『声のシナプス』

意味なんてないよ
とりとめのないおしゃべり
最初の声と次の声
重なり合う分散和音 
部屋の中をニューロンみたいに行き来して
声のシナプスが
ときどき光る

呼吸のように
自由に言葉を預けられる
画用紙に描いた絵や
帰り道に歌う歌
そんなふうに
自由に言葉を預けられる 

それは誰も聞いていないから
君だけしか聞いていないから

とりとめのない深層心理
はたして突き詰めれば
法則なんてものがあるのだろうか
自分の心を探ってみれば
意識と無意識が戦い合って
疲れ果て
どっちの味方をするのも正直しんどい

どこへ迎えばいいのかなんて
大抵の場合はわからないから
キッチンにいる君に向かって
今日あったことと明日の予定
分散和音 
とりとめのないおしゃべり
部屋の中をニューロンみたいに行き来して
声のシナプスがときどき光る
窓から入る西日に光る

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?