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蝶の羽のはばたきで - A thirsty butterfly reminded me of a beautiful movie

道路の真ん中のひび割れにとまっている1匹の蝶。
羽をふるわせて何をしているのかと覗き込むと、
口を伸ばして、小さな窪みに溜まった水を飲んでいるところだった。
癒しが必要なこの時期だからかも知れないけど、通りすがりの人の目をひき、マスク越しに写真を撮る人たちも。梅雨の晴れ間の微笑ましい風景。

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ひらひらの羽が、昔見たフランスの映画を思い出させた。

潜水服は蝶の夢を見る - 2008年公開 https://ja.m.wikipedia.org/wiki/潜水服は蝶の夢を見る

ファッション誌 ELLEフランス編集長の男性が
43歳の若さで脳梗塞になり、全身麻痺の”ロックドイン・シンドローム”に陥った後、かろうじて
動く左目の瞬き20万回によって綴った自伝を
ベースにした映画。
今までの人生を回顧しつつ、最後まで自分らしく生きようとした主人公の心象風景の映像は、
まさに映画ならではだったと思う。

潜水服に永遠に閉じ込められてしまったかのような身体は、もうそこに置いて、
蝶のようにふわりとどこまでも、どこへでも。
ひらひら、ひらひら。
彼の心の羽は、真っ直ぐ早く飛ぶ鳥のではない、やっぱり、蝶の羽が良かったのだと思う。

なかなか好きなように動けないこの時期に、
この映画を思い出せて良かった。
実話だけに、もちろん、美しいだけではない。
でも、ただただ辛いだけでもない。
シニカルな笑いもありつつ、それでも生き続ける喜びや人間の哀しみが伝わる大人の映画だった。

生きることを選ばなかった悲しいニュースが続きました。
心よりご冥福をお祈りします。

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