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寝ながら気づいた愛の”Eat you up!”~WHERE THEWILD THINGS ARE~

リトル・スマーティ・パンツからしかさん(およそ4歳)コースの2月にお届けした絵本は、「WHERE THE WILD THINGS ARE」by Maurice Sendakです。海外絵本と言えば、この作品!と言われるほど有名で、1964年には、この作品で、コールデコット賞を受賞し、1970年には、彼の作品全体が認められ、国際的なハンス・クリスチャン・アンデルセン賞を受賞しました。これにより彼はこの賞を受賞した最初のアメリカ人イラストレーターになりました。 1983 年には、アメリカ図書館協会からローラ インガルス ワイルダー賞を受賞しました。更に1997 年、センダックはクリントン大統領から国家芸術勲章を授与され、2003年、スウェーデン政府が創設した児童文学の国際賞である第1回アストリッド・リンドグレーン記念賞を受賞しています。とにかく賞を総なめした、世界中で評価された作品であり、イラストレーターです。

http://littlesmartpantsbook.com

あらすじ
 
マックスは、オオカミの着ぐるみを着て、家でいたずらばかりしていました。母親は彼を部屋に閉じ込めてしまいます。そして食事もせずにベッドに入ります。そると、にょきにょきと木が生えて、マックスはワイルドシングスが住む島に向けて出航します。ワイルドシングスは彼を王と名付け、野生のランパスを彼と共有します。ところが、踊りの後、疲れたのか、マックスは少し寂しくなるのです、それと同時に美味しいにおいがしてきます。彼は王様の立場をなげうって、再び船に乗り、家に戻ります。すると、そこにはまだ温かい夕食が彼を待っていました。

 
ネイティブスピーカーによる絵本の読み方については、下記Youtubeをご参考ください。

読み聞かせのポイントについては以下をご参考ください。

(1)   一度見たら忘れられないイラストの素晴らしさ

今でもこの絵本を本屋で初めて見かけたときのことを覚えていますが、雷が落ちるぐらい強烈なインパクトを与えられ、手に取らずにはいられなくなりました。正直、イラストが素晴らしいというよりも、ぎょっとして、怖いけど見てみたい、まじまじと細かいところまで眺めていたいという衝動にかられたというほうが正しい表現です。それは子供も同じなのでしょうか。娘は特にワイルドシングスと月夜の下で踊るところシーンが好きです。ワイルドシングスは、大きな目やするどい爪や牙は共通しているものの、みんなそれぞれ異なる顔をしています。動物のようであったり、モンスターのようであったり、牛のような頭のワイルドシングスは、人間のような足と爪の持ち主です。どうしてなのでしょう?お子様と、この描写についていろいろとお話をしてみてくださいね
 
(2)   選び抜かれた言葉とリズム
海外の絵本がそうであるように、この絵本に登場する言葉は少ないものの、かなり選び抜かれたワードが並びます。韻を踏んでいるのでとても読みやすく聞きやすいリズムを備えています。加えて、いくつか布石のように、“Wild things”や“eat up”という単語がでてくるのです。
日本の絵本では、ワイルドシングスは、“怪獣たち”と訳されているようですが、正直何が適当なのかわからない全く新しい言葉です。それもあってこの絵本の存在は私の心にひっかかったのかもしれません。
 
どうして、母親は彼のことを“WILD THINGS!(このいたずらもの!)”と呼び、マックスは”I’LL EAT YOU UP!(食べちゃうぞ)”と答えたのでしょうか?そしてどうしてこの言葉が大文字なのでしょうか。特にこの“eat you up”は、マックスがワイルドシングスに別れを告げるところでも、ワイルドシングスに”Oh please don’t go we’ll eat you up-we love you so(どうかいかないで、食べちゃうよ。それぐらい愛しているんだ)”と言われていますね。
 
加えて、少し戻ったところですが、マックスがワイルドシングスの心をつかんだシーンでは、“BE STILL”と言っています。それでワイルドシングスはトリックにかかり、彼らはマックスの言葉を恐れるようになったのです。
 
ご存じのようにこの物語はマックスの夢物語です。マックスは、母親に言われたこと、自分の言ったことをベースに夢を見ているから、この言葉が登場するのでしょう。そして帰り際に、“食べちゃうよ、それぐらい大好きなんだよ“というのは、マックスが母親を思う気持ちと同じなのではないでしょうか。また母親がいかにマックスを愛しているかも、マックスはちゃんとわかっています。
 
ちなみに”BE STILL“は子供たちによく使う言葉なので、マックスもお母さんによく言われていて、且つ全然自分には効果のない言葉ですが、ワイルドシングスに使ってみたら、意外にも効果があった!という感じではないでしょうか。
 
(3)   子供の想像力を一緒に楽しもう
この話は現実から夢に行き、また現実に戻ってきます。このように子供は夢や空想が豊かで、寝ていなくても、いつまでも空想の世界と現実を行き来できる達人ですよね。だからこそ一人でもごっこ遊びを心から楽しめますし、目を閉じればどこまでも行くことができます。人生の中でもそれほど幸せで豊かな時間はないなと思いますし、私たちは日々の日常や仕事に追われ、いつからこの空想の世界を描くことを忘れてしまったのだろうと子供たちを見て思います。この絵本はそのことを大人たちに思い出させてくれるという意味でもたぐいまれな存在ではないかと思います。“あれをしなさい”、“これをしなさい”、という日々の現実に子供を追い込むのではなく、この時間は、人生で限られたスペシャルな時間であることを理解し、子供たちには存分に楽しんでもらいましょう。
 
私は娘と空想の話をするのが大好きです。例えば「道ですれ違ったあの親子はどうして急いでいたのかしら?ママは、今から病院に行くから急いでいるのかなと思うんだけどどう思う?」と尋ねてみます。すると、娘は、「きっと彼らは電気を消し忘れてしまって、それが火事になるといけないし、しかも彼らは犬を飼っているから、犬が電気を触ると危ないし、それをスーパーマーケットに行く途中に彼らは思い出して、だから家族で走ってアパートに戻るところではないかしら?」、、、、そんな回答をしてくれるのですが、到底大人には想像できない空想力に完敗してしまいます。

お子様との読み聞かせの時間がよりよいものになりますように。
Let’s try reading!

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