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TYPE-MOONでしか描けない、美しい青春物語。魔法使いの夜という作品について

「魔法使いの夜(以下まほよ)」僕はこの作品に並々ならぬ思いがある。
2年前に初プレイをして以来数えきれないほど繰り返し、何度プレイしてもラストシーンである「家路→ED→ある日の出来事」の感動は色あせる気配がない。

心に残る作品は時に生き方すらも変えてくれる。まほよに出会ってから、情熱をもって何かに取り組むことの楽しさを思い出し、まほよを通じてそれまでの自分では考えもしなかった経験をさせてもらったりもした。

このように、色々な意味で間違いなく僕の人生を変えてくれた一本である「魔法使いの夜」。しかしこの作品が持つパワーやブランド力の割に、世間様に認知されていると感じる場面が少ない。

だから今日は少し真面目に「魔法使いの夜」を紹介したいと思う。
もしこの記事を見てくれた人の頭に少しでも「魔法使いの夜」という言葉が残ってくれればとても嬉しい。


魔法使いの夜とは?

①簡単な概要

「魔法使いの夜」は大人気ゲームブランドTYPE-MOONによって制作された伝奇ビジュアルノベルゲームだ。
PC版が2012年春に発売され、そこから約10年の時を経て1年前の2022年冬に家庭用番が発売された。

また、公開日は未定だがFateシリーズ・鬼滅の刃で有名なufortable制作での劇場版が控えており、今後のメディア展開にも期待がかかる作品である。

②あらすじ

あらすじは公式ホームページから引用すると以下の通りである。

1980年後半。華やかさと活力に満ちた時代の黄昏時。
都会に降りてきた少年は、現代に生きる二人の魔女とすれ違う。

少年はごく普通に暮らしていて、
彼女は凛々しく胸を張って、
少女は眠るように隠れ住んで。

三者三様の星の巡り。
交わるなんてもっての他。
何もかも違う三人の共同生活が始まるのは、あと、もうちょっと先の話――

公式ホームページ

これだけでは少し分かりにくいかもしれないので補足しておくと、
山育ちの少年「静稀草十郎」と魔法使い「蒼崎青子」、洋館の少女「久遠寺有珠」の3人が中心となって進む、少しの間の不思議な共同生活。
というのが大まかなストーリーとなっている。

メインキャラの3人

③他作品との関連性

型月作品は基本的に同一世界で起こる話を描いており、本作も例外ではない。ちなみに、時系列的には「魔法使いの夜→月姫」となっている。

さらにメインキャラクターの一人である「蒼崎青子」は同ブランドの「月姫」で主人公の師匠的立場であるため、本作は「蒼崎青子の前日譚」という楽しみ方も出来る。

また「第五魔法」や「蒼崎橙子」など、型月世界においてかなり重要な要素である用語や人物の深堀りもされるため、型月設定厨にはたまらない作品でもあったりする。

作品の魅力とは?

①動くノベルゲーム

僕はこれまで8作品程度しかノベルゲームをプレイしていないのだが、その中でもまほよのスクリプト(ゲームの動作)は群を抜いている。(いろんなサイトを見てもまほよのスクリプトは評価されているので、間違いなく高レベルなのだと思う)

映像と見間違えるほどの戦闘シーン。奥行きを使ったキャラクターの配置表現など、通常のノベルゲームではあまり見られないレベルの演出がこれでもかというほど出てくる。

作品自体は今から10年ほど前だが、今のノベルゲームと比較しても全く見劣りしていない。

②奈須きのこの青春論

シナリオ担当の奈須きのこ氏が

「まほよ」は1980年代のジュブナイルを強く意識しました。(中略)1980年代という緩やかな時間をベースにした世界を作るという事にこだわりたかった。結果的にそれが穏やかで静かな空気を産み出す事につながったんだと思います。

TYPE-MOONの原点を辿る「魔法使いの夜」インタビュー。奈須きのこ&こやまひろかず&つくりものじ氏の3名に聞く,ノベルゲームの未来と可能性

と述べたように、ストーリーはもちろんBGMや背景・演出なども含めて、全方位からまほよは少年少女の青春物語だということが強く感じられる。

型月世界と”きのこ節”は他の型月作品でも見ることが出来るが、型月の青春物をここまで高密度で味わえるのはまほよだけだと思っている。

③3人称視点・一本道で進むストーリー

本作はノベルゲームでは珍しい3人称視点かつ選択肢なしで進行するゲームとなっている。しかし手抜きというわけでは全くなく、先述したスクリプトの妙により、同じ画面がほとんどなく、ノベルゲームでも映画でもない特異な体験を楽しむことが出来る。

3人称視点となった理由に、そもそも原作が奈須氏が昔同人として執筆した小説だったことがある。その小説が3人称視点で進んでいたため、1人称視点では作品の空気感を表現できないと判断されたため、テキスト・演出を中心にした独特の作風に仕上がったのだ。

どんな人におすすめ?

まずおすすめしたいのは「FateやFGOは知っていて他のTYPE-MOON作品に興味はあるけど、何からプレイしたらよいか分からない!」という人である。
プレイ時間は12時間程度なので月姫よりも圧倒的に短く、空の境界よりも映像があって楽しみやすい。時系列順に見てもFate stay nightよりも前の話なので、情報の補完などがしやすいだろう。

次におすすめしたいのは「魔法使いの夜は知ってるんだけど、映画化するからゲームはいいかな」と思っている人である。映画の情報は現在時点でまったく出ていない! いつやるか分からない映画を待つなら、先に原作をプレイして古参オタクぶろう!

最後におすすめするのは「上記以外の全人類」だ。心配するな、英語圏の君も大丈夫! リメイク版は英語・中国語対応だぞ!

これから楽しむには?

この記事を読んで少しでもまほよに興味を持ってくれたらとても嬉しい。そんな人のためにおすすめの楽しみ方をここにのせておこうと思う。

サクッと楽しみたい人は「リメイク版→映画」
じっくり楽しみたい人は「月姫→PC版→リメイク版→映画」の順でプレイすることをおススメする。

この記事を見て少しでも「魔法使いの夜」という単語を覚えてくれると嬉しい。

また「魔法使いの夜」に関してもっと知りたい! という人は下記のリンクの対談を見て欲しい。僕が書いたよくわからない文よりも分かりやすくまとまっているはずだ。

ではさらばだー


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