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Day 14. 意外と知らない大気のこと

大気っていうのは、地球を覆っている気体のことを指す。高度に応じて6つに分類されていて、生物が暮らしている地面に近い層は対流層(troposphere)という。なので、わたしたちが息を吸うときはこの対流層の空気を吸っている。大気こそ、そのありがたさを感じづらいものはない。目に見えないし、そこらにあるし。でも一度それが汚染されると、汚れた空気を吸い続けることになり顕著な健康被害が現れてくる。

空気って何でできてるの

まずは空気について、詳しくなってみよう。
空気の約99%は窒素(N, 78%)と酸素(O2, 21%)の2つのガスでできている。残りは0.93%のアルゴン(Ar)、0.040%の二酸化炭素(CO2)、少量の水蒸気、塵や煤の粒子、メタン(CH4)、オゾン(O3)、亜酸化窒素(N2O)などの他のガスから構成される。改めて見てみると、たくさんのものが入っているものだ。

悪名高い二酸化炭素だけど

上で見た通り、空気に占める二酸化炭素の割合は0.1%に過ぎない。そのうち、93%が自然の炭素循環(動植物の呼気や分解、火山活動など)によって発生し、残りの7%が人間活動によって生じているという。人間が及ぼす影響なんてちっぽけに見える。だけど、これが100ppm(100万分の1)増えるだけで、地球全体の温室効果が高まって温暖化が進むというから驚きである。2018年時点の世界の二酸化炭素濃度は407.8ppmで、産業革命後の水準に1.5倍に達しているという。そしてこの濃度は引き続き順調に伸びている。

350.orgってそういうことか

気候変動問題に取り組んでいるNGOに「350.org」という団体がある。この「350」という名前の由来、前に読んだことがあったけどいまいち頭に入ってこなかった。だけど今ならわかるぞ。
「350」は、人間が従来の生活を維持するうえで上限となる大気中の二酸化炭素濃度と言われている。つまり今は50ppm以上オーバーしているということだ。大気中の二酸化炭素排出を減らすために、彼らは化石燃料からの再生可能エネルギーへの移行を促すアクションを起こしている。
日本でもアクティブに動いているので、活動をちょっと覗いてみてほしい。

オゾン層は懐かしがるものじゃない

2番目に地表から近い大気の層である成層圏(stratosphere)に、かの有名なオゾン層はここにある。オゾン層はその名の通りオゾン(O3)からできていて、太陽からの有害な紫外線の98%を吸収してくれる。1970年ごろ、オゾン層破壊!生命の危機!てな感じで取り上げられて以来、オゾン層とその破壊は一般常識として多くの人の記憶に残っているだろう。
オゾン層を薄くしてしまうのが、フロン(CFC)という化学物質だ。昔の冷蔵庫の冷媒に使われていたアレである。その安定性と有用性からかつては「夢のガス」とさえ呼ばれたフロンも、環境への悪影響から法規制がなされている。2010年には世界全体の全廃が決まり大規模な規制が進んでいるとはいえ、大気中に放出されたフロンガスは、数十年もの間対流圏内で存在し続ける。さらに今も中古車や家電からフロンの排出も続いているため、オゾン層破壊は過去のものではないことがわかる。気が重くなる話である。

ただ、ナショナルジオグラフィックのこの動画によれば、排ガス規制が適切になされていけば2065年までに南極のオゾン層ホールは縮まっていくという。けっこう先の話だけど、ひとまず安心である。

わたしたちは気候変動や生物多様性の喪失、パンデミック、その他よりどりみどりの課題を抱えている。問題がでかすぎると圧倒されて萎えるけど、みんなで協力すれば着実にいい方向に変えられる。問題を一気に解決してくれるヒーローや技術革新を祈っているだけでは、目の前の現状は残念ながら何も変わらない。一つひとつの課題に向き合って、もぐら叩きみたいに解決していくことが、結局のところ近道なのかもしれない。


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