『横顔』
雨がふるたびに
気が乗らない鼻歌を歌い出す
君の横顔は
いつも幼いくせに
眼差しだけは、
猫のように強靭なもんだから
あまりに辛い玉葱が
鍋の中で甘くなるそのタイミングで
ちょっとこっちを振り返ってくれそうな
そんな気がしてたんだけど
キッチンから覗いてみたら
部屋干しのジャングルの隅で
原材料強がりだけの唇を
ぎゅっと結びなおしているところなので
僕は見て見ぬふりで
鍋に牛肉を投下する
ほんとは何も始められないくせに
取っ掛かりを見つけたような気になって
何度目かの決心
同じように何も始められないでいる僕は
いつもカレーは盛り過ぎてしまうんだよな、と
雨が重力と遊んでいる音を
いつまでもリプレイしている
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