ゆる〇〇学ラジオの始め方
貴方は何に怒りますか?
はじめまして。こんにちは。 有洲ケイです。
このエントリーはゆる言語学ラジオ非公式Advent Calendar 2023の23日目として書いた記事です。
前日はまっきーさんの記事です。明日はsophnutsさんの記事です。
ゆる言語学ラジオというYouTubeチャンネルのサポーターコミュニティに参加している同チャンネルのファンたちが、頼まれてもいないのにそれぞれ記事を書いています。 ぜひ他の方のものもお読みください。読み耽ってしまうものばかりです。
私は「ゆる〇〇学ラジオの始め方」を書きます。
さて、冒頭の見出しに戻ります。
「貴方は何に怒りますか?」
私は個人的趣味で一次創作や二次創作をします。
フィクションの物語をかく時のキャラクターの作り方でこんなものを聞いたことありませんか?キャラクターの外見や出自も大事だが、その人が何で怒るのかを決めることが大事だ、と。
考えてみたら、結構的を射たアドバイスです。
喜びを覚えるきっかけは、身の回りの人間を見ても大体同じように思います。 大金を得た。テストに合格した。ご飯が美味しかった。 感情の動きの大きさに個人差はあれど、よっぽど理由がない限り喜ぶ理由は似通ってます。
その点、怒りはどうでしょう?
許せないという感情はどうでしょう?
暴力や法令に触れる事件などは別として、酢豚に入ったパイナップルを許せないと延々と熱く語るものもいれば、USB-Aを何度も挿し直すことに苛立ちを覚えるもの、Wikipediaの項目がMECEじゃないと糾弾するものもいます。
他者からすればどうでもいいけど、自分だけはそれにイラつく、怒る。そんなものが貴方にはありませんか?
あるならば、貴方は「ゆる〇〇学ラジオ」を始める適性があります。
専門性なんていらない
ゆる言語学ラジオに始まり、ゆるコンピュータ学ラジオと続く「ゆる〇〇学ラジオ」コンテンツ。
私はかつて「ゆる料理学ラジオ」の話し手としてオーディション「ゆる学徒ハウス」に挑戦しました。見てる方は覚えているかもしれません。
現在はゆる学徒ハウス別館というYouTubeチャンネルに参加して、いくつか動画を出しています。
2022年6月に募集が始まったこのオーディション。
5月にゆる言語学ラジオのコンテンツに出会ったばかりの私は、なんとなーく挑戦してみたいなぁ、と思いながら、なかなか踏ん切りがつかないでいました。
なぜか?
専門性を一つも持ち合わせていなかったからです。
大学は英文学科でしたが、病気療養のために中退。
元々英語力はあったものの、文法が嫌いなので、学問として語れるわけがありません。
英語方言に興味があるけれど、論文を読んでいるわけでもなく、アメリカの標準的英語と南部訛り、イギリスのRP(いわゆるBBCのアナウンサーの話し方)らしきものが話せる程度。
あくまで個人的な体験しかないのです。
ゆる言語学ラジオの視聴者には言語学に関わる方も多いようですから、「ゆる英語方言学ラジオ」なんて、恐ろしくてできません。
そこで6月中旬、知人にオーディションのことは伏せ、唐突に質問してみました。
「私って何が特技かな?」
知人は困惑した様子で、こう返しました。
「え? ……料理かな」
一瞬、質問する相手を間違えた、と思いました。
しかし、思い直しました。知人は私の料理を作るスキルを指して「特技」だと言ったようでしたが、私は料理についてだったら、語りたいものがある、と気づいたのです。
その時、思い出したのは怒りの感情でした。
「一汁三菜が伝統的な日本の家庭料理として語られること」
「手料理を作るのが当然という同調圧力」
料理についてなら、語れると確信を持ちました。
6月30日が一次先行の5分動画提出締め切りでしたが、26日に台本を書いて撮影し、27日に編集して提出。29日にはゆる学徒ハウスチャンネル(現・ゆる学徒カフェチャンネル)に動画が公開されました。一次先行通過を知った瞬間でした。
その後の顛末は語る必要はないでしょう。
今、語るべきは「ゆる〇〇学ラジオ」の始め方です。
語る場もなかったので、言っていませんが、私はオーディションに「ゆる料理学ラジオ」で参加しましたが、「料理学」を学んだこともなければ、調理師免許も持っていませんし、プロの料理人ですらありません。
ただ、ただ、料理についてなら、語れると確信を持てた、というだけなのです。
そこにあったのは「怒り」「憤り」でした。
好きなもので世界を語れないから
私は料理は嫌いではありませんが、専門家になるほどには愛していません。もしも、何かに一途に情熱を注げていたならば、その好きなものについて語る動画を作ったでしょう。
しかし、飽きっぽい私は広く深く語り尽くせる学問やジャンルがありません。
専門性がないのなら、ゆる〇〇学ラジオは語れないのか?
