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身体は闘争を求める

このnoteはアーマード・コア6のネタバレを含みます。
閲覧の際は、その点をご留意下さい。

レースゲームじゃないし・・・

何かしらの事象を羅列した後に、身体は闘争を求める。故に、アーマード・コアの新作が出る。みたいな大喜利をSNSで見かけたことのある人は結構居るんじゃないかと思う。当然、筆者もその一人、その謳い文句はTwitterでも度々見かけていた。
しかしながら、今まで全くアーマード・コアはおろか、フロムソフトウェア製の作品群をプレイしたことは全くなく、旧作も名前を知る程度の物。といっても友人にとても造詣の深い"傭兵"が居て、何度か戦場に連れて行かれそうになったことはある。

殊の外、何かにつけてタイヤが4つ付いていて、自由に走らせることが出来て、それが実在のモデルを用いている。という、言ってしまえばグランツーリスモみたいなのしか遊んでいない筆者。
ロボットゲーなんて触った試しも無く、FPS系ゲームは本当に箸にも棒にも引っかからないレベルのヘタクソっぷりを誇ると自負していて

アーマード・コア?やんないやんない、絶対クリアできんもん。

とある傭兵に勧誘されるも、GT7でリバリーに忙しい筆者はけんもほろろな反応

ってな具合で戦場行きを断っていた。

そうだ、思い出した。フロムソフトウェアといえば"死にゲー"のメッカ。総本山。百貨店。と聞く及ぶ部分もあって、筆者としてはアーマード・コアなんて絶対無理無理ムルティストラーダ、クリア出来ず積みゲーと化すのが関の山。そう決め込んでいた。


目覚めたらルビコンIIIに居た

だが、2023年8月25日、多くの傭兵達が10年間待ち望んだ待望の同シリーズ最新作"アーマード・コア6(以下AC6)"が発売される。その熱量は凄まじく、友人の傭兵は試遊イベントにも出撃しており、それだけでなくSNS上でも多くの関連ワードがトレンド入りしていた。見るからに盛り上がっているのは明白だったが、それでも筆者はそれを横目にGT Autoに籠ってリバリーする日々。
友人の傭兵から再三の勧誘があったが、お前の腰はタンクパーツかというぐらい重く、ずっとGT7たまにGTA5という状況は崩れずにいた。

そんな最新作の発売日から数カ月、世間が年始年末ムード一色。筆者も仕事納めとなり長い長い12連休を得た所に再び"傭兵"から連絡が入った。

密航はよ

惑星ルビコンIIIから届いた手短なメッセージ

あーそういや、冬のボーナス貰ったらやるって言ってたなぁと思いつつ、12連休だしやってみ……

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ルビコンが近い そいつを起こしてくれ

――― ハンドラー・ウォルター ―――

621 仕事の時間だ

――― ハンドラー・ウォルター ―――

フロムの洗礼

年末休暇に入った筆者は、なんの勢いか本当に友人の傭兵に勧められるままルビコンIIIへ渡航してしまった。
いきなり、名前どうするとか聞かれたのでとりあえず"木綿豆腐"とだけ記入を済ませ、そのまま渡航、いや、密航である。

慣れぬロボットの操縦にアタフタしながら進めていくのだが、このチュートリアルの最後に待ち構えるボスがもう手強い。え?これチュートリアルっすよね?GTでいうところの"発進と停止1"ですよね?"国内ライセンスB"ですよね?

こういうのでしょぉ!?!?

チュートリアルだから、チュートリアルっしょ?、チュートリアルだもんな。フロムソフトウェアはそんなセリフ一切吐かせてくれない。
チュートリアルだろうがなんだろうが、そこは戦場、闘争の場なのだ。甘えなどない。武器を取れ。
そんな状態で、正直このチュートリアル突破に苦戦して、GT7を一旦起動して現実逃避したぐらいには手間取った。

本当に無理すぎて1日ぐらいGT7に現実逃避した

で、どうやら友人曰く、この巨大ヘリ(通称:ルビコプター)は半端に距離を取ってはいけないらしい。
どういうこっちゃねーん!って思いながらも、友人のアドバイス通りに、距離を詰めて左手に握りしめたパルスブレードを一心不乱に振り回す筆者。もうその振り回しっぷりといったら、格ゲーをワケも分からずボタンガチャ押しする姿そのもので、右も左も分らぬまま振り回し続けた。

どれくらい時間が経っただろう、左手に握りしめたパルスブレードで一刀両断し、ようやく宿敵ルビコプターを撃墜せしめた。

っしゃぁオラァ!!!

