読書ノート:教養主義の没落

読みました。「教養主義の没落」竹内洋 
中公新書

「学術書を読む」というとっても面白い新刊を読んで、その中で紹介されていた一冊。

教養主義の栄枯盛衰、没落までがとってもわかりやすく書いてある。

大正教養主義:哲学、歴史、文学を通じて人格形成するべし。

マルクス主義(昭和の終わり)

小林多喜二の拷問死あたりからマルクス主義への弾圧が厳しくなり、読書人としてマルクス主義青年が生き延びるしかなくなる。

昭和教養主義 社会に開かれた教養主義

1960年 新中間層による大衆教養主義

1970年 教養知、専門知の幻想が崩れる

全共闘世代は、キャンパス文化に対する家庭内暴力であり、ポス糸全共闘世代は、教養主義からの家出世代って表現がなるほど!!と思った。

私が生まれたのは1982年で、大学に行ったのは、2000年代。もはや教養なんて昔のものになっているころだったのねぇと改めて思った。

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難しい哲学、思想書を読んでることがスタンダード、イケてる時代。そりゃ、箱に入った本が売れまくるわ・・本が売れなくなるというのも当然ではないか・・なんて思う。

その難解な本を果たしてそんなにたくさんの人がちゃんと読んで、わかっていたんだろうか・・。

「教養」に対するコンプレックスが教養主義を成立させていた、そっちのがいいという感じが共有されていたからではないかとも思った。それって今も根底にあるんじゃないかな。

思想や哲学の本を読むのも、30代に入ってから、ここ数年のことで、20代のころはそんな難しい本、読んでなかった。
自分にとって当事者性があることについて知りたいから読んでいて、大げさだが楽しく生きていくために読んでいる。
でも、世間では、知らない、読んでいないということへのコンプレックスを抱いている人もたくさんいるとも思う。

優位に立つため、力を持つための教養ではなく、自分に身近なものとしての教養がリデザインされないかなぁと思う。


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