読書ノート:楽園のカンヴァス

「楽園のカンヴァス」 原田マハ

原田マハのアート小説を読むのは、リーチ先生・サロメで、3冊目。
現在に生きる人が、過去の物語に出会っていくという型が好きなのかな?なんて思った。(サロメではそれがうまくいっていない感じがして、今に生きる人の話必要?!って思ったが。)
当時のアーティストを取り巻く人々を描いていくのが原田マハのアート小説の面白さ。「リーチ先生」では、バーナードリーチ、「サロメ」のピアズリー、今回はアンリ・ルソー。

2人のキュレーターがアンリ・ルソーの絵画に隠された真実を探していくというお話。20世紀初頭のフォービズムやキュビズムを生み出していく画家たちが登場するんだが、みんな若くて、無名。アンリ・マティスやジョルジュ・ブラック、アンドレ・ドランなどの知っている名前の人たちが登場し、思わず「おお!」と、声をあげたくなる。

ルソーは、ヘタウマな画家と、今も面白がって紹介されたりもする。(たしかにフットボールをする人たちの絵とか、大きな赤ちゃんの絵とか、なんともシュールである・・)


ピカソ取り巻く気鋭の画家たちは、ルソーを評価しながら軽蔑する、バカにする、面白がって見ているような様子もあったのかーとか知らなかった。


芸術家同士の関係や創発の中で作品は生まれているが、何百年も後に絵の前に立つ人々には見えない。目の前にある絵画の中にある時間や関係を見つけていくのがキュレーターであるなぁ。
アンリ・ルソーもピカソも好きであるが、2人の画家をバラバラに理解していたのがつながった。さすがキュレーターによる小説!


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