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いつも怒られているけど、最後はママからアイラブユー~No! David by David Shannon


本屋 リトルスマーティーパンツ in NYC/世界の良質な厳選絵本を低価格でお手元に

リトル・スマーティ・パンツからRisuさん(およそ3歳)コースの5月にお届けした絵本は、No, David! by David Shannonです。

著者であり、イラストレーターのデービッド・シャノンはこのNo, David!で1998年にコールデコットオナー賞を受賞しています。彼は、小さい頃ワシントン・D.Cで育ったのですが小学校の頃は破壊的な子供で学校で大人しくさせるにはクレヨンを握らせて壁に落書きをする事を先生がゆるしていたほどだったようです。後に、彼はカリフォルニアのアートカレッジへ行き経済の挿絵などを本格的に学んだあと、NYで本格的に新聞社「New York Times」などでイラストレーターとして活躍しました。

あらすじ

4才くらいの男の子、デービッドのアメリカでの日常が描かれています。デービッドの行動はお母さんに「NO!」と言われるような事ばかり。その行動は、例えば手の届かない食器棚の上のクッキージャーに手を伸ばしていたり、頭から靴までどろんこで家に上がったり、裸で外に飛び出したり。子供なので、ベッドで飛び跳ねたり、食べ物で遊んだり、そういうことってよくあると思います。ただ、デービッドはお母さんを困らせる子としては、なかなか上級者です。まさに、Mischievous=わんぱくな、茶目っ気のあるいたずらっ子。
何をやるにも、「やめなさい!」とお母さんが叫んでいます。最後に、お母さんの大事な花瓶をデービッドが野球のバットで倒して割ってしまうのですが、少し反省したのか涙を浮かべます。そうすると、お母さんが「デービー、こっちへおいで。」と優しく言います。そして「アイ、ラブユー」とぎゅっと抱きしめます。


ネイティブスピーカーが読み聞かせとページの情景について説明している動画がありますので、下記Yotubeをご参考ください。

読み聞かせのポイントについては以下をご参考ください。

(1)「NO!」という否定的表現を題材にしている稀な絵本。
たくさんの絵本を見てきましたが、なかなか「だめ!やめなさい!」という題材の絵本は見当たりません。なのでこの絵本、珍しいです。冒頭に、著者デービッドのメモがありますが、実はここにヒントが隠れています。
Author's note:
A few years ago, my mother sent me a book I made when I was a little boy. It was called 「No, David」and it was illustrated with drawings of David doing all sort of things he wasn't supposed to do. The text consisted entirely of the words "no" and " David" I thought it would be fun to do a remake celebrating those familiar variations of the universal "no" that we all hear while growing up. Of course "yes" is a wonderful word … but "yes" doesn't keep crayon off the living room wall. 

彼は40才くらいの時にこの絵本を出版しました。ですから、母親から送られてきた子供のデービッドの書いた絵本を見たのは38才くらいの頃かもしれません。十分に大人になりキャリアもでき何の絵本を書くか考えていた時でしょう、ちょうど娘さんも生まれた頃でした。小さいデービッドが書いた本は絵と”ダメ”と”デービッド”という言葉しかなかったのです。大人になったデービッドは、これをリメイクしたら楽しいかもね、世界中の”ダメ!”をお祝いしよう、だって、子育て中に誰もがいう事でしょう。もちろん、”いいね”という言葉は素晴らしいです、だけど、”いいね”はリビングの壁に落書きしてる子のクレヨンを止めないよね??こんなメッセージが込められたこの絵本は、すごく特別な意味合いをもっていると思います。

(2)娘が幼稚園児の時に大ウケ。でもその真相は?
これは、非常に興味深いのですが女の子にこの絵本は比較的人気があるのではないかという事です。女子は、幼くても自分を肯定したり人の気持ちを汲み取るのが得意なので、デービッドのやらかしっぷりを見ても、「こんなことしたらダメだよねー」とか普通に言います。
いや、親からすれば、似たような事あなたも毎日してますよね??と思うのですが。
反対に、やんちゃな男の子はこの絵本があまり好きではないという感想を聞いたことがあります。男の子は情動的で女の子より動揺するものです。何も考えずに行動したり、わんぱくな事を好みます。デービッドの行動をみて、自分とかぶり、悲しい感情が沸くのかもしれません。悪いことをやりたくてやっているのではないんですよね。デービッドも同じです。

(3)文字は少ないが、描かれている風景で倫理を説く、そして愛。
本当に、文字が少ない絵本なのですが、1ページづつにたくさんの情報が詰まっています。デービッドの表情にも色々な思いが込められていることを見て取れます。明らかに、高そうな、置物やガラスの花瓶などが置かれているリビングルームで、デービッドが野球の格好をしてバットを持っています。次に何が起きるか、想像できるかな?といった具合で子どもとお話しするのもいいですね。保育園では、NO!デービッドとYES!デービッドという枠で
黒板に枠を書き、子供から意見をとり何が悪いか、何が良いのか考えるオリエンテーションなんかもよくあります。

幼児たちに教えられる良い例で4B's をご紹介します。お子様と道徳について話す、いい機会ですね。
Be Respectful, 相手を思いやる気持ち
Be Responsible, 自分の行動に責任をもつ
Be Safe     安全におこなう
and Be Kind
.   友達に優しくする

でも、最後はママの愛。いままでノーデービッド!と叫んでいましたが、絵本の最後のページでママは、デービー、こっちにおいでと言うんです。英語では子供のことを、ハニーとかベイビーとか愛らしいニックネームで呼ぶことが愛情表現の一つとなっています。ママはわんぱくなデービッドのことを心から愛しています。そして、それが著者の一番のメッセージなのです。


お子様との読み聞かせの時間がよりよいものになりますように。
Let’s read-aloud!


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