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たまたま読んだ本2:赤信号、こっちを見て。青信号、さあ買いたくなる。黄信号、注意して早く判断して。「ほしいを引き出す 言葉の信号機の法則」


ほしいを引き出す

サブタイトルに、「たった1時間で売れる言葉がつくれるようになる」と
あるように、効果的なキャッチコピーのつくり方の本である。

その方法が面白い。
読む人の感情を信号機の赤黄青の三色に分けて、
言葉の信号機の法則として解説している。

言葉は、人を動かす信号である。
確かに、言葉により人は関心をもち、行動を促されることもあるだろう。

まず、赤は、とどめる赤で、人に振り向いてもらうための言葉。
不安・不満・不意などで心をつかみ、それを解決するとどめの言葉が生まれる。

語彙力を磨くのではなく、まず観察力を磨き、
結論からではなく、目的に合わせた最適な順番で話し、
目で見て理解できる13文字程度に言葉を収めることが大事だと説く。

自分が助けられる、困っている人に振り向いてもらえる言葉を考える。
観察し、相手の困りごとを考えていくと、
届けるべき言葉は見えてくるという。

青は、相手や未来を肯定し、購買を進める言葉。
売れるようにするには買いたくなる工夫が大事で、
すすめる青の言葉とは、相手を望む未来に進める言葉だという。

売ることに自信が持てないのは
商品の本質的価値に気づいていないからであると、
リフレーミングでその商品の役割を拡張したり、
視点を変えて捉え直したりすることで、新たな意義を見出し、
唯一無二の存在意義を見つけるブランディングが重要だと説く。

ポジティブな言葉は青信号のように人を心地よくするものであるという。

黄は、きになる黄
止まるか進むかの判断を後押しし、求める行動を言葉にすることで、
相手のコミュニケーションコストを下げ、判断を促すという。

中でも小粋(コイキ)が大事だと強調する。
コレダケ 行動の限定性
イマダケ 時間の限定性
キミダケ 対象の限定性
行動・時間・対象など限定する分だけで、言葉は強くなると訴える。

最後に、うるおすマインドを忘れないように付け加える。
どうやって人に売るかではなく、
どうやって人をうるおすかを考え抜くこと。
言葉はかなえるきっかけをつくるという。

確かに、キャッチコピーを信号機に例えて、
不を解決する言葉で注意を惹き、
すすめるポジティブな言葉で商品の意義を見出し、
コイキな気になる言葉で購入の判断を後押しする。
思考過程の方法としては分かりよい解説である。

これをどう具体的に、実際に活かせるかどうかは、
ひとえに読者の努力次第であろう。


ほしいを引き出す言葉の信号機の法則
―たった1時間で売れる言葉がつくれるようになる本
出版社名:ぱる出版
発行年月日:2022/12/02
ページ数:192ページ
定価:1540円

著者プロフィール
堤 藤成(つつみ・ふじなり)
コピーライター/クリエイティブ・ディレクター
生まれつき右耳が聞こえず、コミュニケーションにコンプレックスを抱えた結果、言葉で人を魅了するコピーライターに憧れる。中学の卒業文集に「CMをつくりたい」と記し行動を続け、新卒で電通に入社。新人時代はコピーが採用されずにもがき苦しむ。しかし「人を動かす言葉」「売れる言葉」のコツを身につけたことで、国語の教科書に掲載される広告をつくるなど徐々に結果を出せるようになる。クリエイティブ、デジタル、プロモーションの部署を経て、マレーシアのELM Graduate SchoolでMBA(経営学修士)取得。現在はオランダと日本を行き来しながら、急成長中のスタートアップである(株)フェズにて、クリエイティブ・ディレクターとして活動。海外からのリモートワークでも大型のプロジェクトをリードし、大手企業の年間キャンペーンや、10数社を超えるコンペに勝ち抜くなど言葉を起点に企業を支援している。


トップの花写真:バーベナ


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