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事務員が基礎英語だけで転職成功した話

「背水の陣だ!」
そう意気込み、英会話スクールのレベルチェックに向かったのは30代目前のこと。
人生で2度目の英会話へのチャレンジは、不安と緊張でいっぱいでした。
なぜなら1度目は100万円以上を投じて通ったあげく、挫折したからです。

数年後、2度目のチャレンジを決意することになります。
これが平凡な派遣事務員が、正社員への転職を成功させるための第一歩でした。

再スタートのきっかけは転職

もともとトリマーだった私が、体質の問題で異業種へ転職したのは20代半ばごろのことでした。今後どういう仕事に就こうか悩んでいた時、「派遣」という働き方に出会います。

はじめて勤務した企業は大手複合機メーカーの販社でした。
それまで手にしていたハサミやドライヤーが、パソコンや書類へと変わり、会社での常識も私にとっては目新しいものばかり。
しかし3か月ほどして慣れてくると徐々に余裕がうまれ、同僚のバックグラウンドが見えてくるようになります。

事務職として生き抜くためのスキル

ご主人の転勤、出産、そのほかさまざまな事情から派遣を選んで働いている人の中には、以前は正社員としてバリバリと働いていた人も多くいました。
そしてその働き方から学ぶうちに「事務職としてのスキルや経験を身につける必要性」について、深く考えるようになります。
しかし社会人経験も浅く、オフィスワークは数か月程度では、まだ何をすべきかよくわかりませんでした。

そんなある日、仲間の一人がExcelの機能について教えてくれたことがありました。
すぐにオフィスワークには必要なスキルだと気づき、さっそく派遣会社の無料レッスンを受講。すぐに基本操作を履修することができました。
しかしせっかく覚えた機能も、当時の職場ではあまり役立てることができない環境でした。実践を重ねてスキルアップに繋げるため、勤務先を変える経験を重ねていく決心をします。

足りないもの・必要なもの

一方、当時の派遣先の業務では、英語で来客をアテンドすることが増えていきます。
派遣期間が長くなると、任せてもらえる仕事の幅が広がり、やりがいを感じられるようになってきたころでした。
だからこそ、英語が足かせとなって自力で対応ができないことにストレスを感じるようになったのです。
1度は挫折してしまった「英会話」が再び頭をもたげます。
心新たに英会話スクールに通うとして、お金の問題が大きくのしかかります。
1度目は、教育ローンで100万以上を投じたからです。
今度は教育ローンを組むことは避けて、学費を貯めてから通うことに決めました。
そのために1年間は休みなく、Wワーカーとして働き準備しました。
そして1年後、予定通り英会話スクールに入学します。

いよいよ再スタート

最初にクラス分けのレベルチェックがおこなわれ、当然ですがビギナークラスに入ることが決定します。
そして入学から3か月が経ったころのこと。課題にも慣れ、少し時間に余裕がでてきたため、先生に相談し追加の課題をだしていただきました。

ところが、その時に指定されたのが「中学生の教科書」でした。
その瞬間、2つの矛盾した気持ちがないまぜになり、複雑な気持ちになったことを覚えています。

 「もう社会人なのに中学生の教科書を使うなんて幼稚な勉強ではないか」
 「今まで理解できなかった学校の教科書で効果があるのか?」

しかし、せっかくお願いして出していただいた課題です。
とにかく言われた通りにやってみようと覚悟を決めました。

時間との闘い

しかしこの課題、実は想像よりずっと大変なものだったのです。
なぜなら2つのルールに沿って進めなければならなかったからです。

【ルール】

  • 中学・高校の教科書はどちらも「2週間以内」でやり終える。

  • テストを実施し、9割は正解しなくてはいけない。

働きながらの学習。通常の課題くわえ、時間のタイトな課題を終えるために、時にはほんのわずかの睡眠で朝日を迎えることもありました。
そんな中、徐々に授業の内容が理解しやすくなったことを実感しはじめます。
基礎文法が身につき始めたのです。
中学生分を終えて高校の教科書にとりかかるころには、もう何の迷いはありませんでした。
こうして基礎を徹底的にインプットし、ついには乗り越えることができたのです。
この期間は石にかじりつくように頑張りましたが、特に高校の教科書は内容が濃かったこともあり、結局1カ月ほどかかってしまいました。

それから半年が過ぎたころ、1年だけでは十分とは思えず、日本語教師の授業のみもう1年通うことを決意します。
学費を別途準備する時間的余裕はありませんでしたが、教育給付金の還付があったため、差額だけを工面し、結局2年間在籍することになりました。

目標に到達するための最後の一歩

在学中に職場を外資系企業に席を移し、実践していくことに挑戦しました。
業務上の語学力は不要でしたが、多国籍な環境に身をおくことで必然的にアウトプットすることができました。
さらにデータマネジメントの経験を重ねることができる理想的な職場だったことも幸いしました。
この企業の経験を足がかりに、本格的に正社員としての転職活動を開始します。
とはいえ事務職の求人から職務内容を確認し、経験を活かせそうであれば、年収を確認して応募ボタンをポチリとするだけです。

そんなある日、応募した求人を後から確認すると「TOEIC700」と書かれていたのです。
完全な見落としです。
「まぁ、書類で落ちるだろうからいいか」と思っていたところ、エージェントから書類選考が通ったと連絡が入りました。
もちろん私のレジュメには英語に関する表記は一切ありません。

しかしこの時点でも「まぁ、面接で落ちるだろうからいいか」と考えていました。
ところが面接当日、面食らうことになります。
これまでのデータ処理経験ばかり尋ねられたからです。求人ではデータ処理経験を重視しているようには見えませんでした。
更に面接の30分後には採用が決定し、翌月の勤務開始を打診されます。こうして外資系企業の正社員へ転職に成功させることができました。

余談ですが、後に上司からは採用のポイントについて「データ処理のスキルや経験があったこと。英語は今後がんばってくれたらいい」と拍子抜けする回答がありました。

さいごに

では結局英語が何の役に立ったのか。私の場合は転職する際に直接役に立ったことはありませんでした。

しかし、
TOEICのスコアがない人は「TOEIC700」と書いてあれば、応募しないでしょう。
外資系で英語を使用した経験がなければ、エージェントはこの案件を紹介しなかったかもしれません。
英語に全く関心がなければ、採用は見送られたでしょう。

つまり低い語学力であっても、可能性を広げてくれる武器になりえるのです。
仕事で必要なことは流ちょうに話す力ではなく、伝えたいことを伝えきる力
英語に限らず、自信がなくても、迷ったらポチリと挑戦してみることが大事なのです。

最後までお読み頂きありがとうございました 。
この記事があなたがあと一歩踏み出せるきっかけになれたら幸いです。

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