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17アイス

いつでもきみはそこにいる。何時間もプールで遊んで疲れ切ったときも、次の電車が来るまでの時間が長くて途方に暮れたときも、温泉上がりで冷たいモノを欲しているときも、なんでもない道端にも、きみはそこにいる。

きみを見つけると手が勝手に財布を取り出す。腹が減っているかどうかは関係ない。中々キャッシュレスに対応しないことを不思議に思いながら、小銭をジャジャラ入れる。悩んだ末に選ぶのはいつもチョコミントだ。

特有の包装を慎重に開封する。勢いよく開けると包みにアイスを持っていかれるので要注意だ。一口なめるとミントのすーっとした爽やかさを感じる。遅れてやってくるチョコの甘味が口の中に残るのを楽しむ。

気づかぬ内に溶けたアイスが手まで流れ出た。手についたアイスをペロッとしてやる。アイスのベトっとした感じが気持ち悪い。

食べ終えた後の真っ白なプラスティック棒をしばし眺める。また会おう。いつでもきみはそこにいるから。

400字エッセイ書いています。

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