ガッツポーズなんて何年ぶりだったか

ルビコンの空に勝鬨を上げる筆者。ガッツポーズの一つや二つ出るぐらいには、新兵にとって如何に難しかったかを想像して欲しい。
いままでのどんなゲームのチュートリアルよりも鬼じゃん・・・そう思いながら、筆者はハンドラー・ウォルターの元へ戻るのであった。

めっちゃ辛かった

リバリー好きにしろってウォルターが

本作は、自分が持ちうるパーツを駆使して自分だけの機体を"アセンブル"し、そのお気に入りの機体でストーリーを進めていくのだけど、その全てに自分でデカールを貼ることが出来る。
流石にGT7の様に、自分でsvgデータを用意してなんでも取り込めるかというとそうではなく、プリセットで用意された図形を用いて好きに描くことが可能だ。

そうなると途端に何故だか血が騒ぐ。
好きに彩って良いだと……?ふーむ……筆者は考えた。これから一緒に過ごす機体だ。グルグル見回してムフーッと鼻息をフンスフンスできるヤツの方がプレイしてて良いに決まっている。
ストーリーモードは基本的にソロプレイのみなので、多少見た目ありきの構成でもなんとかなるだろう。

最初の数ミッションのうちは、とりあえず黄色に塗っておくか。と筆者のオートバイと同じ色で塗っていたのだが、これがどうにもニンテンドー64用ソフト"ブラストドーザー"に出てくる"サイクロンスーツ"感溢れる感じになってしまい、意外な所で懐かしさに襲われた。

ブラストドーザーみ感じるでしょ?

ショウジノジッカ!

You can do this.

実際に自分のACにあれこれデコレーションを施すと愛着が湧くもので、どうも色々人として感情が欠落しているらしいはずの筆者(621)なのだが、ガレージに籠って機体をマルティニカラーに染め始めた。

マルティニカラーはいいぞ

しかも白じゃなく、1989年のサンレモラリーでお目見えした赤マルティニである。マルティニストライプがとても面倒なやつ。

通称赤デルタでお馴染みのコレ
写真出典:Martin Holmes

デカールの作成はもちろん、貼りこみもGT7と比べてしまうといささか利便性を欠く場面が多い。機体の反対側にコピーペーストさせて……とかはよく感じる。座標をメモって右腕左腕と左右で貼りこむのは面倒だ。

ただ、一つ、AC6が優れている点がある。レイヤーの設定が変えられ、GT7でのリバリー民が言う"抜き"が一発で作れてしまうところだ。
これは素晴らしい、本当に素晴らしい、何層にも重ねたレイヤーを一撃で貫通してくれる超便利レイヤーである。GT7にも欲しい。割とマジで。


顔は見えないのに記憶に残る

AC6は当然ストーリーモードがあるので、個性豊かなキャラクター達が登場する。登場とは言ってもACに搭乗しているところだけがメインで映るので、素顔などはほとんど不明。一応ゲーム内でそうした人物たちを描いたであろう断片的な情報が収集アイテムとして登場するが、その実態の多くは世間の絵が描ける621達の豊かなアイディアを頼る方が解像度が高い。

筆者のお気に入りキャラクターは
・独立傭兵スッラ
・V.Ⅳ ラスティ
・シンダーカーラ

この3名だろうか、いやハンドラー・ウォルターも外しがたいし、今作のヒロインCパルス変異波形エアや不意打ちで泣き叫ぶV.Ⅶ スウィンバーンも良いし、G1ミシガンも最高だ。シナリオ中では容赦なく叩きのめしていいジャンカー・コヨーテスのオーネスト・ブルートゥもネタ要員としてはとてもいい。素敵だ……

ほぼすべてのキャラクターがしっかり描写されており、声を吹き込んだ声優陣の熱演もあって誰一人として霞んでいるような存在が居ない。
なんならメインストーリーに全然噛まない、明確なモブさえもちゃんと記憶に残るぐらいだ。

\2000倍です、総長!/

その声は数学が得意なオオサワか!

