北国の鳥

河の側にあるアパートに住んでいたことがあった

休みの日には、一日をそこで過ごした

仕事のことも、色んな煩わしいことも気にせずに

河には砂洲があり、潅木が茂って、鳥達が住んでいた

僕はベランダの手摺にもたれて、それを眺めた


鳥達はいつも素早く飛びまわり、春には巣に餌を運んだ


或る晩、彼等はいつ眠るんだろうか、と考えた

彼等の眠りと、みる夢がどんなものか、想像してみた

僕は砂洲に行ってみたかったんだけど、木の桟橋は朽ちていた

それで僕は、4階の自分の部屋から彼等を眺めた


冬の間、彼等は生き延びた

どこから餌を運んできたのか、僕にはわからない


ステレオとテレビからの音楽を聴きながら、僕は一冬を過ごした

ブラームスやラップ、他の音を聴きながら、僕は気楽だった

何かを作りたかったんだけど、色んなアイデアが雑音を立てるだけで、先に進めなかった

それで僕は河を眺めながら

いつかできあがるはずの、とびっきりの作品を夢みていた

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