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2匹の狐と石焼き芋と

5月の連休明けだったか連休前くらいだったと思う
割と寒い感じの日で、私は地下鉄通勤だった

帰りは19時を過ぎていて、完全に真っ暗になったころで
地下鉄を降りて軽く食料品の買い物をして
そこから自宅まで10分はかからない距離を歩いて帰る

軽く買い物したつもりだったけれど
何となく買ったものが重たいし足が疲れていて、
寒いし早く帰りたいのに
なかなかいつもより足が進まない

周囲は住宅街で、公園なんかも割と多い場所だけど、
道路は幅が広い
広いわりにそれほど交通量の多くない道沿いを歩く
街灯はたくさんあるので真っ暗というわけではない

その道沿いのコンビニを二つ通り超えると自宅があるのだけど
一つ目のコンビニくらいに差し掛かるかどうかのところ
少し先のほうで
犬を追いかける中学生(かどうかはわからないけれど小柄な学ランを着た子)がいた
私は出身がほかの市なので、制服を見たところでどこの学生か判別できない

犬の散歩中・・?
犬・・じゃなくキツネ!!え、まさかこんなところにキツネ
よく見たら野生のキツネを追いかける男の子だった
その近くでそのキツネに驚いたカップルが立ち止まる
キツネと男の子が行ってしまったら
カップルもまた歩き始めた
そのあと、私の前を別のキツネが通り過ぎて行った
キツネってそんなにレア動物ではないけど(さすがに街中で見るのは珍しい)
2匹まとめて見かけるのは本当に珍しくて、
さすがに生粋の北海道民の私も驚いた

ただ、近くの川には鹿も出たことがあるし
なんだか野生動物が進出してきているなぁ・・

ヘッダの画像のキツネさんはふわふわ(冬毛かな)で、キツネって感じで可愛いしお世話されているからきれいなのだろうけど
街の中で見かける野生のキタキツネはわりとボサボサで
汚い感じがします
可愛いは可愛いけど
寄生虫がいたりするので、接触は絶対不可

驚いて立ち止まっていたカップルは楽しそうに私の少し先を歩いている
2匹目のキツネには気づかなかった様子で、
じゃんけんしたり笑ったり
金曜日だものね~
楽しそうだなぁとほほえましく思う
彼らは全く気づいていないだろうけど
後ろで勝手にほんわかしていたオバサンは私です

あまり遠くない場所から、石焼き芋の音が聞こえてくる
「♪い~しや~きいも~♪おいしい、おいしい、おいもだよ♪」
寒いから石焼き芋
春だけどまだ売ってるのかな
ずいぶん昔、仕事のお昼休みに何度か同僚と買って食べたことを思い出す

もう一つのコンビニに近づいてきて
あと少しで自宅というところで、そのコンビニのすぐ近くに留まっている石焼き芋カーを見つける

「早くしないと行っちゃうよ♪い~しや~きいも~♪」

買っていっちゃおうかなぁ・・
でもこれからご飯だし、旦那氏はサツマイモを食べないしな、と今回は諦めながら進む

石焼き芋カーは数人の行列ができていて
よく見えないけれど女の人ばかりかな~
すると自宅近くのあたりから若い女の子がコンビニのあたりへ走っていく
今どきの若い女の子は石焼き芋なんて買わないのだろうなぁと
どうでもいいことを考える

それより寒いから早く家に入りたい

コンビニを過ぎて自宅マンションのエレベーターを待つ
待つ間に郵便受けを確認する
チラシを、不要チラシ入れに捨てる

エレベーターが来たので乗ろうとすると、ちょうど金髪?の若い女子がエントランスへ入ってきたので開けて少しだけ待つ
このマンションのエレベーターは1基しかないのに、なかなかのスローペース
10階建ての9階に住んでいる私がさっさと行ってしまうと、
後から乗る人は結構待つ羽目になるので
なるべくなら一緒に乗りませんか、というスタンスの私

こんばんは~とあいさつをし合って女の子が乗ってきた

なにか新聞紙の包みを抱えている
もしや石焼き芋!?ちょっとうらやましい
と思いながらも、会話するような間柄ではないので黙っていると
ほんのり石焼き芋の甘い香り

若くても、石焼き芋食べるよね!
私も若い時に食べてた!!
みたいな変な安心感というか
よくわからない親近感を得ているうちに、その子が先にエレベーターを降りて行った

たった10分足らずの地下鉄からのいつもの道で
色んな事が起きた日だった

キツネは、この周辺でその後も1匹だけ出会ったので
どうやらご近所にお住まいのご様子

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