――― G1ミシガン ―――

主人公の最側近(登場頻度として)にあたるウォルターやエアを除くとやはり上記で上げた3名を、筆者的AC6名キャラクターとして熱烈にもてはやしたい。

【独立傭兵スッラ】

ウォッチポイントを襲撃するとは、相変わらずだなハンドラー・ウォルター
また犬を飼ったようだが……何度でも殺してやろう。

――― スッラ―――

もうこの登場の嫌味なカンジ全開なのに、イケボとかおめぇ反則!で頭に深く印象が残り、AC6で一番好きなキャラクターかもしれない。
621として既に何戦もこなし、ウォルターめっちゃ良い人ぉ!って思っているプレイヤーの多くに、突然古い知り合いヅラして因縁をビシバシ漂わせて襲って来る。
記憶に残すなという方が難しいぐらいの存在で、後にも先にもチャプター1最終ミッションのウォッチポイント襲撃しか出番がないのに最高に濃いキャラクターだ。

実は次のパルテウス戦へのヒントにもなっている

【V.Ⅳラスティ】

やぁレイヴン、君の良き戦友ヴェスパー部隊のラスティだ。

――― ラスティ―――

本作のシナリオ全ルートで主人公と深くかかわる存在で、ルートによっては最後に死闘となるか共闘となるか異なる。なによりもラスティ役を演じた加瀬康之さんの好演で本作屈指の人気を誇る。
その加瀬さん自身が、Youtubeの自チャンネルでAC6実況プレイ動画をアーカイブで公開している。気になった621諸兄は是非チェックだ。

本作における最高峰イケメン枠

【シンダー・カーラ】

話は聞いてるよ、ビジター
アイスワームだったか?あんた… また技研の遺産に絡まれたみたいだね。

――― カーラ―――

彼女もまた、作中の全ルートで主人公と深くかかわる。ウォルターの猟犬や駄犬、野良犬野郎、ご友人、戦友など色々な呼び名で呼ばれる主人公を"ビジター"と呼ぶ。なんだかんだでウォルター同様に621を色々褒めてくれるし、その頼れる姉御肌全開の声は耳に心地よい。
また、そのイカしたメカセンスは作中でも数多く登場し、自機アセンブルのパーツにもカーラ率いるRaD謹製の武装や装備が多く登場する。
"脱出"では心細いところに颯爽と現れるカーラに、筆者はもう絶対この人に付いていくと決め、1周目はルビコンの火ルートに入ったぐらいだ。

姉御ォォォォォォ!!!!

シナリオは3周

本作は、プレイヤーが主人公621としてシナリオを計3周はかならず回るようになっている。2周目以降は所謂"強くてニューゲーム"みたいなものと考えて良い。ミッションによっては全然強くてニューゲームじゃないんだけども。

所有者ウォルターの意思をカーラと最後まで果たすか。
戦友ラスティとヒロインであるエアと共にルビコンを解放するのか。
とんでもない計画のトリガーを引くことを選ぶのか。

周回ごとに分岐ミッションがあり、シナリオも3周するとなるほどそういうことかぁ!という前の周の裏側ではこんなことが"あり得た"としてシナリオが変化する。

それによっては出会うキャラクター達の見方はかなり変わってくるし、筆者の大好きなスッラおじさんも、1周目はただのウォルターに因縁を持ったチンピラだ。しかし3周目は色々知っており、ある意味で主人公の行く末を"死ぬものだ"として同情していることが分かるなど色々と深い。

安心して欲しいのは、どの周でもブルートゥはクズなので容赦なくぶった斬って良い。サプライズさせてやらないようにいきなり蹴っ飛ばしてやろう。素敵だ……


アセンブルの奥深さ

本作のシナリオは正味ダッシュでばーっと駆け抜けると4時間もあれば1周が済む。案外サクッとしたものだが、そこに厚みや攻略難易度の高低をもたらすのがアセンブルだ。
散々苦労したボスも、武装を見直せば呆気なく倒せたり、大体どのボスも当り障りなく"動かし方"次第でクリアできる機体を目指すことも可能だ。
念入りに攻略の確実さを選ぶのか、圧倒的瞬間火力を巧みに叩き込んで一瞬で終わらすのか、ネタに全振りして思わぬ奇策を立てるのかプレイヤーたる621の自由だ。

