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エンジニアが選ぶ、思考を刺激する書籍たち 1

はじめに

こんにちは。私はL is Bに2023年4月に新卒で入社して、現在direct開発部のサーバーチームに所属している関 玲(セキ リョウ)と申します。

このたび「エンジニアが読んだ本の紹介」というテーマで記事を書く機会をいただきましたので、本の紹介をさせていただきます。

本を紹介するとはどういうことか

スキルの向上には、仕事の中で経験を積むことも重要ですが、その過程で断片的な知識や経験を抱えることに不安を感じることもあります。このような状況では書籍が有益です。著者の経験を基に整理されたものなので、読者にとっては道標となります。書籍を通じて業務の経験がスキル全体でどのような位置にあるかを理解し、次に考えるべき方向性を得ることができます。

書籍の紹介を通じて、どの本を読んでどんな学びがあったかという身近な実体験を共有することで、読者が新しい本に手を伸ばすきっかけとなり、結果としてエンジニアたちのスキルアップに寄与できればと考えています。ですので私の思考を刺激した、いくつかの本をご紹介させていただきます。

本の紹介

今回、会社の本棚に置いてある書籍のうち特によかった3つを紹介します。

体系的に学ぶ 安全なWebアプリケーションの作り方 第2版

こちらの本『体系的に学ぶ 安全なWebアプリケーションの作り方 第2版(徳丸浩 著, SBクリエイティブ)』は、Webアプリケーションにはどのような脆弱性が存在して、それらをどう対策していくのかを解説した本です。

この本の素晴らしいところは、実習環境が備わっているところです。仮想マシンを立てることで実際に手を動かして脆弱性を突いた攻撃を行うという体験をすることができ、このことで文字を読むだけでなく具体的なイメージを持って脆弱性を理解することができます。

そのほか読んでいて興味深かった点として、脆弱性の仕組みにパズル的な要素があることが挙げられます。例えば脆弱性の一つにSQLインジェクションという項目があるのですが、これは「SQL文のシングルクォートと入力値のエスケープされていないシングルクォートとを組み合わせることで、意図しない文解釈をさせる」というものであり、Webアプリケーションの裏側で使われているであろうSQL文の一部分を利用するという発想がとてもおもしろく感じました。

この本はdirect開発部サーバーチームの新人研修で読むことになったものであり、入社早々600ページ以上ある分厚い本が目の前に渡され戦々恐々としたのですが、前述の通り実習環境で手を動かして学べるという点やパズル的な面白味を多く含むという点があったため関心を高く保って読み進めることができました。

[増補改訂]良いコードを書く技術 ── 読みやすく保守しやすいプログラミング作法

こちらの本『[増補改訂]良いコードを書く技術 ── 読みやすく保守しやすいプログラミング作法(縣俊貴 著, 技術評論社)』は、良いコードの書き方を解説した本です。

構成としてはまず第1章で良いコードの定義を行って、以降の章で実際にどういった点でコードの改善ができるのかを具体例を交えつつ紹介されています。

私はこの本を読んで、業務として良いコードにするためにはこんなにも考えることが多いのかとびっくりしました。入社するまで私は趣味でこぢんまりとしたプログラミングをやっており、コードは自分だけが理解できれば十分だったため可読性のことはさして考えていませんでした。なので、書籍で読むことで業務で必要なコードの良さを前もって網羅的に知ることができたのは心強かったです。

ただ一方で、この書籍で挙げられている改善点を実際の業務で見抜くにはそれなりに経験を要するようにも感じられました。そのため、本の内容を頭の片隅に置きつつ業務を進めていき、経験をいくらか積むたびに読み返すことで自身のコードをレビューするという使い方でも良いのかなと思います。

個人的にこの本で興味深かった項目は、第3章『名前付け』です。内容としては(将来の自分自身も含め)コードを読む人の理解の助けになるような適切な名前付けをしようという旨が書かれているのですが、ここには趣深さを感じました。

というのもこれは、プログラミング言語が曖昧さを持たず書いた通り遂行されるという形式性を持ちつつも、その形式性を人間がうまく使いこなすためにはむしろ自然言語で適切な意味付けをするという非形式的な考察が重要であるということであり、形式と非形式という対のものが両輪となって動いているということに気付かされて心惹かれました。

そんなわけで、良いコードを追求することは業務の能率を上げるだけでなく精神的な充実感ももたらしてくれるためオススメです。

本日は、お日柄もよく

最後に、エンジニア関連でない書籍としてこちらの本『本日は、お日柄もよく(原田マハ 著, 徳間書店)』を紹介したく思います。

まずどういうきっかけでこの本を読んだのかという点ですが、会社の東京オフィスにはいろいろなジャンルの本をひとまとめにした本棚がありまして、新人研修のオフィス見学の際にその本棚を眺めていたら新卒担当の方がこの本をおすすめしてくださったのでお借りして自宅で読んでみました。

おおまかな内容としては、一般的なOLの主人公が友人の結婚披露宴で目も覚めるような衝撃的なスピーチを聞き、その発表者であるスピーチライターに魅了され弟子入りし、自身もスピーチライターとして活動し言葉の力を届けるといった話です。

この本の良いところは、仕事に対してまっすぐに取り組む人間の姿が生き生きとした文体でみずみずしく描かれている点です。

スピーチの話というだけあって、発表の場の緊張感や言葉選びのメリハリは大変迫ってくるものであり、言葉の力強さで局面がダイナミックかつドラマティックに揺れ動いていくさまは読んでいて大変ドキドキしました。スピーチライターとエンジニアとでは職種こそ異なりますが、仕事とは自分にとってどういう存在であるかよく分かってない新卒の私に一つの行く先を堂々と示されたような心持ちでした。

まだ仕事とは何かというのはしっかり答えられるほどの経験もないのですが、主人公の責任感ある姿をたまに思い出しては、襟を正して私の本日の仕事をこなしていくのを勇気づけてくれるときもあります。

まとめ

以下3冊の書籍の紹介をさせていただきました。

この記事がみなさまにとってちょっとでも良い影響をもたらすことがあれば嬉しい限りです。私も今後ともいろいろな本を読みながら経験を積み重ねていって、より良いお仕事ができるように努めて参ります。ここまでお読みいただきありがとうございました。



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