「今頃、アンタらのアザートは死んでるだろうな。アークによってな!」

──────
────
──

時間はアザートが地下に落ちた直後に遡る・・・

地下は漆黒の闇に包まれており、通常の人間なら何も見えない状況だ。

しかし、異形者であるアザートは夜目があるので問題は無い。

さらに、アザートは邪眼を発動された。

邪眼とは邪神型のみ使える能力の1つ・・・
目に力を入れ赤黒く変色させるのが発動条件・・・発動中は生物を壁などの遮蔽物を無視して感知できるようになる。

「ほう、さて鬼か蛇かどちらが来る?」

その目に何かが映ったのであろう・・・

アザートは笑みを浮かべながらその者が近づいてくるのを待った。

そして・・・

「そうか・・・奴がいた。ではな」

「・・・遅かったではないか。罠にかけた割には・・・」

アザートがその者に問いかける。

「そうか・・・それは良かったことではないか。寿命がそれだけ長引いた訳だ。だが、もう終わりだ」

「終わり?俺が?一体誰が俺を終わらせる?誰が終わらせると言うのだ。貴様か?貴様なのか?貴様如きが俺を終わらせるのか?有象無象の1人である貴様如きが」

アザートは狂気に満ちた顔を見せながら相手を煽り立てる。

「そうか・・・ならば見せてやろう。貴様にこの俺、アークの恐ろしさを・・・」

そう言い終わるや否や・・・

一瞬で・・・

否、一瞬の時もたたぬ内・・・

眼前に・・・アザートの眼前に銀の銃を突きつけたアークが存在した。

「ほう!コレは中々────」

ドバァァァン!!!

弾け飛んだ・・・

アザートの肉体全てが一瞬で弾け飛んだ。

臓器全てが吹き出し、血は止めること知らず流れ出る。

勝負は決した・・・様に見えるが、アークの顔は一部の油断は無い。

アークは知っている・・・知っているのだ。

コレくらいでは死なぬ事を・・・

コレくらいでは最恐とは言われない事を・・・

「─────速いじゃないか」

バァーーン!!!

背後からの銃声・・・

勿論、アザートが発した銃声だ。

着弾するまでの距離2m・・・

避ける事など到底不可能。

ここはその弾丸を致命傷にならぬ様に受けるのがベスト。

誰しもが・・・アザートまでもがそう思っていた。

しかし、その考えが無残にも跡形もなく消し去る事象が起きた。

「ほーーーう」

その事象にアザートは感嘆の声を上げる。

その事象・・・それは言ってみれば高速・・・

否、神速移動であった。

「遅い・・・遅すぎるぞ、アザート。貴様の攻撃など俺には届きはしない、何をしても」

バァーーン!!!

バァーーン!!!

バァーーン!!!

しかし、アザートはその言葉を聞かずにアークに向け射撃する。

しかし、その全てをアークはギリギリのところで回避する。

「無駄だ、無駄だ!何をしても当たらなければ無意味なのだ!」

ドバァァァン!!!

今度はアークがアザートに向け、射撃する。

そして、先程同様臓器を噴き出し破壊されるアザートの肉体・・・

しかし、直後に再生・・・そのまま射撃・・・そして、既の所で回避するアーク。

その繰り返しが永遠と続く・・・

続く・・・続く・・・続く・・続く・・・続く続く続く続く続く続く続く続く続く続く続く続く続く続く続く続く続く続く続く続く──────

しかし、ある瞬間に変化が起こる。

バァーーン!!!

「ぐっ!」

アザートが放った一撃がアークの腕を掠った。

当たりもしなかった筈の一撃が初めてアークを掠めたのだ。

しかし、当てたアザートの表情は強張りを見せ、当てられたアークは笑みを浮かべている。

「当てたか・・・素晴らしいな。流石は邪神型・・・適応能力が早い、このまま繰り返せばいずれ出血多量で死ぬかもな。・・・相手が人間であれば」

アークは含みある言い方をし、腕を掲げた。

すると、どうだろうか・・・

銃弾が掠り、血が止めなく流れ出る傷口が瞬く間に再生しているではないか!

「やはり・・・か」

「そうだ!俺は人間ではない。異形者だ!異形者なのだよ!では、どうなるか分かるな?貴様が考えていたであろう、持久戦も音を立てて崩壊した。終わりなのだよ、貴様は!」

アークは突きつける。

アザートの考えが瓦解したであろうと考え、絶望に陥れる為に・・・

絶望の色に染まる表情を見る為に・・・

─────しかし、現実は・・・この男は違った。

パン・・・パンパン・・・パンパンパン・・・パンパンパンパンパンパンパンパンパンパン

アザートは拍手をした。

拍手をし始めた。

まるでコンサートのオーケストラの演奏が終わったかのように拍手喝采を上げたのだ。

「な・・・何している!?」

まさかの行動に動揺を隠しきれないアーク。

「素晴らしい・・・本当に素晴らしい!そして、楽しい!これ程心踊るのはいつぶりだろうか?認めよう、貴様は有象無象の存在ではなく素晴らしい個人だ」

「ほざくな!!!」

ドバァァァン!!!

アザートの肉体が破壊される。

そして、同時に再生される。

何度も見た光景・・・

しかし、アザートの不気味な行動をきっかけにアークは動揺を隠しきれない。

「(何故だ!何故まだ再生する!何故避けようもとしない!既に2、30回は破壊しているぞ!何故死なない!・・・不死身なのか?いや、不死身など存在しない!では、何故────)」

全力でアークは思考する。

そんな中アザートは静かに・・・しかし、アークに聞こえるように呟いた。

「こんなにも楽しませてくれたのだ。貴様には『堕とし子』で殺してやる」


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