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『Neutral ニュートラル』ー #7 段ボールの作品、混色と肌の色、人種について考える

10月24日(土)からの個展『 Neutral ニュートラル 』
で展示する段ボールに描く作品は、
ここ5年くらい制作している。

初めは知り合いの画家の方のすすめで
家にあった段ボールに描いてみた。

一般的に支持体といえば、
耐久性を持ち合わせていることが条件となるが、
家にあったものは、すでに使い古されていて弱いものだった。

箱としての役目を終えて使い終わった感じと、
捨てずにそこに描く、という行為に興味がわいた。

段ボールにはアクリル絵の具で描いている。
描いてみると思いのほか色が乗り、
独特のマチエールが出た。

キャンバスを画材屋に買いに行かなくてもよいことなども気に入って、それ以来描き続けている。

ここ数年は「自分」について考えることが増え、
今は人物画を描いている。

描く時は、はじめは「自分」のことが頭に浮かんでいるが、
描き出すとそれが別の人物になっていく。

今回の個展会期中にイベントとして行う「来世似顔絵」も、
”自分とは別の人だけど繋がっている”
ところが表現できればと思っている。

制作時はいつも、鏡や自撮り写真を見ながら描く。
絵の具を混ぜ始めると自然と人物が頭に浮かんでくる。
人種や性別はさまざまだ。

使用している絵の具は4色で、
それですべての肌の色を表現している。
最近好きなのは

カドミウムレッド
プライマリーイエロー
ウルトラマリンブルー
ホワイト

の組み合わせだ。

これらをどう合わせるかによって、
肌の色を変える。

例えば、今の自分の肌の色を作りたい時は、
レッドとイエローにホワイトを足して、
少しだけブルーを混ぜれば出来上がる。

もう少し日焼けした肌にしたいときは、
そこにレッドとブルーを多めに足していく。

もし黒人の肌の色をつくりたい時は、
レッドとイエローにブルーを少々で濃い茶色の肌、
そこに更にレッドと多めにブルーを混ぜれば黒い肌などができる。

欧米に多い白い肌の場合は、
ホワイトを基調に少しずつレッドを混ぜてつくっていく。

肌の色は、4色の微調整によって簡単に変えることができる。

人の外見の違いは、実はそんな些細なことだと思う。

黄色人種、黒人、白人など、皮膚の色を表す言葉があるけれど、
本当はスキンカラーは、もっともっと数がある。
一人ひとり違う。

私たちの目に見える「色」は、
光の反射や吸収などで可視化されるので、
暗闇では見ることができない。
光がある場所でしか色は成立しない。
だから暗闇ではみんな同じだ。

絵の具の混色で例えると肌の色は、
少しウルトラマリンブルーを
足すか、足さないか
その程度の違いなんだということに、
最近になって気がついた。

「自分」に意識を向けて制作していたことが、
いつの間にか会ったことのない世界の人たちのことを考えるきっかけになっていた。

小原 緑 個展『 Neutral ニュートラル 』2020年10月24日㈯~11月1日㈰

at STUDIO DIFFUSE MAKE+

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