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シンデレラなんて認めない

サクセスストーリーの代名詞、私はあの話が苦手だ。灰にまみれて継母たちにいじめられ、お城に行く夢を見てため息をつく可憐で可哀想な女の子、シンデレラ。何と魔法使いによって美しいドレスを纏い、ガラスの靴を履き、舞踏会に繰り出す。そこで王子様に見初められなんやかんやで結婚、一件落着ハッピーエンド。

その、それやん、なんやかんやだよ、問題は。見初めるの前のワンクッション、ガラスの靴を落とすでしょ、王子様が拾ってなんて言ったと思う?

こんなに小さい足の人は美人に違いない

ばかやろう、王子(様なんてつけるかよ)お前の頭は旧石器時代なのか?#KuTooも知らんのか。はいはいはい、低身長の女が可愛いと思ってるタイプだろ、萌え袖オーバーサイズパーカーとかお泊りしたときに自分のシャツ着てたら興奮するタイプだろ。身長は内緒、低いのコンプレックスって発言にほっこりなってんだろ。こちとらそんなもん計算だぞ。あー単純、短絡、野蛮やわあ、よろしおすなあ。ハイヒール落としたのも当たり前だけど計算よ、これ基礎知識としてテスト出るから。それとも脚フェチならぬ足フェチなの?やだもう何考えてるのかしらこのえっち!

一通り文句をぶちまけましたが、何を隠そう私は足のサイズが大きめなのです。なんと26㎝。私より大きい方はごめんあそばせ。史実(?)だとシンデレラの足のサイズは22㎝だそうです。余裕でガラスの靴入らない。お姉さんだったら足切り落としてたサイズだ。
物心ついたころ、では流石にないけれど、お洒落したいと思い始めた辺りでもう大きくて靴に難儀していた。高校のときに履いていたユニセックスのスニーカーを体育館の入り口においていたら、”誰だ靴ここに置いたのは!サイズ26!男子か!”と言われた。トラウマ。
大抵の靴屋ではサイズがない。服屋のマネキンの下にある靴は履けたためしがない。S、M、Lの規格には収まらない。そう、私は規格外の女。マルイかオリエンタルトラフィック以外の選択肢がごく限られているんだよ。社会人一年目給料平均値を地で行く私には、海外の精巧なハイヒールは手に入れられないし。

このノートを書こうと思ったのは、数日前に行った靴屋でいいフレーズを見つけたから。その靴屋では靴のサイズで棚を分けていて、サイズごとにキャッチフレーズがあった。シンデレラサイズ<ベーシックサイズ<モデルサイズ<スーパーモデルサイズ。スーパーモデルですって、聞きましたか。私、スーパーモデルだって。スーパーなモデルってことですか、ありがとう、スーパー嬉しい。結局その店では買わなかったけど。
シンデレラの対義語でなく、ただ大きくなった延長線上に私のサイズがあることが嬉しかった。王子には中指を立てていても、シンデレラなんて認めないみたいな頑なさは瓦解した。シンデレラだけが成功なんじゃないと思わせてくれた。きっとスーパーモデルが好きな殿方もいらっしゃることでしょうし。探し出してもらえなくてもこっちからでっかい靴を投げつけてやる。

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