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地域工務店の次世代型ゼブラ経営 2/3

ここで言う地域工務店とは、各地方で新築住宅およびリフォームなどを請負っている工務店の事と定義する。

住宅業界は家電販売店や自動車業界などと比較して寡占化が進んでいない業界である。新築住宅は一回建築すると何十年も建て替えることはないし、性能が向上している近年の戸建て住宅はさらにその寿命が延びている。さらに人口減少が追い打ちをかけ、今後住宅着工棟数が減少トレンドにあるなかで工務店は淘汰されるかM&Aが進行するなどし、いよいよ寡占化が進むであろうという意見もある。確かに、国土交通省のデータからも建設業者の数は減少傾向にあるが、そうとも限らない。

それはまさに各地域でゼブラ化した工務店があるからだと言える。つまり、一定の営業エリアで永年培った売り手・買い手・地域社会などとのコミュニティを形成しており、すでになくてはならない存在として認められている工務店が存在するという事である。

ゼブラ工務店の特徴としては下記が挙げられる、と思う。

1.明確な経営理念を掲げ、経営者が理念を実践する人格者である

2.業歴が長い(30年以上)

3.後継者がいるか、事業承継が成功している

4.時代に適応できる経営やデザインのセンスがある

5.毎年安定した売上高と収益を得ている

6.アフターメンテナンスの体制が構築されている

7.取引業者や競合他社と情報交換などを行い、協調的な関係を築いている

8.有資格者や社歴の長いスタッフが多い

細かく言うと他にチェックすべきポイントがあるものの、項目で挙げると個人的にこのように考えている。永年積み重ねてきたものや根底に流れる地域に根差した商いの理念はとても強く、また人脈も広がっている。いかに大手が資本力をもってしても崩しがたい堅固な経営があると考えるべきだろう。ゼブラという言葉自体は最近の言葉であるが、それを何十年も前から実践してきたのが地域のゼブラ工務店である。

特に一時的・表面的にうまくいっている工務店とでは、アフターメンテナンスで違いが表れる。アフターメンテナンスでは施主(家を建ててくださったお客様)に対する経営姿勢が表れる。その評判が継続的・安定的な工務店経営をもたらす事で長い業歴が形成される。急成長した工務店がもてはやされる傾向にあるが、長期的なスパンで見てみなければわからないのは、バリューチェーンがアフターメンテナンスまでしっかり構築されているかという事だろう。

そういった意味では、急成長していても例えばデザインやイメージだけで売っている工務店はこのゼブラ工務店ではない。確かにゼブラ工務店しか生き残らない訳ではないだろうが、地域工務店の生き方としての王道はユニコーンではなくゼブラ化だと考えている。ブランディングが先行して一時的に流行のようにスタートしたのちに、人が集まり社内体制が強化されることもあるので、最初がそうだったから長続きしないとも思わない。すべては社長がどのように考えるか、理念と事業戦略、そしてその継続性の問題である。


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