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ハートが降ってくるメルヘンなストーリだけじゃない!深いお話。~The Day It Rained Hearts~

リトル・スマーティ・パンツからきつねさん(およそ2歳)コースの2月にお届けした絵本は、2006年12月に発売された「Day It Rained Hearts: A Valentine's Day Book」by Felicia Bond (Author, Illustrator)です。Felicia Bondといえば、「If you give a mouse a cookies」で誰もがしる有名な作家でありイラストレーターです。両親はアメリカ人ですが、実は横浜で生まれ2年暮らしたことがあるそうです。その後はNYやテキサスで暮らし今はオースティン、サンタフェ、ニューメキシコに住んでいるそうです。

http://littlesmartpantsbook.com

あらすじ

ある日、空からハートがふってきます。コーネリア・オーガスタは、降ってくるハートを次々とつかみます。バレンタインデーの日が近いので、彼女はそれを使ってカードを作ることにします。ハートはすべて異なっています。表から見たり裏からみたり横から見たりして、彼女は友達にちょうど合うものを選びます。

7つのハートを糸でつなぎ、ネックレスを作ったり、とてもハンサムなハートを紙にはりつけ、コットンボールを真ん中に貼り付けます。彼女はそれがすぐに誰にフィットするカードがわかります。他にもとても小さなハートは、紙に貼り付け、ペイントしたり、大きなハートに慎重に穴をあけたりするのです。

送るカードは、彼女の心の中で誰が受け取るものかしっくりと理解しています。そしてそれを封筒で送ります。ネックレスのカードは、犬、大きなハートに穴が開いたものはチーズが大好きなネズミ、小さなハートがちりばめられたカードは亀、コットンボールがついたカードは、コットンボールのようなしっぽのうさぎに届くのです。

翌年、ハートの雨はもう降りませんでした。しかしその代わりにハートの形をした葉っぱの木が育っていました。

ネイティブスピーカーによる絵本の読み方については、下記Yotubeをご参考ください。

読み聞かせのポイントについては以下をご参考ください。

(1)バレンタインの起源について
バレンタインの起源は、聖人バレンチヌスを祭る日に由来していると言われます。当時の皇帝クラウディウスが、兵士の士気が弱まるため、結婚を禁止していたのですが、当時キリスト教の司祭であったヴァレンチノ(バレンタイン)は、秘密で結婚を行っていたのです。それを知った皇帝は、2月14日に彼を処刑します。彼は最後まで愛の尊さを説いた人として、恋人の守護神「聖バレンタイン」と祭られるようになりました。
少し難しいかもしれませんが、ぜひバレンタインという日の起源についてぜひお子様とお話してみてくださいね。

(2)心を込めたバレンタインカード

コーネリア・オーガスタは、ハートはハートでも、ひとりひとりのことを考えながら、心を込めてカードを作りました。最初は少しユニークなカードだなと思っていましたが、それぞれカードをもらった犬も亀もねずみもうさぎも本当にうれしそうですよね。そんな動物たちの表情に触れながら、どんなカードを誰に贈ろうかという話をお子様としてみてくださいね。

(3)どうしてハートの葉をつけた木が?

彼女のイラストは余白がとても多く、色使いも優しく、コーネリア・オーガスタの目も豆粒のようで、奇抜ではありません。優しい気持ちになれるとても控えめなイラストです。しかし、それでも心にしみこみ、記憶に残る魅力があります。

そしてミステリアスなのは、どうして翌年はハートの雨は降らず、ハートの葉をつけた木が生えてきたのでしょう?答えはどこにも書いていませんが、水となって降ってきたハートは、地面に浸透し、その水を吸って成長した木にハートの葉がついたのではないかと思います。そしてそれはまさに人が感謝を込めたハートのカードを受け取ったときに、感謝の気持ちがその人に浸透し、二人のリレーションとして開花する。そんなことを想像させます。優しい時間がもたらしてくれる変化、それをこのハートの木は表現しているのではないでしょうか?

国によって慣習は違いますが、米国のバレンタインは大切な人に感謝の気持ちを伝える日なので、心からその人が喜ぶことはなんだろうか?と考える機会を与えてくれる日ともいえます。あわただしい1年の中で、母の日や父の日、大切な人の誕生日など特定の日が存在しても、お友達や家族含めた大切な人のことを考える日は、バレンタインデーしかありません。感謝の気持ちを交換しあう中で育まれるものは、このハートの葉が実る木のようです。

お子様との読み聞かせの時間がよりよいものになりますように。
Let’s try reading!

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