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認定NPO法人Living in Peaceマガジン

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認定NPO法人Living in Peaceの、全noteを詰め込んだマガジンです!
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#インタビュー

里親を通じた「地域で子育て」を実現したい! 全員本業持ちNPOと児童養護施設が協業して里親支援を行う理由

日本には現在、親からの虐待や経済的困窮など、さまざまな事情により実の親と離れて暮らす子どもが約45,000人存在します。そうした子どもたちを家庭で預かり、育てるための制度が「里親制度」です。 海外と比較して普及率が低いことを受け、現在日本政府が啓発に力を注いでいる里親制度。そうしたなか、2020年8月、東京都世田谷区の里親普及啓発サイト「SETA-OYA」が公開されました。 Living in Peaceは、サイトを運営している世田谷区の児童養護施設・東京育成園にアドバイ

【第3回】日本語学習から見える難民の子どもたちが直面する壁

このシリーズの第1回と第2回では、東京大学の髙橋史子先生に、日本で育った難民の2世以降が抱えうる課題についてお話いただきました。 今回は、「社会福祉法人さぽうと21」のコーディネーターとして、日本に住む難民支援の最前線に立つ矢崎理恵(やざき りえ)さんが登場! 難民2世の日本語支援における問題や展望を伺いました。 ↑矢崎理恵さんへの取材はリモートで行われた ◎オンライン型の個別支援で、難民の子どもの家庭での様子が垣間見えた―まずは、あらためて、さぽうと21の活動内容につ

大阪・西成区で8年――こども食堂だけでは解決できないこと

大阪市西成区。全国的に高い一人親の割合からもうかがえるように、生活に困難を抱える子育て世帯の多い地域です。  出典:西成チャイルド・ケア・センター HP そんな西成区でこども食堂「にしなり☆こども食堂」を開催されている川辺康子さん。「にしなり☆こども食堂」は2012年にスタートしてから8年間、そこに集まる子どもやその親御さんを支える居場所であり続けています。 「西成チャイルド・ケア・センター」の代表として、各地域のこども食堂をつなぐ、「こども食堂ネットワーク関西」も運営

【第2回】多様な社会と”私たち”の課題

こんにちは、認定NPO法人Living in Peace(以下、LIP)難民プロジェクトです。 前回の『難民2世について考える』では、外国ルーツのこどもたちの置かれた環境や親との間の葛藤、アイデンティティの獲得などについて、多文化共生や、外国ルーツのこどもたちの教育について研究されている、東京大学の髙橋史子先生にお話を伺いました。 今回も引き続き髙橋先生のインタビューより、日本で育った難民の2世以降が抱えうる課題や、それに対して私たちはどのようなことができるか、どのような

【第1回】難民2世のこどもたちの実情

こんにちは、Living in Peace(以下、LIP)難民プロジェクトです。 「日本にいる難民の支援をしている」と友人に話すと、「日本に難民っているの?」という疑問と同じくらい聞かれることが、「日本で育った人も難民なの?」「その人たちにも支援って必要なの?」という質問です。 実は、難民をはじめ外国ルーツのこどもたち(成人した場合も含む)は、進学・就職など様々な場面で、生きづらさを抱えているケースがあるのです。また、母国(親の出身国、ルーツとなる国)と日本の文化の間で揺

児童虐待 親にもケアを―家庭を安全・安心な場にするために必要なこと

緊急事態宣言のもと「ステイホーム」が推奨される中で、児童虐待の増加を懸念する声があげられています。 なぜステイホームで児童虐待の増加が懸念されているのか? 予防するためにはどのような策がとりうるのか? 米国と日本を中心に、長年のあいだ児童虐待防止や「虐待にいたってしまった親のケア」に取り組まれてきた一般社団法人MYTREE代表、森田ゆりさんにお話をうかがいました。 ◆ステイホームで児童虐待は増えるのか―森田さんはMYTREEの活動を通じて、長年のあいだ「虐待にいたって

「トラウマ インフォームド ケア」とは? コロナの時代に必要となる「心のケア」を考える

終わりの見えない自粛要請が続くなか、社会全体がトラウマティックな反応に覆われはじめています。感染者へのバッシングや、外出自粛をきっかけとした児童虐待の増加などを耳にし、心を痛めている方も少なくないでしょう。 こうした状況の生むストレスやトラウマ反応と、わたしたちはいかに向き合っていくべきなのか? 今の社会において必要となる「トラウマケア」とは? 昨年出版された書籍『トラウマインフォームドケア “問題行動”を捉えなおす援助の視点』(日本評論社)が大きく話題となっている臨床心

フラットな組織は「言葉」から生まれる! モチベーションを最大化する仕組み、「カタリスト制度」とは

「メンバーのクリエイティビティ・スペース(裁量の余地)を狭めるような言葉遣いは、やめなきゃいけないと思ったんです」 「ホラクラシー」や「ティール組織」など、メンバーの主体性を重視したフラットな組織のあり方を耳にする機会が増えた現代。しかし、実態がわからない、何から手をつければ良いのか分からないという声は少なくない。 そうした中で近年注目を集めているのが、「カタリスト」と呼ばれる新しい役割の存在だ。 Living in Peaceでも導入がはじまったカタリスト制度。導入を

「家族かどうか」は、どうでもよいと思った-90年代半ば、東中野で行われていた共同保育の物語

「怖かったのかもしれないですね、子どもに対する自分の影響力が大きくなりすぎることが」 まだ今ほど「家族の多様性」が語られていなかった90年代半ば、1人のシングルマザーが東中野で行なっていた共同保育の試み、「沈没家族」をご存知でしょうか? 当時23歳だった加納穂子(ほこ)さんが、「共同保育人募集」のチラシを配るところから始まった、母子3組と多数の若者が共同生活を送りながら子育てを行う試み、「沈没家族」。 2017年には「沈没家族」で育てられた当事者である加納土さん(穂