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語りつくせないほどの魅力の詰まった「スイミー」by Leo Lionniをぜひ原文でどうぞ


リトル・スマーティ・パンツからりすさん(およそ3歳)コースの4月にお届けする絵本は「Swimmy」by Leo Lionniです。1964年にコルデコット賞を受賞しており、50年以上にわたり愛されている作品です。
日本でも小学校の教科書に掲載されているのでご存じの方も多いかもしれませんね。
 
http://littlesmartypantsbook.com
 
あらすじ
スイミーは黒くて誰より早く泳げる魚なのですが、兄弟たちはみな赤くて、ある日大きなマグロにみんな食べられてしまいます。しかし、はやく泳げるスイミーだけは逃げることができました。途中、海の中でくらげやうなぎなど不思議な生物に出会い、元気を取り戻します。ある日自分たちと同じ仲間の魚を見つけます。しかし彼らは大きな魚に食べられることを恐れて岩陰に隠れて暮らしていました。そこでスイミーは自分の黒い特徴を生かして、目になり、ほかの赤い魚たちはあつまり大きな魚のふりをするのです。そして大きな魚をそれをみて逃げていきます。
 
こちらの絵本の英語での読み方については、下記Yotubeをご参考ください。
 


本書を読む上でのポイントをお伝えします。
 
1イラストの美しさ

海の美しさや登場する魚たちの色彩は鮮やかで、まさに海の中でゆらぎながら暮らしている様を描いています。虹色のくらげや、ロブスターの水玉の模様や尾っぽの先のざらざらした感じ、海藻が鮮やかな氷砂糖の上でゆらゆらと群れをなしているところなど、どれも素晴らしいイラストばかり。特にEelのイラストは圧巻です。うなぎといえば、日本ではうな重のような細くにょろにょろしたうなぎを想像しますが、こちらでは巨大で黄色で頭が大きく口が裂けているウツボをイメージするようです。ぜひお子様とLeo Lionniの上質なイラストや海の生物についても語り合ってみてくださいね。
 
2.スイミーの賢さ

よくよく考えるとスイミーは親兄弟が全員まぐろに食べられてしまうという衝撃的なところからスタートするお話です。人間だったら天涯孤独になり、飢え死にするか、気がふれてしまうことでしょう。しかしスイミーは泳いでいるうちに気持ちが落ち着き、いろんな生物に出会うことで知恵が養われます。もしかしたら自分だけが真っ黒ということにもコンプレックスももっていたのでは?と思うのですが、そういうことからも解放され、自分たちと同じ種族に出会ったときに、スイミーは、thought and thought and though(考えて考えて考えて、、)自分の個性を強みに生かすことが思いついたときのこの表現は、「人生で何か立ちいかないことにであったら、よくよく考えてみてごらん?」と子供たちに投げかけているようです。
 
3.ずっと逃げては生きていけないよということ

スイミーという作品は読む人によって、考えさせられることが多い作品のようです。スイミーが同じ魚の仲間に出会ったときに、彼らは岩場に隠れて生きていました。そこでスイミーはずっと隠れて生きていけないよ、何か行動しよう!と言います。それは、物理的ではないにしても、自分のコンプレックスや苦手なものなどから、どこかに逃げ隠れている人にストレートに響く言葉です。確かに一生逃げてはいけないのです。そういったメッセージを読みきかせの中で伝えることもできますし、本当にスイミーは長年読み継がれるだけの絵本だなと思います。
 
最後に、日本では谷川俊太郎訳のスイミーでなじみがあるこの作品ですが、個人的には英語で読んでいただくとより、この作品の美しさを実感いただけると思います。それにしても何十年も前に読んだ絵本なのに、記憶に残るほどの絵本ってそれだけでもすごいですよね。私はいまでも水族館に行くと、群れを成して泳いでいる魚の大軍を見ると、スイミーを思い出します。
 
お子様との読み聞かせのお時間が充実したものとなりますように。
 
 
 
 

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