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隣の親子

本格的に蒸し暑くなってきた日曜日、栃木県の小山駅から逗子行きのJR線列車に乗り込む。無人の4人ボックス席はないようだ。1人の女性が座っているボックス席にお邪魔する。独り占めしていたであろう空間に入り込むのは何だか申し訳ない気分になる。

次の駅でお母さんと娘さん親子が隣に乗り込んできた。2人とも華麗な洋服を身に付けており、座る姿勢も綺麗だ。言葉遣いも上品だが堅苦しくはなく、2人とも笑顔が絶えない。これから買いに行くのだろう、ドレスの写真を見せ合い相談している。

「この淡い色が良いんじゃない?」
「少しあっさりしすぎかな?」


テンポよく会話が弾む。楽しそうな会話を聞いて微笑んでいるとお母さんと目が合った。「うるさくてごめんなさいね」というような会釈を受け、「いえいえ、聞いていて楽しいです」というような会釈で返す。

日差しがますます強くなる時間、新宿駅で2人が下車する。2人の楽しい日曜日が始まる。


「400字エッセイ」書いています。

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