施設という所2

続きです。

食事面に関して言えば
施設に入れたことは
幸運だったかもしれません。
けれど施設には、子供同士、
対職員との壮絶な闘いが待っていました。

子供同士では、いじめがあります。
女子同士では、無視攻撃。
男子同士では暴力。
対職員では、理不尽な暴力や恫喝、
性的虐待もありました。

子供たちはみんな、
不幸な生い立ちを抱え、
闇を持っています。
誰も信じられず、ただ自分が
生き延びることしか考えていないので、
相手が傷つこうが
関係ないのです。
とにかくその狭いコミュニティの中で、
いかに大将になり、暮らしやすくするか
それしかないような感じでした。

例え、子供同士の中で
大将になれたとしても、
職員に対しては、そう簡単には
いきません。
当時、男の職員は
園長先生を含め、4人いました。
園長先生はもうだいぶお年で、
矍鑠としたおじいちゃんという感じでした。
中学生の男子担当の人は、
声を荒げたりせず、淡々と
話して聞かせる、というか、
事なかれ主義というか、
あまり目立たない人でした。
問題はあとの二人です。

一人は、K職員。
毎日どこかで、大きな声で
子供たちを怒鳴りつけていました。
小学生から中学生、男女関係なく
とにかく大声で怒鳴りつけ
威圧していました。
K職員は家族で、女子部屋の奥に
住んでいて、女子部屋の前に
そっと立っては、中の様子を
盗み聞きしていました。
私などはうっかりK職員の悪口を
部屋の中で言ってしまって、
それを聞かれ、怒鳴られ殴られ
壁に頭を打ちつけられ、鼻血が
出たことがありました。

そして、このK職員の一番卑怯な行為は、
夜中に女子部屋に忍び込んで
寝ている中学生の女の子に
いたずらしようとしたことです。
その夜、私が寝ていると、
隣に寝てい同級生の女の子が
私を起こしてきました。
「きんもくせい、おきてくれる?」
「どうしたの?」と聞くと、
「k職員が何度も部屋に来てるの。それで
私が寝ているかどうか、布団を
まくってくるの。」と言うのです。
「えー???」と思いましたが、
しばらく起きているから安心して、
と言って、寝たふりをしながら
待つことにしました。

少しすると、歩いてくる足音が聞こえて、
私たちの部屋の前で止まりました。
曇りガラスにうつるその影は
間違いなくK職員のものでした。
部屋の引き戸がそーっと開けられました。
物音を立てないように、足音も
しないように、静かに
同級生の元に
近づいてきました。
このK職員、普段は足音も大きく、
自分の存在を知らしめるように
歩き回っています。
それなのにこの夜は
これまでに見たことがないくらい
静かに行動していました。

私はしばらく様子を見ていました。
K職員は、本当はいたずらを
しに来たのではなく、
女子部屋の女子たちが
風邪をひかないように
布団を直しに来てくれたのかも
しれないし・・・
んなわけあるか。その日の夜勤じゃないし。
ただならぬ雰囲気を出しながら
K職員はそっと、同級生の女の子の
布団をめくりました。
そして手を伸ばした瞬間、
私が寝がえりをすると、
立ち上がろうとする体勢になりましたが
私の寝たふりを寝ていると確認し、
またもやその女の子の
体に手を伸ばそうとしました。

私は飛び起きて部屋を飛び出し、
廊下を走りながら「たすけて」と叫びました。
すぐに夜勤の保母さんや、
園長先生が部屋から出てきて、
私の傍にきました。
私は一部始終を説明しました。
その時、園長先生も保母さんも
K職員からきちんと話を聞くこと
注意することを約束してくれました。
私も同級生の女の子も
その言葉に安心して、その夜は
眠りにつきました。
けれど、
その事件は、見事に揉み消されました。
何もなかったことにされ、
どの保母さんに聞いても
話を濁されて、何も教えてはもらえず、
しつこく聞けば逆に怒られるという
理不尽な状況になりました。

そして、私はK職員から殴られるという
出来事になるわけです。
仕返し?とは思いたくないけど、
その事件があったために、
私の言動を狙っていたのか、
私の頭を壁に打ちつけながら、
「生意気なんだよ、この野郎」と
確かに言われたことを
憶えています。

もう一人のA職員のことは
次回にします。


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