そんなことはありません。 まず、5分間ずっと語れるものを見つければいいのです。そして、感情を乗せて熱っぽく語れるもの、それは普段から怒りを覚えているものです。
もちろん、只々怒りをぶちまければ良いという話ではありません。赤の他人の愚痴を5分も聞いてくれるのは、同じ考えの人間だけだからです。 広く一般に聞いてもらいたいのなら、工夫をしなければいけません。
その工夫とは、人によって様々でしょう。
ユーモアを織り交ぜてエンタメ性を足す。個人的体験を引き合いに出して共感を得やすくする。似た構造の全く違う話題を並べて謎解きの要素を加える。
熱を持って語りたいことを、視聴者に理解してもらおうと思えば自然と言葉を選べるでしょう。
怒りは続かない
さて、ここまでお読みの方は何か疑問を持ちませんか?
専門性はないけれど、情熱を持って語れる事柄はあるな、と思いついたとします。
確かに、5分の動画は撮れるかもしれないけど、このやり方でどうやって「ゆる〇〇学ラジオ」を続けるのだろう?と。
各パーソナリティたちは日々、怒りを抱きまくっているのだろうか、と。
ここでこの記事のタイトルを思い出してください。
「ゆる〇〇学ラジオの始め方」
始め方と続け方は全く違うものです。
自転車の乗り方を習い始めた時、地面を蹴って数メートルは進めても、すぐバランスを崩してしまうのと、似ています。
怒りで始めたゆる料理学ラジオですが、個人的な性格上あまり怒りが継続せず、短気ではあるものの、声を大にするエネルギーが無限にはないんです。
端的に述べますと、ネタがつきます。
けれど、始めてみると案外料理について語ることが存外楽しいことを知ったのです。
そうすると自然と料理の歴史や雑学について、本を読んだり、論文を読んだりするようになりました。
新しい発見をたくさん出来るようになったのです。
その素晴らしい体験も、最初の5分の動画を撮ってみなければ得られないものでした。
新しい扉を開いたのは、あの日の怒りを起点にした語りだったのです。
「ゆる〇〇学ラジオを始めてみたいなぁ」と思っている貴方へと贈る言葉は簡単です。
始めないと続けることもできない。
自転車をまず蹴り出してみなければ、決して進めないように。
蛇足
怒りを原動力に書いた台本と、知識を広げてから書いた台本を撮影したものを見比べてみたい方は、以下をどうぞ。
ゆる学徒ハウス
"ぼくと契約して料理研究家になってよ【ゆる料理学ラジオ②_聞き手もりふじ】"
※無料で見れるし、音声のみではなく動画なんだけれどSpotifyだからとあまり再生されていないらしい動画
ゆる学徒ハウス別館
"【料理学】#01 人類はカレーの奴隷?!何故世界はカレーだらけなのか"
"【料理学】#02 美味しい肉の定義?バレたらマズい話"
※料理学02については反響音や環境音で聞きづらいですが、自信作なのでぜひ最後までお付き合いください。
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