そしてこのアセンブル、いうなればグランツーリスモにおけるセッティングみたいなもので、あちらはサーキットにおけるタイムや自分の操縦フィールを好みにしていくものだ。
固有振動数をイジってみたり、ダンパーの減衰変えてみたり、デフのロック率を弄ってみたり、ダウンフォースのバランスを変えてみたり。
AC6ではそうした細かいパラメーターのセットアップ要素は無いが、機体に搭載するジェネレーターやブースター、武装の種類、頭、腕部、胴、脚部の基本パーツは個々に持つスペックが異なるため組み合わせ次第で動かし方がガラリと変わる。
ここにハマると時間があっという間に溶けていくし、見た目も自分好みにしつつ、パラメーターのあの値をもっと引き上げたいとか考え出すと中々止まらない。

本稿ではオンライン対人対戦となる"NEST"については考慮しないこととすると前置きさせてもらい、筆者の感じたアセンブルの感想としては
ブースター一つで急に動きが自分好みかそうでないかで変わるため、その匙加減がとても絶妙なゲームだと感じた。1周目のパルテウス戦に中量四脚で出向いたら全く勝てなかったが、二脚に戻してパルスブレードと拳で斬って殴って殴って殴ってまた斬る!で潜り抜けることができた。

全く考え方を変えてアセンブルを変更したのが吉と出た例だ。しかし、ARENAモードにおいて、特定のキャラクター相手に何度も繰り返し挑みブースターを数種類試していたところ、普段のブースト移動時の最高速だけ優先であるブースターを使ったところ全く歯が立たなくなり
友人の傭兵に相談したところ、クイックブーストの噴射間隔が伸びた事とそのクイックブーストの距離が減衰したことで、避けていた相手の攻撃に当たる様になって削り殺されているぞ。とアドバイスを受けた。

これが正にその通りで、別のブースターに組み替えたところ、途端に勝てるようなった。これには思わず唸ってしまった。

なんだコレェ……奥ふけぇ……

感嘆する筆者

特にハマってやりだしてまだ1週間と経たない時だったので、この時の衝撃と言ったら無かった。ブースト速度が速けりゃなんとかなるっしょ!と雑に考えていた筆者に、各種装備品のパラメーター値がすべて意味あるものだと実感させてくれた瞬間と言える。

現在の筆者が日常的に使用するアセンブル

買って良かったAC6

クルマが出てこないゲームでこんなに入れ込んだのは久々だ。すでに購入から1ヵ月で80時間を超えるプレイに興じている。
ストーリーモードにおける程よいゲームバランス、アセンブルを考えるやり込み要素、魅力的なキャラクター群。
一見すると難しそうで、フロムということもあってどうしてもストレスマッハな死に晒しゲームでは?と勘繰りたくなるが、その実んなこたぁ無い。

ちゃんと進めることができるようになっている

どうしてもクリアできない、突破できないと感じたときにはアセンブルを変更することで活路を見出すことができるし、あえてアセンブルを変えずに自分の動きを工夫して難敵を穿つといった楽しみ方ができる。
また、慣れてきたら自分の動きとアセンブルの火力の一番いい所を発揮して、ボスや敵ACをどれだけ早く屠れるかも楽しめる。

SNSで傭兵達の楽しみかたを見れば千差万別で、主たるゲームの主軸はシナリオを進めるストーリーモードであり、一人でゆっくりとマイペースで遊べる。NESTと呼ばれるオンライン有人対戦は遊んでも遊ばなくても自由だ。ゲーム進行に全く影響はない。

自分のACを綺麗におめかししたり、フォトモードで写真撮影に凝ってもいいし、ゲーム内のシナリオの解像度を高める収集関連をコンプリートしても良い。
闘う意外の遊びも存外楽しめてしまうので、AC6やってみたいけど難しそうだな……と躊躇しているそこの貴方も是非遊んでみて欲しい。

フルプライスで買って損はしないと筆者がお勧めする。レースゲームしかしてこなかった筆者がばっちり楽しめているので、是非に。

ご友人……ッ!!

購入は公式サイトや各種コンシューマストアサイトから

買えますよ!!ご友人!!!!

さぁ、アクセスしましょうご友人!

あぁ……今、クレジットカードで決済を済ませているのですね

素敵だ……

クリック、クリック、インストール

さぁ、楽しみましょう!ご友人

(声にならない気持ち悪い迫り方)


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