モトグッツィはメジャーな存在?
日本市場のモトグッツィ
モトグッツィの日本における知名度は下の下、紛うこと無きドマイナー車種と言って良い。
100人のライダーにモトグッツィってご存じですか?って尋ねてみて20人が知っていると答えたら上出来か。いやどうだろう、筆者の憶測にすぎないので実際に確かめた訳ではないが
道の駅でコーヒーを飲んでいると、あのバイクなんだろう?と
遠巻きに首をかしげるライダーを見かけるのもまた事実だ。
日本には、ホンダ、ヤマハ、カワサキ、スズキと世界でも知名度バツグン、規模も桁違いの二輪製造メーカーが四天王を形成しており
輸入車についても、ハーレー、BMW、ドゥカティ、トライアンフが、日本における輸入車四天王と言っていいだろう。
近年ではKTMもその鮮やかなオレンジ色を基調とした存在感が鮮烈だ。我らがモトグッツィはというと・・・現実は中々厳しい、知らない人の方が当たり前の域を出ていない。
(でもそこがイイって思っているグッツィスタも少なくない、筆者もそう)
下の下と思っていたが・・・?
先ほど、思いっきり知名度は下の下なんて書き殴った。
まず街中ですれ違うことは無いし、現行車種でSSを出している訳じゃないから、際立った性能という意味で雑誌の紙面を飾ることもあまりない。
何ならキワモノだったりゲテモノ扱いのフシさえある。
まぁなんにせよ、データで見てみようと日本自動車輸入組合の22年度輸入小型二輪車新車登録台数(速報)を参照した。
するとどうだろう、明確に分類された外車全17ブランドの中で8位に位置しているではないか!
むしろ、同じピアッジオの一派としてはアプリリアよりその位置は高く、ピアッジオ自体よりも日本では新車が売れている!
これは結構知名度があると思っていいのではないだろうか。
ロイヤルエンフィールドやMVアグスタよりも22年度は売れているのだ。イタリアの二輪ブランドとしてはドゥカティに次ぐ売れ行きだし、老舗としての威厳は十分保っている様に思う。
過去と比べてどうなのか
という訳で日本自動車輸入組合の過去遡れるデータすべてを集めて、サクッとグラフを起こしてみた。
縦軸の積み上げ(灰色)はグッツィの新車登録数、折れ線(赤色)が外車の総新車登録数、マーカー付折れ線(緑色)は年度毎のグッツィが占めるシェア率を示している。
どうやら19年度から、輸入車自体の新車登録数は伸び傾向で
22年度は2.5万台の大台を突破したようだ。ハーレーなどが1万台に迫る勢いを記録しており、四輪のアメ車は苦戦するが、二輪ではダントツだ。つまり、街中を走る22年度に新車登録を受けた外車は、100台中37台はハーレーという事になる。強い。
それに続くのがBMWとトライアンフだ。この御三家で70台強を占めており、残る30台未満をドゥカティやKTM、ハスクバーナが奪い合って、残りカスに等しいパイをインディアンやモトグッツィ、ロイヤルエンフィールドが1台づつ分け合っている感じだ。
ともする中で、モトグッツィのシェア率は、輸入車の新車登録総数の上昇に合わせて微増を続け、22年度は過去最高の新車登録台数を記録した。
過去12年間で、13年度も輸入車の新車登録台数が伸び、釣られてモトグッツィも1.72%とシェアを伸ばしている。この時期、まだV9やV85TTといったモデルは無く、まだV7後期型の頃だ。
過去のニュースを振り返ると、ピアッジオジャパンにモトグッツィやベスパの販売権が本格的に移管された頃らしい。
即ち販売網の強化や拡充が、13年度好調の一因なのだろうか。
ただ、その次、更に次と前年割れを続けているので、一過性の特需をあっという間に消化してしまったのかもしれない。
それだけ日本でグッツィを買い求める人間はそもそも多くないという事だろう。
筆者がV7IIを購入し登録がなされた2016年3月、つまり15年度は日本で245台しか新車登録されなかった。
近年で最も新車登録が少ない年にモトグッツィを買った一人が筆者だ。その少なさ故に、モトグッツィのミーティングやSNSのグループでもV7IIが妙に数少なく感じるのも合点が行く。
17年度7月にはV7IIIが販売となり、足掛けでV7IIは2年カタログに載ったか微妙だ。19年度にはV85TTも販売され、順調に数を増やしていっている背景には、新車モデルの投入攻勢が効果的だったという事だろうか。
今後の展望は?
