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【鉄道】駅の将来2

改めて、前回の問い
1.交通結節点(スムーズな乗り換えを実現)
2.街の賑わいの中心(商業施設、コミュニティセンター等)
3.それ以外?

前回結論を述べると宣言しておきながら、その前に少し海外の動向を考察したい。ちょうどコロナ前後くらいからか「15 minutes city」というコンセプトが欧州やアジア主要都市から発表されはじめたような気がする。類似するコンセプトとしては、Walkable city、分散型都市、コンパクトシティといったところだろうか。そう思うと考え方自体は決して目新しいものでもないように見える。

こちらが代表的なフランス パリの15 minutes city

シンガポールの20-Minute Towns & a 45-minute Cityも同様のコンセプト


基本的な考え方は「日常生活は公共交通/自転車/徒歩の組み合わせで15-20分以内に完結する」というものだ(と理解している)
これは、駅を中心とした街づくり、と言い換えることもできる。わりとコロナ前後くらいからこのコンセプトが世界中で取り沙汰されているが、一方で表層的な理解に留まらず、その背景までしっかりと理解したいところでもある。

例えばパリの場合は、上記Youtubeを見てもらえばわかるように、CO2削減がその目的として大きく取り上げられている。日本とは異なりパリはまだまだ自動車での移動が主流であり、実際に幹線道路を除いたあらゆる道に車が駐車している光景が見られる。ゆえに空気も決してキレイとは言えない状態だ。このような事態が続く場合、パリが都市としての魅力・競争力を失う、という潜在的な脅威に対して、15 min cityというコンセプトを打ち出したのだという解釈もできる。

一方、シンガポールの場合は事情が全く異なる。シンガポールという国はとても国土が狭い国で、ざっくり東京23区と同程度の面積に人口500~600万人が暮らしている。実際、一部の富裕層を除くと多くの国民が高層マンションに暮らすことで、土地の有効活用をしている。話を戻すと、20-Minute Towns & a 45-minute Cityにおいても「土地の制約」が非常に大きなドライバーとなっている。国の方針で国土に占める「道路」の面積は決められており、既にほぼ上限に達している中で、人々がこれ以上自家用車で移動すると渋滞が発生し、とはいえ道路面積は増やせないので対応のしようがないのである。従って、できる限り大量輸送機関である公共交通を利用してもらうことが大事となるのだが、その際に利便性が高くないと人々は公共交通機関を使わなくなるため、この20-Minute Towns & a 45-minute Cityという都市機能を集約するという考え方に至ったのだと解釈できる。

なお、上記の考えはあくまで一断面を切り取った視点なので、必ずしもこれだけが理由ではないだろうが、表層的に同じような施策でも、その背景となる考え方や目的は異なっている、ということで日本が表層的な施策だけを真似してもうまくいくはずがないと考えられる。

だいぶ寄り道をしてしまったが、次回は海外事例からの学びも踏まえて、日本における駅の位置づけについて考察していきたい。



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