読んだ本 「切手帖とピンセット」

「切手帖とピンセット 加藤郁美 国書刊行会
切手コレクションと図書館 ライブラリアンは植物蒐集家

世界各国の切手を紹介した、雑貨屋さんにおいてありそうなかわいい本。

そういえば、わたし、子どもの頃の趣味は、「切手集め」だったことがあったんだった・・切手帖、まだ実家にあるかなぁ。切手をつかむピンセットももっていた。

記念切手の発売日が書かれた紙を郵便局でもらって、記念切手が出る日に郵便局に切手を買いに行ったりしていた。確か、小学校3、4年生の頃。子どもの頃の風景。お菓子の不良品か何かをメーカーに母が問い合わせたら、お礼にそのメーカーのお煎餅と、郵送料の代わりに「切手」が送られてきて、「わー!記念切手だ!」と思って、切手帖に喜んで入れていた。黒井健さんの絵の切手だった。

そうした、自分の懐かしさに触れるような本だった。

小さな図案に描かれた世界を眺めるのが楽しくて買っては眺めていた。

著者のあとがきで、「切手コレクター」について書かれているところに、「コレクションを有する存在である図書館」とのつながりに閃く思いがした・・!

P178引用

「ムーミン谷で、植物採集をしているヘムレンさんは、元は切手コレクターでした。ある日ついにすべての切手を手に入れてしまいました。

〝もう切手を蒐める人じゃなくて、コレクションの持ち主にすぎない。そして、そんなに楽しいことじゃない〟と、絶望した彼は、スノーフの助言によってけして蒐めきることのできない植物蒐集家に転向したのです。完全にカタログ化されているという切手の面白さと面白くなさをなにげなく語るトーベ・ヤンソンはやはりただ者ではありません。」

なんでも「図書館化」する私は、〝コレクションの持ち主になってしまう〟と面白くない、楽しいことじゃないということが強く印象に残った。

「図書館」は、ヘムレンさんにとっての切手のように、資料のコレクションを有するからである。ヘムレンさんのように、植物を集め続けるように資料を蒐集し、コレクションも変化する。面白さ、楽しさが生まれる。「成長する有機体」たるということだなぁと思った。

この元ネタのヘムレンさんのお話が読んでみたい。

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