この23年度は、日本におけるV100マンデッロ及びV100マンデッロSの新車登録が初動として何台発生するか見ものだ。
しかし、その新車価格が220万円からと264万円からというのは以前のエントリーでも触れている。
恐らく、V100マンデッロの数的なブーストはそこまで期待できそうにはない。なぜならBMWやドゥカティと価格的に被るどころか、割高感さえある。カッコいいし、新生コンパクトブロック、エアロダイナミクス含めてピカピカの真新しさがV100のチャームポイントだけれど
指名買いするグッツィスタの分母はあまり多くないように考えるのが自然だ。BMWやドゥカティ、トライアンフからの乗り換えもあんまり期待しすぎても枕を涙で濡らすようなハメになる気がするので考えにくい。
そうなると、V7 (850)が今後も屋台骨を務める訳で、22年度1月に車体価格の値上げなどもあったがV7 (850)を求める層は今後もグッツィスタ1年生達のメインストリームになるだろう。
もし、この22年度末の値上げ前駆け込み需要で、新車登録数が短期的に増えたのであれば、23年度は横這いか減少か・・・うーむ・・・
だが、V7 (850)にはしっかりと新色の投入もなされているし
ストーンもスペシャルも値上がりが4.4万円ほどあったにせよ、新色が良いね!と食指が動く人もきっと居るだろう。
昨年までのV7スペシャルのフォーマルブルー、カジュアルグレーの2色展開も素敵な色だったが
23年度から導入のレッドストライプツイントーンとシルバーストライプモノクロームもシックでいい感じだ。こうしたマイナーチェンジも新車登録台数即ち、日本での販売台数上昇に寄与してくれることだろう。
22年度はピアッジオの業績が世界的にとても好調で、過去最高の業績を記録しており公式リリースによれば
という感じで、なんとなくイイカンジらしい。イタリアにあるピアッジオ本社はウッシッシという感じだろうか。
筆者は経済的な分野がスッカラカンなので上手く説明できないが、解らないなりに調べたところによると
EBITDAとEBITの二項目が増加しているのは、概ね事業がうまく回ってちゃんとお金を稼げている。というのを示す様で、ピアッジオグループ自体のバイク販売情勢や新車モデル投入の開発費などを含めてちゃんと稼げている。ということが数字で証明されているのだとか。
V850X
事業が好調で、業績も上り調子であるならば、V100に続くニューモデルは無いのか?と思う諸兄も居るだろう。
実は、V100マンデッロが生まれた傍ら、世界中のグッツィスタをざわつかせたV850Xという未発表のモデルが開発を進められている。
既に車名のロゴについてもイタリア本国では商標登録が済まされており、一部ではスパイショットも掲載されている。
このV850Xは既存のV7 (850)とエンジンを共通としながらも、足回りはワイヤースポークホイールが装着され、なんとなしにアドベンチャーっぽい雰囲気も漂う。
ただ、海外のサイトにもある様にもしV65ラーリオのデザインを継承するような感じであれば、当時はそういう分類が無かったものの、見た目だけはストリートファイターっぽさを感じなくもない。
しかし、V7 (850)のコンポーネントをベースにストリートファイター系というとチグハグな事になるので、やはりストリートファイターとは言い難いのでは等と思う。
車重はV7 (850)よりも軽量に仕上げられ、パワーも微増し、よりフットワークが軽くイマドキなモデルに仕立て上げられる様だ。
"X"という語を含み、アドベンチャーっぽい仕上げであることを想えば、V85TTとV7 (850)の中間に収まるような存在となるのだろうか。
ものすごくモデルレンジを細切れに刻んでる様に感じなくもないが、新規顧客層開拓の一環であるならばそうしたモトグッツィの挑戦は歓迎したい限りだ。
ル・マンの復活は?
これもずっと期待の声が囁かれ続けている、特に今のところ筆者はファンメイドの予想イラストとかCGしか見たことが無いものの
V100マンデッロでモトグッツィが新たに水冷コンパクトブロックを造り上げたことは、排ガス規制や今後のガソリン車を取り巻く潮流に対応するため。という部分は十二分にあるだろう。
となれば、先述の通り業績は好調で売り上げも悪くないとあればV100マンデッロのコンポーネントをベースに、V11以来のル・マンの名前を持った新しいグッツィが出てきてもおかしくはない。
ル・マンの他にもカリフォルニアやグリーゾ、ノルジェ、ステルビオなど歴史に名を刻むグッツィの大御所ネームは沢山あるので
コンパクトブロックを横展開して、そういった商品群の拡充がされることを期待しようではないか。
筆者的なこうなって欲しいな~みたいな願望だらけの話だが
特に根拠も無いのに、あり得ない話ではないと思っている。
まとめ
・モトグッツィは世界でも日本でも売上好調!
・業績が良いのでニューモデルも期待できそう!
・日本での知名度はそんなに悪くない……かも!
以上、JAIAの22年度までのモトグッツィ新車登録数に見る、案外メジャーなのでは!?疑惑を検証した。近年比ではメジャーになった方と言って良い。
(分母が元々少ないので誤差って言われると何も言えないが……)
マイナーだマイナーだと私たちグッツィスタは自虐ネタを良く口にするが、思っていた以上に今後は街中で同郷の友に出会うことが増えるのかもしれない。
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