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400字エッセイ

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2022年2月の記事一覧

遠回しの勧誘に戸惑う

干し芋を夢中で食べていると、まったく干し芋らしくないガリッとした食感が口の中に広がった。なぜか瞬時に4年も前に付けた銀歯が外れたことを悟った。知らず知らず、日頃自分の銀歯を気にしていたのかもしれない。 この町に移住してきて初めての理髪店を先日経験したばかりなのに、次は初めての歯医者さんに行く必要があるようだ。運良く、車で15分くらいの歯医者さんに当日の予約が取れた。初めての歯医者に対する緊張もあったけど、依然として慣れない車の運転に対しての緊張の方が大きかった。 歯医者で

理髪店のエンターテイメント性

24歳で勤め人となるまで理髪店を知らなかった。もちろん理髪店の存在は認識していたけれど、理髪店のエンターテイメント性を初めて実感したのは就職後に横浜に出た後だった。   ずっと野球部だったこともあり、子どもの頃は父にバリカンで丸坊主にしてもらっていた。高校生の時は自分でバリカンを握った。大学生の時は理髪店ではなく美容院に通った。周りの友人が理髪店ではなく美容院に行っていたからだ。とりあえず髪の毛が短くなれば満足だった。   顔剃りまでやってくれる理髪店に惹かれ、24歳にして初

理髪店

初めての理髪店に入るには少し勇気がいる。この町に移住してから4ヶ月が経とうとするが、1度も家の近くの理髪店を訪れることができないでいた。 しかし、年末年始に地元で髪を切って以来、2ヶ月間放射状に伸び続けた僕の髪の毛はそろそろ限界を迎えていた。 家から40秒歩くと、赤青白のサインポールがリズム良く回っているのが見えた。チラッと店内を覗くと先客はいないようだ。ありったけの勇気を振り絞って入り口のドアを引くと、耳慣れたカランという音と一緒に、若老夫婦が暖かい笑顔と挨拶で出迎えて

キッチンで振り返る

隙間がない日々を過ごしたり、いろいろな本を貪り読んでいると、気付かぬうちに自分が大事にしたいと考えていることが自分から逃げてしまう気がする。今日は、自分の原則をキッチンで振り返る。 そもそも自分が生きる意味なんてない。自分が生きる意味なんてないからこそ、自分が自分の人生に対して自由に意味を与えることができ、自分の人生に責任を持つことができる。 誰かの役に立っていると実感できるときに最も幸せを感じる。実際にお役に立てているかどうかではなく、自分自身が「誰かの役に立ってるんや