『買い物』

好きなお菓子は昔からこれ
とスーパーマーケットでカートを押しながら
いま、僕に言った?

独り言のように
話しかけてくる
無防備な
韻律

シナプスが記憶してるのは
巨鯨が残していった大きな波紋
その一番端っこに置かれたレジスターで
空想を清算して
僕はお釣りを受け取った

うちに帰った僕たちは
カーヴァーの小説みたいに
ああ今日も何もなかったと
起こった出来事を反芻しながら
巨鯨が悠々と泳いでいくのを
静かに並んで見送っていた



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