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固定残業代は何が問題なのか

度々炎上する固定残業代

なんか定期的に起こっている気がするんですよね。
この度 TOKYO BASEさんが初任給を上げたことを通知した事に対して若干炎上しております。

①企業が意気揚々と求人の賃金を掲載

②みんな賞賛

③尋常じゃない額の固定残業代が含まれていることに気づく

④炎上

恐らくこれからも定期的に起こるこの現象について確認していきましょう。

固定残業代の要件

法律上は定められておりません。どちらかというと通達や実際の運用、判例の積み重ねで固定残業代ってこういうものだよねという形成がされています。
国や司法としては固定残業代の存在を重く見ており導入するには要件を設けています。例として労働条件通知書や雇用契約書での記載方法として

①ダメな例
賃金  30万円(但し固定残業代20時間分を含む)

オッケーな例
賃金  基本給24万円
    固定残業代 6万円 下記の時間外労働に対する割増賃金として支給する。
    法定外時間外労働 ○時間分
    休日労働     ○時間分
    深夜労働     ○時間分

固定残業代をそのままの表記で固定残業代って支給しているところは多くはなく、会社によっては「役職手当」など一見するとわからない手当が固定残業代とされていることがあります。
なので就業規則においても実は「実は役職手当は固定残業代なんすよね。額と含まれる時間数はそれぞれの雇用契約で通知しますんで。」みたいなことを記載する必要がございます。

問題点

TOKYO BASEさんの件に関しましては固定残業代80時間分という点で問題となっております。
専門家の方々が指摘されておりますが下記が問題点かなというところですね。
①そもそも原則として法律で決まっている残業時間は月45時間
②月80時間の残業は過労死ラインに達する
③判例を鑑み公序良俗に違反
ただ、これらは実際にその時間残業をさせた場合に問題となり、固定残業代を設定しただけでは即座に法律違反となるわけではありません。

嫌われている固定残業代 

やっぱり固定残業代に関してみんな嫌悪感ありますよね。私もそうでした。
会社と労働者それぞれの言い分から何が問題なのか考えていきましょう。

会社の言い分  

①働かなくても貰えるじゃん
こういう考え方が多いと思います。確かにそうなんです。
80時間働かなくても80時間分の賃金もらえるって凄くない?という感じです。

②無駄残業抑制
ダラダラ残業に悩んでいる会社さんって今の時代でもそれなりにいらっしゃるんです。事業所が別にあったりすると本当に働いているのかどうかの確認ってやはり手が回らない。一応労働時間管理は会社の義務ではありますが、運用上やはり限度がある。

③残業代計算が面倒
まあ手間ですよね。ただこれには誤解があって法律上としては普通の残業代計算をすると同じところまでは行う必要があります。導入していようがしていまいが、ざっくりは本来許されません。

④人件費削減
これがやっぱり大きいです。
給料に30万円に対して固定残業代6万円を上乗せしている会社はほぼいないと思います。大体が給料30万円に固定残業代6万円を含めています。

労働者の言い分

①実際に残業があるかないかは問題じゃない
いくら実際はないと言われても嫌じゃないですか。労働者側は雇用契約書にサインした時点で「私は月80時間の残業をすることを容認しますし、示された賃金額内で働かせていただきます!」と言っているようなものです。

②労働の価値を下げられている
日本の労働法においては労働時間=賃金となっています。成果型の導入とか昔から言われていますが労働基準法の全面改正が行われない限りこの原則は変わりません。月給でも同じです。
もちろん皆さんそこまで考えてはいませんが、学生からバイトなどで労働というものに関わっていてなんとなくそう感じると思います。
固定残業代は、残業代の計算基礎となる賃金額から除きます。
即ち今回の件の時間単価でいえば1,300円くらいです。業種業界で考える部分もありますがお世辞にも高いとは言えませんよね。

③なんで基本給の上乗せじゃないんだ
こうなりますよね。

固定残業代は悪か

個人的にはそこまで悪いとは思いません。
特に残業代は1分からという現代において、月1時間分でも含めればリスクマネジメントになりますし、会社さんによっては経験の浅い方との雇用契約のみ固定残業代を含んでいる場合もあります。
ただ、何かを導入するには納得が必要です。「納得」は全てに優先します。(ジャイロかっこいいですよね)
なぜそうなっているのか。上っ面の理由だけでなく誠実に考え導入したものであればきっとお互い納得できると思います。


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