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たまたま読んだ本1:行き当たりばったりの人生、今に没頭して系統的に使える道具を増やせば、評価され、未来は選択できるようになる。「選択できる未来をつくる」

選択できる未来をつくる
選択できる未来をつくる

アメリカでこんなに活躍している日本女性がいるのか?
著者の行動力や判断、決断力、
そして次々チャレンジする、その地頭の良さに驚いた。
優秀な著者だから可能だったとも言えるだろう。

だが、その生き方は、将来ある若い人たちに勇気を与える。
仕事から情熱を持ち続ける自分のミッションを見つけ、没頭する。
すると、自然に次のステップへとつながっていく。
これは大事なことだ。

著者に対する事前の知識はなく、たまたま手に取った。
単に普通の日本女性が、努力して未来を選択してきた話だと思っていた。
どんな苦労と克服話が書いてあるのだろうかと読み始めた。

プロテニス選手を目指す、子供のころからの話がほほえましい。
別荘を持っている家庭だから、ある程度裕福な生活の様子が見て取れる。
子供をのびのび育てる両親の考え方もなかなかできるものではない。
心の余裕、経済的な余裕がないと持てないものだろう。

「最初のキャリアですべてが決まることはない」

人生はまさにその通りだ。
初めて就職した会社で一生を送ることがほとんどない時代になった現代だが、昔も定年まで勤めることができたのは大手の企業や公務員だけだっただろう。
職人や商売、いわゆる家業といわれるものをしている場合も、
ずっとその仕事をしているかもしれないが、
大多数の一般人は、何度も仕事を変わっているのが普通だったように思う。
著者はそれをチャプター(章)と表現している。
人生には6つも7つも8つもチャプターがあり、
初就職のチャプターですべてが決まることなんてありえないと断言する。

著者は16歳で単身渡米し、プロテニス選手を目指すのだが、
数度のケガによりその道をあきらめ、
テニスをともに楽しめるロボットがあればいいなと思い、
ロボット工学に関心を持ち始める。
新しいチャプターの始まりだが、
ここが普通じゃない。
もともと数学が得意だということで地頭の良さが発揮されたようだ。

UCバークレーを卒業し、MITの大学院で学び、
ロボット工学と機械学習、ニューロサイエンス、医学、生物学、
学問分野を越えて新しいものをつくろうという試みに、
たまらなく心躍せる。
「テクノロジーを使って、体が思うように動かせず困っている人を助けたい」という、社会とつながるる強い願いが生まれたという。
即ち著者のパッションを持ち続けるミッションが確立し、
ミッション・ドリブンとなっていくのだった。

その後、著者は、プロフィールにあるように、素晴らしい経歴を積んでいく。
数多くのチャプターは計画されたものでなく、
行き当たりばったりにこなしていく。
ただ、「今のチャプターに没頭する」ことで、
将来役立ちそうなスキルや経験を積んでいけば、
自然と次のチャプターは開けていくものだと断定する。

自分にないスキルをどんどん自分の道具箱に取り込んでいく
前向きの姿勢が自身の能力をさらに高め、
周りから評価されるようになっていく。

アメリカだからと思うだろうが、
日本でもできる人は不足している。
今に没頭して、道具箱の使える道具を増やしていけば、
次のチャプターの開ける可能性が大きくなる。

もちろん成功体験ばかりでなく、手痛い失敗もある。
商品化できず、
100人のチーム解体でリストラしたことは辛い思いとなっている。

そんな中で、
人に助けてもらうことに躊躇しないことを学び、
ネイティブでない英語におバカさんのふりをしたり、
子供4人も育てながら、
ミッションに向かって情熱を傾け突き進んでいく姿は、
著者ほど優秀でなくとも読者に勇気を与える。
協力的な理解力のある夫を選んだもの著者の眼力のようだ。

人を採用するときの「7つの選択基準」とか、
多様性の高いチームの方が最終的にに強いという、
自身の経験に裏打ちされたビジネス上の至言も大いに参考になる。


選択できる未来をつくる
出版社 : ‎ 東洋経済新報社
発売日  : ‎ 2023/3/17
単行本  : ‎ 216ページ
価格:1800円+税

著者プロフィール
松岡 陽子 
まつおか ようこ

パナソニック ホールディングス執行役員
Yohana株式会社/Yohana LCC CEO
1971年東京都生まれ。1993年カリフォルニア大学バークレー校卒業後、マサチューセッツ工科大学に進み、1998年博士号取得(電気工学、コンピューター科学)。ハーバード大学博士研究員、カーネギーメロン大学助教授、ワシントン大学准教授を歴任。2007年「天才賞」と呼ばれるマッカーサー・フェローを受賞。賞金を元手に、身体面および学習面に課題を抱える子どもたちのためのYokyWorks財団設立。2009年共同創業者としてGoogleX立ち上げ。2010年Nest社CTO(技術担当副社長)。その後Appleヘルスケア部門を経て、 2017年Google副社長。 2019年パナソニックに入社し、2020年Yohanaをファウンダー兼CEOとして設立。


トップの花写真:カルミア(アメリカンシャクナゲ)


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