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海の世界へ。Pierre et Gilles(ピエール&ジル)パリ個展レポート

パリ・テンプロンギャラリーで開催中の、ピエール&ジル(Pierre et Gilles)個展に行きました。

ピエール&ジルは、フランス出身のアーティストデュオ。二人は私生活のパートナーでもあり、1976年から活動を開始しています。

写真と絵画をミックスさせた作風が特徴で、ピエールが写真、ジルが絵画を担当しています。また、作品内の人物の多くは彼らの家族や友人をモデルにしたものです。

今年2月にフィルハーモニー・ド・パリで行われていた個展にも足を運びましたが、最終日で人が多すぎて泣く泣く諦めた経緯があったので、今回の個展はとても楽しみにしていました!

今回の個展のタイトルは「Errances immobiles」。英語では「Motionless Wonderings」、日本語のニュアンスは「彷徨い(さまよい)」でしょうか。

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ギャラリーの様子

今回の個展では、新作約20作を公開。後半では海の中の世界を体現してる作品が多く、海の世界に飲み込まれました。まるでアリエルの世界観。

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Pierre et Gilles / La reine des océans (Adèle Farine), 2020

美青年二人。まるで海の中でワカメに絡まっているかの様子。

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Pierre et Gilles / La pêche miraculeuse (Pierre & Filip), 2019

海の女神様...?タイトルが「コロナのノートルダム」なのが意味深。

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Pierre et Gilles / Notre Dame du Corona (Clara Benador), 2020

いくつか作品を見てもらって分かる通り、ピエール&ジルは派手でゴテゴテ、ギラギラがギャル的可愛さを醸し出してます。インパクトがありすぎて一度見たら忘れない作風。私はカラフルで派手な作品が好きなので、彼らは大好きなアーティストです。額縁やペインティングも1つ1つの作品に合った形で描かれています。

海の世界以外にも、こんな作品も。

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Pierre et Gilles / Jeune garçon en fleurs (Vincent Cohen), 2020

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Pierre et Gilles / Le petit bizut (Vincent Cohen), 2018

可愛らしくデコレーションしていますが、この男性は「A VENDRE」、つまり売られている少年。ゴミ袋には、汚い言葉が並んでいます。男娼の現実を皮肉ったものでしょうか。

特に印象に残ったこの二枚でしたが、上記の二人はなんと同一人物でした。

色のコントラストが素敵な作品。タイトルは「ブラック・マドンナ」。

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Pierre et Gilles / La Vierge noire (Adut Akech), 2018

この額縁に、ピカチュウやスマイリー、リボンなどの可愛いマグネットがここぞとばかりに埋め込まれてるんです。お菓子の世界みたい。

ここには載せれませんが(裸の写真...)、いちばんお気に入りだったのが都会ネオンをバックにした男性カップルの作品でした。私にとってはネオンにあふれた新宿や渋谷の街を思い出す作品でした。

ピエール&ジルの世界観がギュッと詰まった個展は、10月31日までパリのギャラリー・テンプロンで開催しています。

ギャラリー・テンプロン(Templon)は、国際的なアーティストを取り扱うメガギャラリー。日本人アーティストでは、塩田千春さんも所属しています。パリ内に2つギャラリーを持っています。今回の個展はポンピドゥーセンターに近い方です(もう一方も歩いて5分以内)。今後も定期的に足を運びます。

展覧会情報
Pierre et Gilles「Errances immobiles」
会期: 2020年9月10日〜10月31日
場所:Gallery Templon / 30 RUE BEAUBOURG, 75003 Paris
※Templonギャラリーはパリ内に2つあるので場所に注意してください。通りからは入れず、建物の「PORTE」を押して敷地内に入る仕組みです。
営業時間:火〜土 10〜19時(定休:日・月)

展示の様子はTemplonビューイングルームから見れます。

(Text・Photo:Lisa Fujino)

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