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木死すとも森は死せず

森と木が大好きな北海道の佐野です。
昭和29年、洞爺丸台風が北海道の森林に甚大な被害をもたらしました。特に、支笏湖周辺の森林は壊滅的だったそうです。国を挙げて復旧事業に取り組み、今では、当時の面影をほとんど残さないまでに緑が回復しています。

自然の推移に任せた森林

そうした中、風倒木もそのまま放置し、造林も行わずに、自然の推移に任せた状態で森林がどのように変化するかを調べるための試験区が設置されていました。洞爺丸台風から65年たった今、どのような姿になっているのか、見に行きました。

65年たった姿

全体的には細くて若い木が密集して生えていました。まあ、洞爺丸台風直後に生えた木だとして65歳ですから、木としては、まだまだ若造ですよね。100年後、200年後、どのような姿に変わっていくか、楽しみですね。


風倒木の上で成長した樹木たち

林内を歩いてみると、こんもりと盛り上がった土の上に根を絡ませて成長している木がありました。恐らく、台風によって倒れた木の幹や根株の上に落ちた種から発芽し、大きく成長した木でしょう。
中には、風倒木が完全に腐ったのか、根上がり状態の木もたくさんありました。

根株更新した木か?


根上がりの木


この土の塊は倒木が分解された跡か?


ギャップに向かって成長する樹木

洞爺丸台風以降も、平成16年の台風18号をはじめ、大小の台風が上陸し、あるいは、大雪等でも風倒被害が発生していますが、もちろん、そのまま放置して、今日に至っています。このため、比較的若い倒木の上で成長している木や、ぽっかり空いた空間(ギャップ)に向かって一気に成長している木もありました。

風倒によって生じたギャップ


ギャップに向かって伸びるホオノキ


平成16年の台風による倒木か?


倒木更新


大木が倒れた時がチャンス

洞爺丸台風は、未曾有の被害でしたが、台風の多い日本では、毎年のように森林被害が発生しています。そして、この度に、多くの木が倒れて、死んでいますが、どっこい、森はたくましいもので、倒れた木のそばから若い木が、待ってましたとばかりにぐんぐんと成長しています。

恵庭市の恵庭公園では樹齢300年を超すミズナラの大木が、台風で倒れましたが、その周辺では、早くも若い木がたくさん成長していました。

樹齢300年のミズナラの倒木


倒木のそばで成長する若い木たち


倒木には土を耕す効果も?

野幌森林公園にも近年の台風被害の爪痕がたくさん残っていますが、倒木の根元部分から、したたかに発芽するミズナラの赤ちゃんもありました。木が根元から倒れるときには、根の部分の周辺が掘り返されるため、鍬で畑を耕しているのと同じ効果があります。木が倒れた結果、土が盛り上がった部分のことをマウントと呼ぶのですが、マウントは適度に耕された柔らかい土なので、木の赤ちゃんにとっては最高の場所なんですよね。


木死すとも森は死せず

台風に限らず、災害の多い日本では、毎年、どこかで森林被害が発生し、多くの木が死んでいますが、木は死んでも森は死んでいないんですよね。大きな木が死ぬことによって、若い木の誕生に繋がり、森の若返りが図られているわけですよね。

板垣退助の「板垣死すとも自由は死せず」ではありませんが、まさに、「木死すとも森は死せず」ですね。

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