「赤羽って埼玉でしょ?」


私が初めて部屋を借りたのは高校3年の2月。
中学高校と仲が良かった女友達とルームシェアをするためだった。
二人とも都内の大学に進学が決まっていた。
私は住めればどこでもよかったけど、彼女は音大に進学する予定だったので
練習時間を確保するためにも彼女の大学に近いところに住もうとなった。
通学時間30分以内、乗り換えなしの場所。
二人で探した結果、上野が案に上がった。

ところが私たちは北関東の田舎の高校生。東京はとても怖いところ。
治安は悪いし歌舞伎町なんて龍が如くの世界だと思ってた。
「東京は怖いから、埼玉に住もう」
「赤羽は埼玉だから治安よさそうじゃない??」
「赤羽に決定~」
埼玉なら治安もよさそうだしってことで
埼玉県にあるであろう【赤羽】という都市で部屋探しをした。

埼玉県の赤羽

目星をつけた部屋は駅から徒歩5分・2LDKのマンション。
商店街の中にあるかなり古めの部屋。
内見で初めて【赤羽】に降り立ったけど、都内にアクセスしやすいし
埼玉なのに都会だなぁと思った。

内見を済ませ、母に駅前の不動産屋で契約書を書いてもらっていると
友達から電話が来た。
「家決まったでしょ~住所教えて~」
そうだそうだ住所を教えてやらんとな
契約書の住所の欄を見て私は変な声が出た。

どれどれ…東京都…北区赤羽…


東京都…北区??

東京だと!?

赤羽って埼玉県じゃなかったん??


慌てている私の前で不動産屋さんが笑いながら言ってくれた
「赤羽は東京都だよ」


18歳の春、私は赤羽が東京都だと初めて知ったのだった。


それから2年、赤羽に住んだ。
部屋ななんだかんだボロボロだったけど、
大家さんかわいいおじちゃんで優しかった。

家の目の前の飲食店でバイトしてみたり、
大学の先輩に振られてヤケ酒して泥酔して歩いてたら
キャッチのおじさんに心配されたり。
バイト先の先輩とチャリで二ケツしてたら盛大に事故ったり
荒川の河川敷で友達をオールしたりしてた。

意味わからないくらい毎日充実していたのは
なんだかんだで優しい【赤羽】の住人と
ルームメイトのおかげだったと思う。

結局2年経って
やっぱり埼玉に住もうってことで
ルームメイトと2人で埼玉県に引っ越した。
それでもやっぱり【赤羽】に愛着あるから週一で行ってた。
っていうかバイト先赤羽だったし。

【赤羽】から離れてウン年。
私も都会のシティガールになった(埼玉県民)
今でもたまに【赤羽】に行く(そもそも通勤の通り道)
相変わらず、町全体がデカイ公衆便所だけど(納言のネタです)

上京して初めて住んだところは愛着湧いちゃうって話。










#はじめて借りたあの部屋

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