『星空』

地球のまあるい湾曲の上に立っていると
見晴らしよくずっと遠くまで見えるんだ
さっきまで明るかった空が
あっというまに赤と黒の二色になり
遠くの方から柔らかい夜がやってきて
疲れた都市を包み込む

誰かをなじった言葉も
思いがけずに流してしまった血も
鎮静剤はいらないよ
もうすぐ今日という日は
ゆっくり終わるよ

常緑樹だって今夜は眠る
休憩中のタクシードライバーが
ガードレールに寄りかかって
子供にお休みの電話をかけている
大地はゆっくりゆっくり動くから
子守唄にはちょうどいいよね

地球のまあるい湾曲の上に
僕の土踏まずが重なって
180万年分の重力を足の裏に感じながら

すっかり暮れた夜の空に浮かぶ
38万キロ先の友人や
その先に住む星々を眺めていると

おかしいな
あの星こそが
僕のふるさとのような気がしてきたんだ

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