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フィルムパッケージ印刷における校正のお話。

こんにちは。

さてさて。皆さまはフィルムパッケージの印刷方式であるグラビア印刷の『校正』について、ご存知ですか?


結論から言うと、グラビア印刷には本機校正(量産する本印刷と全く同じ環境で行う校正)という概念がありません。
厳密に言うと不可能ではないのですが、本印刷と同額の費用と日数がかかります。なかなかハードルが高いですよね。なのでグラビア印刷で本機校正を行うケースは非常に稀です。

デザイナーからしても、クライアントからしても、校正なしで本印刷に入るのは不安でしかないでしょう。
グラビア印刷はオフセット印刷に比べてデザインの制約や印刷時の注意事項が多いのでなおさらです。


ではフィルムパッケージ制作の過程において、本印刷に入る前の校正を一体どうしているのか。

これが今回のお話です。


インクジェットプリンターで簡易校正


グラビア印刷業界でメジャーな方法としては、ローランドやミマキというインクジェットプリンターを使用することが多いです。特殊なフィルム素材の簡易校正紙でインクジェット出力・校正します。
ただしインクジェットプリンターなので、特色は非対応のためCMYKの掛け合わせになったり、グラデーションの出方の違いなどの注意事項はあります。加えて、色味に関しても、本機と全く同じとはなりません。(製版会社と印刷会社同士がカラーマッチングしていると簡易校正でも本機とニアな色合いが再現可能です。)

次に青焼きと呼ばれる、版を分けた状態で分色を確認する校正があります。各版ごとに出力されるので、色数や濃度、白インキ箇所、スリッター位置なども合わせてここで確認します。

簡易校正と青焼き、グラビア印刷ではこの2工程を踏むことで校正とすることがメジャーです。

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↑ローランド

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↑青焼き


校正と本機との違い

上記でも記載しましたが、あくまで簡易校正という扱いなので、もちろん本機とは仕上がりに差異が発生します。
例えば、、、
薄い色(30%以下の色網)はローランドでは出力できますが、実際の本機だとその濃度の色網はほぼ確実に飛んでしまいます。(特色にすれば再現可能です。)
また、細い線やサイズが小さい文字なども本機では出方が変わってくるので要注意です。

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印刷立会い

最後に印刷立会いです。
印刷現場にクライアント様・デザイナー様・担当営業等が集い、その場で皆んなで印刷結果を確認します。何事もなければスムーズに終わりますが、なかなかシビアな展開になることもしばしば。汗

インキの濃淡などに不具合があればその場で指示し、現場の印刷オペレーターさんに調整してもらいます。
オフセット印刷とは違い、部分的な調整はできず全体での調整になります。ここで、色味を調整した後に「やっぱり前の方が良かったから戻して」と言われる方が多いのですが、一度変えてしまった色を完全に元に戻すことはできないので、そこはご注意いただければと思います。

もう一つご留意いただきたいのが、立会いには決定権がある方にご参加いただくことが重要になります。お客様の会社所在地から離れた印刷会社だったりする場合、写真やZOOM等で遠隔で別の方に決定を委ねることはNG。必ずその場で校了まで持っていきます。


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お伝えしたように、『完璧な校正』というのがなかなか難しい業界。最終的にはクライアント様・デザイナー様共に『落とし所』を探り・見つける必要がある、そう思います。

もちろん不安要素があればなるべくご相談いただいて、ご満足いただけるものに仕上がるようアドバイスさせていただきます!

一緒に良い商品を作りましょう!


今回はこのへんで。ではまた。


アセット 120428